高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

おおさか食研会

2006-01-25 | 料理日記

 今回は本当は前回の有機野菜の料理教室の続きなのですが・・。いや、本当は書いたのですが、アップに失敗して記事の内容がすべて消えてしまいました。なので、今回は別のお話をします。

 昨年、亡くなられた恩師が主催してくださっていた「なにわ旬菜語ろうの会」。主催者を無くした会がようやく再スタートしました。その名が「おおさか食研会」です。故人の思いでもあった大阪近郷のこだわりのある食材を守っていきたい、という願いを受けついた料理人による勉強会です。

 食材や料理の手ほどきは上野修三先生が、そして浪速魚菜の会の笹井さんがこの会を取り仕切ってくれることになりました。参加者の方も前回からの参加者に加えて、今回の会場となったびわともさん、そして最近お付き合い頂いている伊万邑さん・このはさんのご主人にも参加していただきました。

 今回の食材は赤舌平目と難波ねぎ・長芋・自然薯です。

60118_1454_1  舌鰈は薄く塩を振ったものをしばらく寝かせてお造りにする紙塩造りで頂きました。

 一般的にお造りは、身が活かっていてコリコリとした歯ごたえが醍醐味ですよね。特に関西は、この歯ごたえを大切にします。しかし、旨みの点から言うと魚を絞めてからしばらく時間が経った方が身の中のアミノ酸の量が多いのです。そこで、塩を振ることにより身の芯の部分にはコリコリとした食感を残しつつ、魚の旨みを引き出すのです。目からうろこの発想で、確かに少しいつもよりも歯ごたえには劣るかもしれませんが、身の味はしっかりしていているように思われました。

 自然薯と長芋はトロロにして食べ比べをしました。

 やはり、香り・風味では自然薯の方が格段に良いです。というより、土の香りがするのです。なので、これが苦手と思う方は長芋の方が美味しく思われるかもしれませんね。また、この二つは用途の違いも明らかで、アク・粘りの少ない長芋は生食に、粘りの強い自然薯は揚げ物やとろろ汁、料理のつなぎなんかに最適ですね。

 ちなみに、この自然薯は自然のものはアクもかなり強く、形もかなりいびつ。なので、天然の種をつかい、半栽培的に育てたものの方が美味しく頂けるのです。もちろん、だからといって農薬や化学肥料を使用するというのとは別ですが。

 難波ねぎは、私も今回初めて食しました。ねぎを直焼きしたものにお味噌を添えたもの、刻んだねぎに三杯酢をかけ、花かつおをあしらったもの。直焼きのねぎはとても甘くて、風味が豊か。ねぎを焼くとこんなに美味しくなるとは・・、初めて知りました。いや、難波ねぎだからかもしれませんね。あと、三杯酢は本来は醤油と酢と砂糖なのですが、今回は砂糖の代わりに味醂を使用。シンプルだけど、ほっと和む味でした。

 今回、新たな一歩を踏み出した「おおさか食研会」。この会を通じて、いろいろと学んでいき、それをまたいろいろな方に知って頂ける様に頑張りたいですね。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

有機野菜料理の栄養価

2006-01-23 | インポート

鶏もも肉と大根のあまから煮

 煮付けタレに生姜のスライスを加えると、魚の煮付けなどにも使えます。

乾しいたけはビタミンD(カルシウムの吸収を助ける)・植物繊維が豊富。コレステロールや高血圧低下作用もありなかなか優れた健康食材なのです。

旬の有機野菜の豆乳スープ

 スープはとにかく食べやすい。食わず嫌いなお子様も、スープに溶け込んだ野菜の旨みで慣れることが大切です。舌が必ず記憶しておくと思うのです。化学調味料を使わないことを心がけてくださいね。

 多くの種類使うことーさつま芋(芋類)には加熱しても壊れないビタミンCや食物繊維。人参(緑黄色野菜)にはビタミンA(胃腸や気管支などの粘膜を正常に保ち、皮膚の状態を整える。成長促進作用も有り。)になるカロテンが多く含まれます。玉葱(淡色野菜)にも免疫力をアップさせ、疲労回復などの働の他に生活習慣病やガンを予防する効果があることが最近分かってきたようです。

 豆乳にはイソフラボンが含まれます。(女性ホルモンと似た働きをして、骨粗鬆予防に効果あり、肌に良い、ビタミンB/Eも含まれている) また、大豆には多くの植物性タンパクが含まれており、子供の発育にはとても貴重な植物性の栄養源となります。

