昔、子供達になりたい仕事を聴くとパイロットやスポーツ選手などに次ぎ、「大工さん」が、常にベストテンに入っていた時期がありました。
工事現場では、大工さんが刻み込む木材に斜めに腰を置き、差し金(写真)を使い、墨を浸した墨壺に墨差し(竹の先を削いだ筆)で線を引いてゆくのを、子供ながらに不思議な感覚で見ていたことがあります。
墨の付いた木材は、鑿(ノミと読み、木材にホゾ云う孔をあける刃物)ノコギリなどを器用に使用して刻まれます。
眼に触れる部分は鉋(カンナ)と云う、丁寧に研いだ鋼を木台に嵌め込んだ道具で、木材の表面を腰の高さに設えた鉋台において、一気に引き込むと紙より薄い0.1ミリにも満たない木材の薄皮がカンナの上部から吹き出てきます。
大工さんは、「手板」と云われる綺麗にした木板に四角い墨点を一間(1.82m)ごとに墨差しで描き、それを直線で繋ぎます。
手板は平面二次元なのですが、大工さんは当然ながら二次元から三次元(立体的な構造)を意識して墨付けを行い、刻みを掛けてゆきます。
刻まれた木材には、「あ1」、「や4」等と大工さんの暗号めいた番号が記されています。
子供達は、私も含め大工さんのこの作業をとても興味深く見つめておりました。
この作業の殆どは、家を建てる施工現場で行われます。
その刻んだ木材は、次々と建て込まれ、建主の子供達も自分の家の出来る様を目の当たりにするのです。
この大工さんの頭脳と技量を神秘的に見えたものです。
10年の修行を終えると、この刻みから建て込みまで出来る大工になれと云われました。
私は大工でなく15歳で、日当手取りの多い鉄骨トビ職となり、19歳で独立、21歳で起業し、工務店経営をしながら31歳から住宅システムの研究開発を行い現在に至ります。
木造住宅も現在は、コンピューターでプレカットされ、大工さんの仕事は現場建て込みと、その後の内装仕上げなどに変わって来ました。
手刻みの方がSDGsの理念にもかなうのですが時代潮流なのですね。
写真は新築中の我家の「#ファースの家」現場、差し金の目盛りがミリになっています。
「#ファース工法」「#空気サラサラ」「#ファースの家」「#福地建装」「#フクチホーム」
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