そもそも、ヨウジヤマモト身売り話が発覚したのは、同社の子会社にあたる「リミヤマモト」が
取引先に宛てた要請文からだ。そこには7月29日付で月末の支払い猶予を求め、弊社の状況として
(株)ヨウジヤマモトは現在、スポンサー候補による投資検討、取引金融機関による金融支援検討が
継続していると、説明がなされていた。
デザイナーの耀司氏は、4月末付で代表取締役を辞任しているが、今後多くのメディアは業績不振に
よる引責辞任と報道するだろう。でも、クリエーターからも身を引くとの話は出ていない。
もし、耀司氏が第一線から身を引くのなら、筆者はクリエーターとしての引き際を大事さを感じての
引退と解釈したい。それが業界で生きる人間としての、せめてものリスペクトと思うからだ。
ただ、スポンサー企業の出方次第では、後任デザイナーの話が出てきてもおかしくない。
順当なら長女でリミヤマモトのデザイナーを務める里美氏だろう。父親の背中を見ながらデザイナー
ファッションの極意を学んで独立。ブランド「LIMI feu」でコレクションデビューも果たしている。
課題は誰が経営にあたるかである。里美氏に父親と同じようなカリスマ性があれば、
クリエーターとしているだけで、古参スタッフが健在なら組織の求心力は高まる。
しかし、まだそこまでにはいたっていないだろう。それ以上に経営不振にいたったヨウジヤマモトを
立て直すことが先決だ。それにはかつての林五一氏のような名参謀が必要になる。
スポンサーを探しているということだから、決まれば経営陣はそこから来るはずである。
この際、日本企業からというようなちんけなことなんか言わず、欧米から人材を迎えてもいいのでは
ないだろうか。ヨウジヤマモトは日本より欧米で売れていたのだから、理解者はよほど多いはずである。
例えば、伊のグッチは1980年初頭くらいから経営不振に陥り、ブランドの存続が危ぶまれていた。
こうした中、94年にグループの最高経営執行者にドメニコ・デ・ソーレが任命され、
当時若手デザイナーだったトム・フォードがクリエイティブディレクターに起用された。
翌年にはデ・ソーレが最高経営責任者に就任し、一方で、トム・フォードは瞬く間にグッチの
新しいスタイルを確立した。その後のグッチの快進撃は周知の通りである。
こうしたブランド再生術が必ずしもヨウジヤマモトに結びつくとは限らないが、経営基盤を安定
させるために株式の公開等の施策が必要かもしれない(企業買収は避けたいところだが)。
また、伊の伝統ブランドでも、米国流のマーケティング論を導入したように、近代化したビジネス
ノウハウを持ち込むこともいたし方ない。これらも選択肢の一つと言える。これはトム・フォードの
ような米国人デザイナーの得意とするところだ。
でも、それが日本人の里美氏、しかも父親のクリエーションを見て育った彼女にすんなり受け入れ
られるとは限らない。経営の立て直しにはまだまだ模索が続くだろう。
ただ、ヨウジファンとしては、売れ筋追随だけには走ってほしくない。シーズンのたびにドキドキ、
ワクワクするような服、着る人間を選ぶカッコいい服が見たい。里美氏が後任のデザイナーに就くのなら、
クリエーションを守るためにも、会社を存続させていくためにも、こうしたいい意味でのバランス感覚が
求められると思う。父親の呪縛にとらわれずそれができれば、ヨウジヤマモトの新しい一歩になるかも
しれない。でも、これはあくまで仮定の話だが…
取引先に宛てた要請文からだ。そこには7月29日付で月末の支払い猶予を求め、弊社の状況として
(株)ヨウジヤマモトは現在、スポンサー候補による投資検討、取引金融機関による金融支援検討が
継続していると、説明がなされていた。
デザイナーの耀司氏は、4月末付で代表取締役を辞任しているが、今後多くのメディアは業績不振に
よる引責辞任と報道するだろう。でも、クリエーターからも身を引くとの話は出ていない。
もし、耀司氏が第一線から身を引くのなら、筆者はクリエーターとしての引き際を大事さを感じての
引退と解釈したい。それが業界で生きる人間としての、せめてものリスペクトと思うからだ。
ただ、スポンサー企業の出方次第では、後任デザイナーの話が出てきてもおかしくない。
順当なら長女でリミヤマモトのデザイナーを務める里美氏だろう。父親の背中を見ながらデザイナー
ファッションの極意を学んで独立。ブランド「LIMI feu」でコレクションデビューも果たしている。
課題は誰が経営にあたるかである。里美氏に父親と同じようなカリスマ性があれば、
クリエーターとしているだけで、古参スタッフが健在なら組織の求心力は高まる。
しかし、まだそこまでにはいたっていないだろう。それ以上に経営不振にいたったヨウジヤマモトを
立て直すことが先決だ。それにはかつての林五一氏のような名参謀が必要になる。
スポンサーを探しているということだから、決まれば経営陣はそこから来るはずである。
この際、日本企業からというようなちんけなことなんか言わず、欧米から人材を迎えてもいいのでは
ないだろうか。ヨウジヤマモトは日本より欧米で売れていたのだから、理解者はよほど多いはずである。
例えば、伊のグッチは1980年初頭くらいから経営不振に陥り、ブランドの存続が危ぶまれていた。
こうした中、94年にグループの最高経営執行者にドメニコ・デ・ソーレが任命され、
当時若手デザイナーだったトム・フォードがクリエイティブディレクターに起用された。
翌年にはデ・ソーレが最高経営責任者に就任し、一方で、トム・フォードは瞬く間にグッチの
新しいスタイルを確立した。その後のグッチの快進撃は周知の通りである。
こうしたブランド再生術が必ずしもヨウジヤマモトに結びつくとは限らないが、経営基盤を安定
させるために株式の公開等の施策が必要かもしれない(企業買収は避けたいところだが)。
また、伊の伝統ブランドでも、米国流のマーケティング論を導入したように、近代化したビジネス
ノウハウを持ち込むこともいたし方ない。これらも選択肢の一つと言える。これはトム・フォードの
ような米国人デザイナーの得意とするところだ。
でも、それが日本人の里美氏、しかも父親のクリエーションを見て育った彼女にすんなり受け入れ
られるとは限らない。経営の立て直しにはまだまだ模索が続くだろう。
ただ、ヨウジファンとしては、売れ筋追随だけには走ってほしくない。シーズンのたびにドキドキ、
ワクワクするような服、着る人間を選ぶカッコいい服が見たい。里美氏が後任のデザイナーに就くのなら、
クリエーションを守るためにも、会社を存続させていくためにも、こうしたいい意味でのバランス感覚が
求められると思う。父親の呪縛にとらわれずそれができれば、ヨウジヤマモトの新しい一歩になるかも
しれない。でも、これはあくまで仮定の話だが…