 焼きりんごのはちみつヨーグルト掛け

 リンゴは腸内にて悪玉菌を減らし。善玉菌を増やす。腸の吸収がよくなるので、ヨーグルトやオリゴ糖を多く含むハチミツとの食べあわせがとても良いのです。また、リンゴの皮にはフェノールやペクチンが多く含まれて、ポリフェノールには、抗酸化物質として生活習慣病やガンの予防効果あり、ペクチンは腸のぜん動運動を活発にして便秘を予防してくれます。

 今回の料理を考える時には、美味しさは勿論ですが、お手軽さ・子供達が食べやすくて・女性の方の健康に優れた栄養価のあるものを大切にしました。有機野菜は、水耕栽培などと比べてても野菜そのものの栄養価も高いですし、残留農薬は体内で活性酸素を発生させるのでやはり有機栽培はとても体にも環境にもとても大切です。

 有機野菜の味が、その他の方法で作られた野菜よりも圧倒的に味が濃かったりすることを消費者は望みます。しかし、そうでないものも多くありますし、野菜の味の違いはとても繊細だと思っています。なので、値段の違いは味だけではなくて、健康という価値も認めて欲しいと思います。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

有機野菜料理のレシピ

2006-01-19 | 料理日記

鶏もも肉と大根のあまから煮

材料(8人前)-鶏もも肉720g 大根1/2本 干し椎茸8枚 昆布3g 柚子・塩 適宜

①鶏もも肉、大根(皮をむいたもの)を1人前、4貫ずつになるように切る

②切ったものを鍋に入れて、昆布・水・塩小匙1を加えて約15分程炊く。(大根に串がスッと刺さる程度。)具はザルにとり、出汁・昆布は豆乳スープに加える。

③煮付けタレ(酒150cc・味醂150cc・干し椎茸の戻し汁150cc・砂糖15g・濃口醤油50cc)を全て鍋に入れる。

④タレが沸いてきたら、鶏もも肉・大根・乾しいたけ(一口大に切ったもの)を加えて、5分ほど炊く。水溶き片栗粉(水1~2:片栗粉1)でトロミをつける。

⑤柚子を刻んだものをふりかけ、季節の青みを湯がいたものを散らしてできあがり。

旬の有機野菜の豆乳スープ

材料(8人前)-玉葱1玉 (金時)人参1/2本 薩摩芋50g(1/2本) 

白菜100g(1/8個) 豆乳300cc 水1L 昆布3g 薄口醤油大匙1

 塩適宜

①玉葱・人参・薩摩芋・白菜は1.5cm程の大きさの色紙切り(四角形

)に切る。

②鍋に少し多めの油をひき、玉葱・白菜の芯の部分を入れる。野菜が

焦げないようにし、塩を小匙一杯を加えてじっくり炒める。

③玉葱が透明に透き通るくらいまで炒めたら水を加えて、昆布・人参・

白菜の葉の部分・さつま芋を加えて蓋をして煮込む。

このとき、スープの表面が微かに揺れるくらいの火加減になるように

気をつける。

④15分程加熱したら、「鶏もも肉と大根」の湯掻き汁を加えて更に

5分程加熱する。

⑤火を弱火にして豆乳を加え(豆乳を加えたら、沸かさないように)、

味を調節したら出来上がり。

焼きりんごのはちみつヨーグルト掛け

材料(8人前) リンゴ2個 三温糖200g 水120cc バター30g 

ヨーグルト・ハチミツ・レモン果汁 適宜

①リンゴは皮を剥かず芯だけを取り、縦に12カット・横に2カットする。

②フライパンに水と三温糖を入れて、カラメルを作る。少し大きめの泡

が立つようになったらリンゴを加えて、リンゴが柔らかくなるまで加熱。

仕上げにバター・レモン果汁を加え、よく混ぜて仕上げる。

③ヨーグルトにお好みに果物を刻んだものやジャムを加え、少量の

ハチミツ・レモン果汁を加える。

  作り方だけ、書かせて頂きました。この次は、栄養面なども

ご説明したいと思いますのでお楽しみに。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オーガニック料理教室を終えて

2006-01-16 | 料理日記

060115_1245

   「ビオ・マルシェ 甲東園店」で、14時から2時間ほど店内のスペースを使って有機野菜を使ったお料理を披露・試食して頂きました。

 店内はとても清潔感のあるお店。長いカウンターにIHクッキングヒーターとカセットボンベを並べて、私の到着を待っててくださいました。

 以前に、お話を頂いて一度下見には来た事があるのですが、はやり初めての場所はとても緊張するし、なかなかスムーズに行かないことが多いです。

 カウンターの前には見学者さんの椅子が10席ほど用意されていて、そのすぐ目の前に調理を行うのでとても緊張しました。

 初めてということもあり、私自身はこのブログ以外には特に宣伝もしませんでした。店の人に聞くと、このようなイベントを行うことも今まであまりなく、またそんなに人数も集まらないとのこと。天気には恵まれたものの、誰も来なかったらどうしようー、と少し心配になってきました。(デビューしたての芸能人も、こんな感覚におちいるのかな。)

