狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

責任をぼかす沖縄タイムス、不発弾か「盗品」か

2010-04-13 07:33:08 | ★米兵事件

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沖縄タイムスに【「普天間問題」県民の声 ホットライン】という電話とファックスの番号が記載されたコーナーがある。 そこで毎日「県民の声」を紹介しているが、そのほとんどが「県外・国外」あるいは「沖縄だけが基地被害を受けている」といった紋切り型。

だが、本日(13日)の「声」は東京に住む沖縄県人の複雑な心境を表して興味深いので次に紹介したい。

基地の金返そう

屋良保さん(55)  普天間飛行場を受け入れると言って受け取った(関連の)交付金約750億円を国に返すべきではないのか。本土の人たちは沖縄は金をもらって基地反対はおかしい、と言う。 同僚に北方領土の出身者がいるが、墓参りにもいけず、沖縄よりもっと不幸だと言う。 徳之島でも若い人は島を出て沖縄に移住している人が多いと言っていた。 貧乏しても基地はいらないと言わないと、本土の人たちに問題を理解してもらうのは難しいことを知って欲しい。(東京、会社員) >

                    *

読者の石原昌光さんがGJをしてくれましたので、全文紹介します。

石原昌光さん

狼魔人様こんにちは、
うるま市の民間住宅で、発見された米国製1963年型の対戦車榴弾の放置事件での4/11日付沖縄タイムスの社説が余りに酷いので(内容は長いので割愛、詳しくは紙面を御確認下さい)沖縄タイムスに電話してみました。
編集者:はい、沖縄タイムス、読者センターです。
私:4/11日付の沖縄タイムスの社説について質問があるんですが?
編集者:4/11日、少々お待ち下さい(30秒程経過)はいはい、どうぞ
私:社説の中央の文字なんですけどね、、
編集者:?何面ですか、、
私:社説の中央の文字です!
編集者;ああ、社説の見出しですね、、
私:はい、見出しです。ここに<お寒いお役所仕事>って書いてありますよね?
編集者:ええ、、
私:確かに今回の件は、県も国も、米軍の対応も余り良くなかったと思います、、ですが、一番の原因は、榴弾を拾ってきた家主(故人)にあるんじゃないですか?
編集者:、、、、、、、、、そうですね、よくなかったと思います。
私:しかし、その一番問題のある点に、4/11日の社説では触れていない、これはどういう事ですか?被害者(故人の妻)への配慮ですか?
編集者:え~そのあたりのことは、執筆者に聞かないと分からないですね、、、
私:これは大問題ですよ!4・25には県民大会も開かれるんですよね?基地はノーだと言っている県民がですよ?基地はオロカ、砲弾とも仲良く付き合っている、、なんて事が本土の人間に伝わってごらんなさい?どうなります!
編集者:うーん、それは問題ですねぇ、、、不発弾を持ち帰るというのは常識的に考えても、、う~ん、、、
私:ですから、タイムスさんには、大々的に啓蒙キャンペーンを張って欲しいんですよ、、ひょっとしたら、今回の事件で、ウチにも砲弾がある、、と名乗り出てくる人もいるかもしれませんよ、、だから、県民に向けて、不発弾は家に持ち帰らない!と。
編集者:ごにょごにょ、、(何事かをぼやいているようだが声が小さく聞こえない)
私:(これ以上話を引っ張っても無駄だと思い話題を変える)あと、、ですね!この対戦車榴弾の事ですけど?
編集者:はい、、、
私:この榴弾は、不発弾なんですか?社説の上部には榴弾放置事件とありますけど、社説の内容では不発弾と書いてある、、どっちですか?
編集者:不発弾はですね、、、発射されても発火せずに不発になった弾薬のことです。
私:でも、4/10日のタイムスの文化31面の記事には<ことば・不発弾>、ってあって、、、
編集者:はい、、、
私:そこには、、第二次大戦中、艦船から射撃された砲弾、飛行機からの投下された爆弾で、発火せず不発になったもの<中略>と、書いてあるんですよ、今回の榴弾は戦後に作られたものですよね?
編集者:ええ、、
私:また、うるま市の見解でも、「今回の榴弾は不発弾ではなく危険物であるため、警察が対応するものと思った、、」と言ってます!タイムスさんとしては、今回の事件は榴弾放置事件なんですか?不発弾事件ですか?沖縄タイムスの不発弾の定義を教えて下さい!
編集者:え~、、、この場合は、、、不発弾でもあるし、、、榴弾の放置でもあるし、、、ごにょごにょ、、(また声が小さくなる、、、)
私:そもそも、今回発見された榴弾が不発弾かどうか?(狭い意味での発射されたが発火せず不発になった砲弾の意)さえ、現時点では分からないですよね。もしかしたら、米軍が回収しわすれた遺棄弾かもしれない、、、不発弾ではなく遺棄弾と書いてはどうです?その後、詳細が分かって狭義の不発弾と判明したら、呼び方を変えればいいですし、、、
編集者:そうですね、遺棄弾という呼び方もありますね、、、
私:(疲れてきて)それじゃあ、頑張ってください、質問に答えて下さって感謝します。
編集者:失礼ですが、そちらのお年は?
私:35歳です!(苦笑)
なんとも暖簾に腕押しの編集者相手に一人で喋っていたような気がしますが、少なくとも2点については分かりました
1、タイムスの社説の論旨は、必ずしも全編集者が共有していない、、
2、タイムスでは、不発弾の定義が、かなり曖昧である。
最近の社説で沖縄タイムスは、学校教材に新聞を生かして、、、なんて書いていましたが、タイムスを読んで沖縄の児童の学力がグングン伸びてくれたらいいですね、、、

                                        ◇

ついでながら、というよりメディアリテラシーの教材として問題のタイムス社説を引用する。

[りゅう弾放置]背筋寒い「お役所仕事」  2010年4月11日

 融通の利かない杓子定規(しゃくしじょうぎ)の対応のことを「お役所仕事」というが、このケースはその典型と言っていい。

 もしも今、屋敷内で爆発したら、一体だれが責任をとるのか。

 うるま市の民家に持ち込まれた1964年米国製の対戦車りゅう弾が、関係機関に連絡したにもかかわらず、処理されないまま通報後5カ月も、敷地内に放置されている。

 絵に描いたような、お粗末きわまりない「お役所仕事」というほかない。

 このりゅう弾は沖縄戦の際に使用された不発弾ではない。そのことが処理を手間取らせたのは確かだ。

 りゅう弾は、この民家に住む女性(73)の夫(故人)がずっと前に家に持ち込んだもの。2009年11月に、この女性の知人が不発弾の危険性を指摘し、うるま署に通報した。

 沖縄戦で使用された不発弾であれば、決められた手順に基づいて、警察が陸上自衛隊に処理を要請。自衛隊は現物を回収するか、もしくは現地で爆破処分か信管を抜き取る安全化処分をすることになる。

 今回、警察からの連絡に対し、自衛隊は、沖縄戦で使用された不発弾ではないため「処理は対象外」だと判断、土のうを積むなどの安全対策は取ったものの回収も現場での処分もしなかった。

 米軍に処理を要請したところ、米軍は、日本の政府機関からの文書による要請が必要、だとして出動しなかったという。

 県警は沖縄防衛局にも連絡している。で、防衛局はどうしたか。

 本社の取材に対し、防衛局は「公的機関の間の依頼は口頭でなく文書で行われるのが通例。当局としては担当者間の電話のやりとりで県警から何らかの依頼を受けたとの認識はない」と説明している。どっちもどっち、だ。

