「駅直結のアウトレットモールという暴挙」「アウトレット用に製造された商品に感じる違和感」のブログ(blog.livedoor.jp/minamimitsu00/)について、筆者もフォローしたい。
そもそもアウトレット誕生の背景には、ルーツである米国ならではの「大量生産」や「大量仕入れ」がある。
どうしても生地段階でキズがある商品や、レギュラー売場でさばききれない商品が発生するため、こうした商
品を最終処分して「現金化」し、メーカーや小売業の「キャッシュフロー」を押し上げるために、アウトレッ
トは開発された。
だから、そこには生産から卸し、小売り、さらに在庫処分と、バーチカルな消化システムがあり、安売りは
あくまで「手段」で、「目的」ではない。
日本に目を向けると、ブランドメーカーはここ数年、売上げが落ち込んでいるため、企画生産する商品を絞
り込み、数量も抑えている。また、売れ筋商品は利益率の高いレギュラー売場で販売したいと考え、正価のう
ちにショップ間を移動させるなど、消化に全力を注いでいる。これが商品をアウトレットに流通させにくくさ
せ、専用品の投入に走らせる一因でもある。
一方、アウトレットに出店する小売業の中には、「バーゲン比率が下がった」と語るところもある。レギュ
ラー売場で鮮度が維持でき、ブランドイメージを高めることにつながるからだ。
しかし、それがバイヤーの能力低下を招いたことには意外に気づいていない。バイヤーはつい、「正価で売
れなければアウトレットがある」と考えるから、自店の客層やMDを無視した仕入れに走ってしまう。
いくら現金化できるといっても、アウトレットに出す商品が増えれば、荒利の低下は避けられない。特に大
手セレクトショップは、インポートなどの高額品が消化できないと、アウトレットに回す傾向がある。
ただ、メーカーではないから専用品は作れないし、回す商品もごく限られる。なのに堂々と出店し、しかも
多店舗化できているのは、何らかのカラクリがあると思わざるを得ない。もし、新たに「安売りの商品」を仕
入れているとしたら、それはもはやアウトレットではなく、「オフプライスストア」だ。
アウトレットには小売業が運営する「リテールアウトレット」がある。ユニクロやギャップのように生産機
能を持たないSPAは、シーズン頭に商品を大量にローコストで調達し、時間をかけて売り減らしていく。その
ため、お客の好みや流行を読み違えれば、大量の在庫をかかえてしまう。 こうした在庫を格安で販売するのが
リテールアウトレットだが、それは正価の荒利が35~50%あるからこそできるのだ。
アウトレットがメーカーにも、小売業にも合理的なシステムであることは認める。しかし、それが「正価で
売る力」を低下させているのは否めない。
メーカーはきちんと計画を立てて生産し、小売業は実需にあった仕入れを行い、商品を売り切って適正な利
益を上げることが原理原則である。それがブランドメーカーであり、有名小売業であるはずだ。しかし、そう
したネームバリュウをアウトレットの集客のために利用するのは、販売力はもちろん、企業力が落ちている証
拠ではないか。
巷には低価格業態があふれている。安さに慣れてしまった日本で、もはや30%~70%オフなんて何のイン
パクトもない。価格メリットでは、アウトレットの優位性は無いに等しいだろう。
また、アウトレットの魅力の一つ、海外の高級ブランドは、 アウトレット出店のために日本に出店したわけ
ではない。あくまでレギュラー店の拡大が目的で、余った在庫があって始めてアウトレット出店ができるのだ。
すでにデベロッパー間での激しいブランド争奪戦が繰り広げられているようで、テナント不足による国内ブ
ランド誘致や専用品販売がさらに進んでいる。だから、有力なテナントなしに開業したアウトレットが、じり
貧になるのは火を見るより明らかだ。
強かな海外ブランドは後から魅力的なモールが開発されれば、商品量を確保するために既存のアウトレット
を閉店し、鞍替えする可能性は十分考えられる。それが東アジア規模で展開されるのも不思議ではない。
それゆえ、日本のアウトレットにはこれ以上の魅力的な品揃えは期待できないと思う。消費者ももう少し賢