 開始の2時を少し過ぎたところで、スタート。なんとか、7名くらいの方が見学に来てくださいました。最初にイベントということもあり、とにかく参加人数は別にして、折角来ていただいた方に少しでもお役に立てるように頑張ろうと気合を入れ直して臨みました。作ったメニューは、旬の有機野菜の豆乳スープ・鶏もも肉と大根のあまから煮・焼きりんごのはちみつヨーグルト掛けの三品。(後日、詳しく説明しますね。)

 開始してから、暫くして徐々に人が集まりだしてきました。最終的にいは20名程の方は試食をして頂いて、座る椅子が足りなくて、立ち見の方も居られました。しかも、途中に帰る方が1人もおられなかったのでほっと一安心。開催側の店の方が、次に開催する時にはもっと椅子を用意しますね、とおっしゃてくれたのがとても嬉しかったです。

 自分の作った料理を食べてもらう時の不安や期待で未だにとてもドキドキします。

 食べてくださった見学者の方の感想を、耳をダンボにしつつ、次の料理の用意と説明を進めていきます。全ての料理を試食いただいたあと、質問の時間に。やはり、ここで何もリアクションがないと落ち込むのですが、今回はいろいろな質問が。昆布の見分け方や乾しいたけの戻し方、食材の栄養のことなど、とても熱心に質問していただいて、講師冥利に尽きますね。

 このときにお話したなかで、私の目標でもある10点満点の美味しさについて簡単に書かせてください。

 今の料理は化学調味料の進化で、簡単にとても美味しい料理が作れるようになりました。しかし、それは必要以上に旨みを足していくことになり、かなり濃い味や旨みにしか反応しなくなってきたように思います。8点の素材に、いろいろな技術や食材を加えることにより、30点・40点の旨みを持たせる。その弊害として本来の野菜の味や風味を感じにくくなってしまいます。だから、私は旨みを加えることだけでなくて、食材の良さを最大限に活かして、自身の技術を磨いて10点に限りなく近い料理を作りたいとおもいます。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

野菜のソムリエ 出版記念講演会

2006-01-16 | インポート

 ベジタブル&フルーツマスター協会の福井理事長の出版講演会に参加しました。

 協会からの本はもう5冊ほど出版されているのだけれど、今回は理事長個人が書き下ろした著書。協会を創立するに至った思いやこれからの農業に対する考えがまとめられた内容となっています。 幻冬舎 野菜のソムリエの美味しい経営学

 私が野菜のソムリエの資格を取ったのは、去年の夏。大阪で生まれ・育った私にとって、自然と触れ合う機会はほとんどありませんでした。なので、以前からこれはなんとかしないといけないという思いがあり、受講しました。これまでにも調理師や焼酎アドバイザーや健康管理士などの資格も取りましたが、資格取得後もいろいろな勉強会や交流会があるのは、この野菜のソムリエだけですね。

 昨年も理事長講演会を通じて、多くの資格取得者の方との出会いがありました。生産者の方だけでなく、いろいろな業種の方が集まっています。そして、これからの農業についてや流通についてや、販売について学んだり・話し合ったりします。

 今年最初の集まりということもあり、年始のご挨拶があちらこちらで聞こえてきました。私も年末に不参加が続いたので、久しぶりに会う方ばかり。「いろいろな方面で活躍してますね。」とか、「お忙しそうですが、大丈夫ですか。」とか、いろいろと気遣ってくれます。少しの時間なのですがお互いの近況を話し合えたりして、学生時代の長期休み明けのような感覚になりました。

 講演会の内容は、本を読んで頂いた方がダイレクトに伝わると思うので是非読んでみてください。いろいろな気付きがある内容になっていますよ。

 いつも思うのだけれど、福井理事長はとても熱血なのです。講演会なども話し出したら止まらなし、とてもフランクに接してくれます。社員に対する年頭の挨拶が「夢の実現と感謝の気持ち」ですからね。数字の目標を掲げることはあっても、こんなこという協会のトップって、なかなかいませんよね。

 今回の講演の中で1番心に残った言葉・・・夢は、実現できることしか思い浮かばない。少ないかもしれないが、可能性があるから夢として思い描ける。そして、夢は実現できるものだと私は信じてます。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする