先日、セレクトショップのビームスから、リーボックのスニーカー「インスタポンプフューリー」の別注モデルが発売された。
エアでシューズのフィット感が調整できるハイテクシューズで、アッパーパーツの幾何学的な組み合わせがデザイン性を際立たせ、かつてはスニーカーファンやコレクター垂涎のアイテムとなったと記憶している。
インスタポンプフューリーはカラフルな色使いが特長だ。でも、今回のモデルは初期型をベースにしたもので、パーツの色を黒やグレー、白といったモノトーンで統一。しかも、左足と右足の配色を変えるアシメトリーカラーという凝った仕様になっている。
販売は数量限定で、関東と関西の一部の店舗に限られ、8月5日時点ですべて完売。量販チェーンなどでは見かけないデザインなので、ビームスの顧客だけでなくスニーカーファンにとっても、待望の逸品となったようである。
時を同じくして、ユナイテッドアローズ(UA)も、8月8日に「ニューバランスの別注スニーカー」を発売するという。
こちらはUAと別業態のビューティ&ユース ユナイテッドアローズがUA創業25周年を記念して「おめでとう」の意味を込め、ゴールドとシルバーの2種類を企画している。
タイプはM1400をベースに、カラリングも思ったほど奇抜には見えない。ニューバランス自体がランニングシューズの基本型のようなものだから、UAがポリシーとするアメカジテイストから大きく外れない仕上がりに落ち着くのは、当然と言えば当然だ。
当方はずっとアディダス派なので履いたことはないが、友人の話では「履きやすいので、永年愛用している」「タウンより遠出に適している」という。
そう言えば、地元セレクトショップのバイヤーも履いていらっしゃった。一度の仕入れで海外を何ヵ国も回るから、疲れないニューバランスが重宝するのかも。そこにUAのブランド力と販路が加わるわけだから、この別注スニーカーもそこそこ売れるだろう。
そこで、別注スニーカーについて、考えてみることにする。
アパレル業界で「別注」は、基本パターンはそのままで、色や素材で企画外のものを生産するときに使う。展示会なんかで、この商品は「別注にも対応しますよ」と、バイヤーに何度も言ったし、営業から何度も聞いたことがある。
バイイングパワーをもつ専門店チェーンになると、別注商品のタグをその店のブランド名に替え、PB化されることもある。
さて、スニーカーの別注も、スポーツメーカーなどの市販品や定番を、ブランドメーカーやセレクトショップが自社企画としてアレンジするケースがほとんどだ。
今から十数年前の裏原ブームのときは、有名メーカーの別注スニーカーも登場した。当時は、別注と言う業界用語は使われず、「ダブルネーム」という呼び方をされていた。
この時、爆発的なヒットを飛ばしたダブルネームが「アベイジングエイプ」だろう。アディダスのハイカットなどをベースに、キャラクターのサルやカモフラージュ柄で、別注をかけたものだ。
限定品とされたことで、若者の間では大人気を博し、発売時にはショップ前に長蛇の列ができ、ネットオークションでは価格が10倍にも跳ね上がるレア価値まで生んだ。
他にも、コムデ・ギャルソンはナイキとの間で、定番コルテッツのカラフルなタイプを企画したし、ジル・サンダーもプーマモデルを使った高級レザースニーカーを発売した。
こう考えると、別注スニーカーはスポーツメーカーが持つ「木型」による市販品を使って色や素材のみを替え、デザイナーやセレクトショップのブランド価値をつけ、「荒利益を稼げる」効率のいい企画アイテムということもできる。
ちなみに価格は、ビームスのリーボック・インスタポンプフューリーが19,224円(税込)、UAのニューバランス1400(ゴールド)が19,980円(税込)、966(シルバー)が14,040円となっている。
UAが発売するニューバランスは、オリジナルのM1400が20,000円以上するところを考えると、かなりリーズナブルだ。25周年のご祝儀価格の意味もこもっているのか、今回の企画ではそれほど利益は出ないと思われる。
スニーカーの場合、履きやすさも購入の条件に入るから、そのノウハウをもつスポーツメーカーの木型を使った方が売れる可能性は高い。そうは言いつつも、ブランドメーカーはオリジナリティを、セレクトショップは品揃えの差別化を出したい。
そこで、そうした商品企画やMDの妥協点を見いだしながら、かつ最大利益を上げられるのが、「別注スニーカー」ということだろう。ファッションと言えばそうだし、経営上の効率追求と言えば、これも間違いではない。
筆者は別注スニーカーはこれまで1足も買ったことがない。スポーツジムでは専用の上履き、ランニングでも季節ごとに履き替えているが、すべてアディダスの市販品だ。
最近では、アディダスが米国向けのランニングシューズで、「自分仕様」を発売している。日本でも一部のスニーカーで採用されているのと同じ手法で、トップからソールまでほとんどのパーツの色が変えられるものだ。
これなら、自分オリジナルに近くなるし、ウエアとのコーディネートはもちろん、シューズそのものの存在感も主張できる。この秋はぜひ、これを履いて大濠公園でランニングをしようと考えている。
もちろん、オリジナルも気になる。木型やデザイン料が載っているため、価格はずば抜けて高い。でも、Y-3のデザインものなんかは、モード感いっぱいで、こちらはこちらで履いてみたい。
メディアがいくらファッションとして取り上げようが、どこかで効率追求があるように思えてならない別注スニーカー。そのマーケットから、筆者は外れているようである。