くなってアウトレットを見ていかないと、デベロッパーやメーカー、小売りの思うつぼである。
そもそもアウトレット誕生の背景には、ルーツである米国ならではの「大量生産」や「大量仕入れ」がある。
どうしても生地段階でキズがある商品や、レギュラー売場でさばききれない商品が発生するため、こうした商
品を最終処分して「現金化」し、メーカーや小売業の「キャッシュフロー」を押し上げるために、アウトレッ
トは開発された。
だから、そこには生産から卸し、小売り、さらに在庫処分と、バーチカルな消化システムがあり、安売りは
あくまで「手段」で、「目的」ではない。
日本に目を向けると、ブランドメーカーはここ数年、売上げが落ち込んでいるため、企画生産する商品を絞
り込み、数量も抑えている。また、売れ筋商品は利益率の高いレギュラー売場で販売したいと考え、正価のう
ちにショップ間を移動させるなど、消化に全力を注いでいる。これが商品をアウトレットに流通させにくくさ
せ、専用品の投入に走らせる一因でもある。
一方、アウトレットに出店する小売業の中には、「バーゲン比率が下がった」と語るところもある。レギュ
ラー売場で鮮度が維持でき、ブランドイメージを高めることにつながるからだ。
しかし、それがバイヤーの能力低下を招いたことには意外に気づいていない。バイヤーはつい、「正価で売
れなければアウトレットがある」と考えるから、自店の客層やMDを無視した仕入れに走ってしまう。
いくら現金化できるといっても、アウトレットに出す商品が増えれば、荒利の低下は避けられない。特に大
手セレクトショップは、インポートなどの高額品が消化できないと、アウトレットに回す傾向がある。
ただ、メーカーではないから専用品は作れないし、回す商品もごく限られる。なのに堂々と出店し、しかも
多店舗化できているのは、何らかのカラクリがあると思わざるを得ない。もし、新たに「安売りの商品」を仕
入れているとしたら、それはもはやアウトレットではなく、「オフプライスストア」だ。
アウトレットには小売業が運営する「リテールアウトレット」がある。ユニクロやギャップのように生産機
能を持たないSPAは、シーズン頭に商品を大量にローコストで調達し、時間をかけて売り減らしていく。その
ため、お客の好みや流行を読み違えれば、大量の在庫をかかえてしまう。 こうした在庫を格安で販売するのが
リテールアウトレットだが、それは正価の荒利が35~50%あるからこそできるのだ。
アウトレットがメーカーにも、小売業にも合理的なシステムであることは認める。しかし、それが「正価で
売る力」を低下させているのは否めない。
メーカーはきちんと計画を立てて生産し、小売業は実需にあった仕入れを行い、商品を売り切って適正な利
益を上げることが原理原則である。それがブランドメーカーであり、有名小売業であるはずだ。しかし、そう
したネームバリュウをアウトレットの集客のために利用するのは、販売力はもちろん、企業力が落ちている証
拠ではないか。
巷には低価格業態があふれている。安さに慣れてしまった日本で、もはや30%~70%オフなんて何のイン
パクトもない。価格メリットでは、アウトレットの優位性は無いに等しいだろう。
また、アウトレットの魅力の一つ、海外の高級ブランドは、 アウトレット出店のために日本に出店したわけ
ではない。あくまでレギュラー店の拡大が目的で、余った在庫があって始めてアウトレット出店ができるのだ。
すでにデベロッパー間での激しいブランド争奪戦が繰り広げられているようで、テナント不足による国内ブ
ランド誘致や専用品販売がさらに進んでいる。だから、有力なテナントなしに開業したアウトレットが、じり
貧になるのは火を見るより明らかだ。
強かな海外ブランドは後から魅力的なモールが開発されれば、商品量を確保するために既存のアウトレット
を閉店し、鞍替えする可能性は十分考えられる。それが東アジア規模で展開されるのも不思議ではない。
それゆえ、日本のアウトレットにはこれ以上の魅力的な品揃えは期待できないと思う。消費者ももう少し賢
くなってアウトレットを見ていかないと、デベロッパーやメーカー、小売りの思うつぼである。