日本酒専門店に務めることになって、今更ながら気づいたこと。
今までは料理のことや食べる方のことを考えて料理を作ってきましたが、今はそれだけでは足りません。
日本酒の専門店にいる以上、やはりおいしく日本酒を飲んで頂くための料理が前提となります。そう、お酒と料理の相性です。今までの自分には無かった感覚。日本酒は基本的に旨みがたっぷりあるので、料理はこれまで以上に甘さを控えて、スッキリさせないといけないようです。
だからといって、お酒に料理が束縛されるのではなくて、 お互いが引き立てあう関係が理想。日本料理の塩梅を目指す私自身とって、これはとても貴重な巡り合わせです。よりシンプルに料理を見つめることが出来たり、今までとは違った角度から料理と接することが出来るかもしれません。
また、今までよりもより酒を味わうようになり、 そのお酒を構成する味を一つ一つひも解いていく。そして、その中に共通点を見出して、料理を合わせる。自分の味覚のキャパが増えていくような気がしています。
食の奥の深さを感じつつも、周りのスタッフの支えや、日々新たな発見を出来る今の環境にとても感謝しています。 まだまだ課題はたくさんありますが、一つ一つ乗り越えて、自分が目指す料理人に近づいていきたいと思います。
最近のお気に入りの一本。 不老泉 山廃仕込み 三年熟成。 山廃ならではの余韻を残しながら、3年という熟成期間がとても上品な風味に仕上げている。旨みの厚みのあり、風味もありで、最近のお気に入りの一つです。津村さんの河内鴨のローストにも、相性ピッタリだと思います。