エアでシューズのフィット感が調整できるハイテクシューズで、アッパーパーツの幾何学的な組み合わせがデザイン性を際立たせ、かつてはスニーカーファンやコレクター垂涎のアイテムとなったと記憶している。
インスタポンプフューリーはカラフルな色使いが特長だ。でも、今回のモデルは初期型をベースにしたもので、パーツの色を黒やグレー、白といったモノトーンで統一。しかも、左足と右足の配色を変えるアシメトリーカラーという凝った仕様になっている。
販売は数量限定で、関東と関西の一部の店舗に限られ、8月5日時点ですべて完売。量販チェーンなどでは見かけないデザインなので、ビームスの顧客だけでなくスニーカーファンにとっても、待望の逸品となったようである。
時を同じくして、ユナイテッドアローズ(UA)も、8月8日に「ニューバランスの別注スニーカー」を発売するという。
こちらはUAと別業態のビューティ&ユース ユナイテッドアローズがUA創業25周年を記念して「おめでとう」の意味を込め、ゴールドとシルバーの2種類を企画している。
タイプはM1400をベースに、カラリングも思ったほど奇抜には見えない。ニューバランス自体がランニングシューズの基本型のようなものだから、UAがポリシーとするアメカジテイストから大きく外れない仕上がりに落ち着くのは、当然と言えば当然だ。
当方はずっとアディダス派なので履いたことはないが、友人の話では「履きやすいので、永年愛用している」「タウンより遠出に適している」という。
そう言えば、地元セレクトショップのバイヤーも履いていらっしゃった。一度の仕入れで海外を何ヵ国も回るから、疲れないニューバランスが重宝するのかも。そこにUAのブランド力と販路が加わるわけだから、この別注スニーカーもそこそこ売れるだろう。
そこで、別注スニーカーについて、考えてみることにする。
アパレル業界で「別注」は、基本パターンはそのままで、色や素材で企画外のものを生産するときに使う。展示会なんかで、この商品は「別注にも対応しますよ」と、バイヤーに何度も言ったし、営業から何度も聞いたことがある。
バイイングパワーをもつ専門店チェーンになると、別注商品のタグをその店のブランド名に替え、PB化されることもある。
さて、スニーカーの別注も、スポーツメーカーなどの市販品や定番を、ブランドメーカーやセレクトショップが自社企画としてアレンジするケースがほとんどだ。
今から十数年前の裏原ブームのときは、有名メーカーの別注スニーカーも登場した。当時は、別注と言う業界用語は使われず、「ダブルネーム」という呼び方をされていた。
この時、爆発的なヒットを飛ばしたダブルネームが「アベイジングエイプ」だろう。アディダスのハイカットなどをベースに、キャラクターのサルやカモフラージュ柄で、別注をかけたものだ。
限定品とされたことで、若者の間では大人気を博し、発売時にはショップ前に長蛇の列ができ、ネットオークションでは価格が10倍にも跳ね上がるレア価値まで生んだ。
他にも、コムデ・ギャルソンはナイキとの間で、定番コルテッツのカラフルなタイプを企画したし、ジル・サンダーもプーマモデルを使った高級レザースニーカーを発売した。
こう考えると、別注スニーカーはスポーツメーカーが持つ「木型」による市販品を使って色や素材のみを替え、デザイナーやセレクトショップのブランド価値をつけ、「荒利益を稼げる」効率のいい企画アイテムということもできる。
ちなみに価格は、ビームスのリーボック・インスタポンプフューリーが19,224円(税込)、UAのニューバランス1400(ゴールド)が19,980円(税込)、966(シルバー)が14,040円となっている。
UAが発売するニューバランスは、オリジナルのM1400が20,000円以上するところを考えると、かなりリーズナブルだ。25周年のご祝儀価格の意味もこもっているのか、今回の企画ではそれほど利益は出ないと思われる。
スニーカーの場合、履きやすさも購入の条件に入るから、そのノウハウをもつスポーツメーカーの木型を使った方が売れる可能性は高い。そうは言いつつも、ブランドメーカーはオリジナリティを、セレクトショップは品揃えの差別化を出したい。
そこで、そうした商品企画やMDの妥協点を見いだしながら、かつ最大利益を上げられるのが、「別注スニーカー」ということだろう。ファッションと言えばそうだし、経営上の効率追求と言えば、これも間違いではない。
筆者は別注スニーカーはこれまで1足も買ったことがない。スポーツジムでは専用の上履き、ランニングでも季節ごとに履き替えているが、すべてアディダスの市販品だ。
最近では、アディダスが米国向けのランニングシューズで、「自分仕様」を発売している。日本でも一部のスニーカーで採用されているのと同じ手法で、トップからソールまでほとんどのパーツの色が変えられるものだ。
これなら、自分オリジナルに近くなるし、ウエアとのコーディネートはもちろん、シューズそのものの存在感も主張できる。この秋はぜひ、これを履いて大濠公園でランニングをしようと考えている。
もちろん、オリジナルも気になる。木型やデザイン料が載っているため、価格はずば抜けて高い。でも、Y-3のデザインものなんかは、モード感いっぱいで、こちらはこちらで履いてみたい。
メディアがいくらファッションとして取り上げようが、どこかで効率追求があるように思えてならない別注スニーカー。そのマーケットから、筆者は外れているようである。