 県も2月の段階で不発弾確認の報告を受けているが、米軍が処理を引き受けるだろうと判断し、これまた動いていない。

 米軍を含む関係機関が緊急に集まって対応を協議し、規則や決まりに縛られずに、住民の安全を第一に考えて処理することは十分可能だったはずだ。

 それができなかったのはなぜなのか。どこに問題があるのか。関係機関は連絡体制をもう一度点検し、マニュアルの不備を見直してもらいたい。

 警察に通報したにもかかわらず、5カ月も民家の敷地内に放置され続けている現実は異常である。

 戦後の米国製砲弾をどのように扱うのか。早急な指針づくりが必要だ。

 沖縄の地下には今なお、推定量2300トンの不発弾が埋まっているが、地上にも米軍が相当量の砲弾や弾薬類を貯蔵・保管している。米軍基地から未使用弾が流出したり演習場の不発弾が持ち出されるおそれがあることを忘れてはならない。

 過去の戦争も現在の戦争も、県民にとっては「進行形の問題」なのだ。

                    ◇

読者の石原昌光さんが沖縄タイムス社説の問題点を、直接電話して記者との会話の中から的確に炙り出していただいたので、これ以上のコメントは不要とは思うのだが。

以下に筆者の蛇足を書くので読んでいただきたい。

>もしも今、屋敷内で爆発したら、一体だれが責任をとるのか。

責任は「不発弾」を屋敷内に持ち込んだ「拾得者」にある。

これは糸満市で起きた不発弾爆発事故の際、事前に電磁波調査を怠った糸満市に責任があるのと同じである。

「民間住宅内に米軍不発弾不発弾」、

このニュースをタイムス記者が初めて聞いた時、これでまた米軍を糾弾出来ると、躍り上がって喜んだことだろう。同時に次のような一面トップの見出しが脳裏で躍ったであろう。

「住民無視の米軍の暴挙」

「米軍基地の全面撤去」

だが、よくよく調べてみると、今度は「金武町流弾事件」が脳裏を過ぎったに違いない。

安易に米軍へ責任転嫁すると米軍調査団の反撃を食らう虞がある。 振り上げた拳の下ろしどころに困ったタイムスは、「お役所仕事」に責任を求めた。

なるほど、昨年11月に「事件」が発覚して以来の国、県、市の対応は無責任きわまるものがあり、タイムスが怒るのももっともではある。

だが、石原さんがいみじくも指摘するように今回の「事件」の第一義的責任は「不発弾」を保管する女性の亡くなった夫である。

女性は亡夫が拾ってきたというが、拾った経緯は不明な点が多い。

いくら不発弾の多い沖縄と言えども、戦後製造された巨大爆弾を米軍が民間住宅地に撃ち込むとは考え難い。

写真でも明らかなように長さ70cm、直径が10cmもある対戦車りゅう弾が街中に転がっている筈も無く、「拾得者」が基地の中のしかるべき場所から持ち出したと考えるのが道理に適っている。

本島中部の民家で保管されている信管付き米国製対戦車りゅう弾。長さ約70センチ、直径約10センチで左側が弾頭。安全性のため土のうなどに囲まれている=8日、本島中部(上地一姫撮影)

[画像を拡大]

本件は幸いにして爆発する前に問題になったが、第一義的責任を国に転化して補償金を取った糸満不発弾事故と同じく、責任は国ではなく現場の当事者である。

糸満市の場合も新聞は徹頭徹尾国に責任を転嫁し、結局は補償金を「強奪」したが、責任の所在は曖昧なままに終わった。

今後の類似事故の再発を防ぐためには、先ず責任の所在は明確にしてその上で被害者への補償金は国に補助を求めると言うのが筋であった。

今回のうるま市の場合も、石原さんが指摘するようにタイムスは「不発弾」を家に持ち込んだ「拾得者」のはずである。

新聞が問題の本質を隠して、絶えず「沖縄側は被害者である」という論調を続ける限り、同じ事件の再発を防ぐことは出来ない。

それにしても石原さん、お見事です。

 

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