HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

ジル・サンダー&ユニクロ。

2009-08-15 20:43:25 | Weblog
 この春、ファストファッションのユニクロは高級ブランドのジル・サンダーとデザイン
コンサルティング契約を締結。その第1弾となるブランド「+J(プラスジェー)」が10月
2日デビューする。ジル・サンダーがすっとこだわってきた上質で確かな服づくりの精神
をユニクロが取り入れて、さらなる品質の向上を目指すというものだ。
 ただ、ユニクロが押し進める「ファッションベーシック」路線と素材開発、価格帯では、
これ以上の「革新」には限界がある。それだけに、外部のデザイナー起用はデザイン面で
の活性化を目指し、単なるファストファションで括られるブランドイメージからの脱却し
たいとの思惑も透けて見える。
 思えば、世界的な経済危機で欧米のブランドは売上げ不振が続いている。日本でもコム
デ・ギャルソンがH&Mとのコラボや「ブラックレーベル」で価格訴求路線を取り入れた。
遅れたヨウジ・ヤマモトは取引先への支払い猶予願いとともに身売り説が流れている。
 お客の方が完全に価格と価値とのバランスで商品を購入するようになった今、単なる価
格の高い、価格が安いでは売れない。イオンが売り出した880円ジーンズも本当にお客が
求める商品かは疑問符がつく。個人的にはこれから冬にかけて、デニム素材よりも起毛系
のパンツの方が欲しい。市場にはほとんど出回らないので、それが5000円でも買いたい
ぐらいだ。
 反面、ベーシック路線のユニクロはブランドが浸透し、価値も認められつつあるので、
自社にない「デザインセンス」を海外デザイナーに求めるのは想像に難くない。ただ、ユ
ニクロは06年に「デザイナープロジェクト」と銘打って、国内外の新進デザイナーブラン
ドとコラボして商品を開発したが、結果は散々だった。もともと、素材がそれほど良くな
かっただけに、デザイナーのクリエーションがうまく表現できなかったのである。
 実を言うと、コムデ・ギャルソンとH&Mのコラボレーションも、現場レベルでは「素材
が良くないので…」と本社サイドとの評価は分かれていた。ファッションは素材にありき。
低価格でいい素材を使うのには限界がある。クリエーション表現も難しいのだ。
 では、ユニクロはどうか。過去の失敗もあるし、満を持しての開発。素材調達だけでな
く、生産背景、テイストのすり寄せetc. あらゆるケースを視野に入れてのデビューするは
ずだ。ユニクロがさらにステップアップできるか。10月2日、結果が出る。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする