
持田豊著、中公新書刊
興味を持っていた青函トンネル建設について、本書は調査段階から完成までのほぼ30年間、事業に携わった著者が執筆した書籍です。
新人として津軽海峡の海底を原始的な方法で調査し始めた場面や、地層の調査、分析、ルート、工法の検討、着工後は断層での出水や強大な力で膨張してくるトンネル掘削面への対応など、端的に臨場感豊かに記しています。
また、長期に亘る事業期間中に生じた社会経済状況による影響についても述べています。
30年間一つの仕事に打ち込み、しかも、下っ端から責任者まで勤め上げた希有の経験は、恐らく唯一無二のものと思われます。
青函トンネル事業が困難な世界的事業と認められていたことから、完成後、世界各地のトンネル計画でアドバイスを求められたそうですが、特に英仏海峡トンネルではアドバイザーとして、計画段階から竣工まで、彼我の異なる地質・気質・文化を超えて貢献したようです。
青函トンネルほどの難しい事業はなかったのだと、本書を読んで納得しました。
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○持田豊 ○青函トンネル ○英仏海峡トンネル
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評価は4です。
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