最高裁判事は世論を気にすると言われているので、それを狙って焦った沖縄タイムスが、判決を前に印象操作記事を一面トップで掲載したのだが、逆にそれが「軍命はなかった」という証明になろうとは・・・。
こんなクダラン記事を一面トップにするタイムスはもう終わった。
米軍「自殺協定」と認識 慶良間「集団自決」
県公文書館が電文確認 日本兵の強制背景に
沖縄タイムス 2010年4月14日 09時58分
沖縄戦時下の慶良間諸島の「集団自決(強制集団死)」をめぐり、米軍が本国などへ報告した電文の中に、日本兵から投降を禁じられていた住民が「米軍上陸前の自殺協定(約束)」のため、多数が死傷したとする記述があることが13日までに分かった。打電の時期は米軍が「集団自決」発生直後に日本兵や住民へ尋問した直後にあたる。地域や戦場で影響力を持つ日本兵と住民の間に、強制力などで導かれた「集団自決」が存在したとの米軍側の見方をうかがわせる公文書として注目される。(知念清張)
電文は1945年4月8日付。地上戦を担ったバックナー陸軍中将率いる第10軍が陸軍省やハワイの太平洋司令部などに報告した「アイスバーグ作戦(沖縄侵攻作戦)」の日付順ファイルに収められていた。県公文書館が、米国立公文書館から取り寄せ確認した。
電文は「慶良間列島において、約350人の住民が軍政府の管理下に置かれ、病人を除く全員が一つの村に収容されている」と捕虜の状況を説明。「壕で一緒にいた日本兵から、(米軍に)投降することを禁じられていた住民約200人がいた模様。そのうち、米軍上陸前の自殺協定により、約20人が死亡、60人がのどに切り傷を負った」と記述されている。
米軍による慶良間諸島での尋問記録から、日本兵が住民に「集団自決」を命令していたことを、2006年に明らかにした林博史関東学院大教授(現代史)は「住民は米軍が上陸した時には自殺するよう言い含められていた。協定というよりも約束させられていたという意味合いが強い」と指摘。
「戦闘状況などを簡潔に報告する大文字だけの電報からは通常、住民の被害は上がってこない。それだけ、集団自決の事の大きさを米軍が認識していたのではないか。日本兵の集団自決への強制や誘導を、裏付ける資料になる」と語った。
「集団自決」についての米公文書を県公文書館が確認したのは今回が初めて。仲本和彦公文書主任専門員は「集団自決を直接見聞きする状況になかったため、米軍側にも記録はほとんど残されていない。歴史を体系的に解明する助けになれば」と話している。
◇
係争中の「集団自決訴訟」は二審で原告側が敗訴し、現在上告中であるが、最高裁は事実認定はせず、憲法判断をその職務とする。
従ってこの裁判の核心ともいえる「軍命(軍強制)の有無」に関しては大阪高裁で既に確定しており、最高裁の判決が待たれるのは原告側による被告側の出版物の出版差し止めなどの請求の当否である。
大阪高裁で原告(元隊長)側が敗訴したのだから「軍命はあった」ということが確定したと誰でも考える。 だが、実際はその逆で、「軍命はなかった」が確定したのであるから、話はややこしくなる。
そこに沖縄タイムスの印象操作がつけ込むのである。
これまで何度もくり返した事ゆえ、当日記の古くからの読者には「耳タコ」だろうが、あえて大阪高裁の判決を解説する。
「軍命があった」という被告側の主張は大阪高裁において証明することが出来ず、事実上集団自決における軍命は否定された。
しかしながら「名誉毀損による損害賠償と出版差し止め等」の原告側の請求は「軍人は公務員だから寛容であるべき」という理由で却下された。
原告側は高裁判決という形式上の勝負には負けたが、「軍命の有無」という問題の核心では、事実上の勝負に勝ったことになる。
さて冒頭に引用の記事だが、タイムスの一面のトップを飾った割にはいつもの「識者」の面々によるコメントもなく、尻切れトンボのような報道であった。
ところが、約一週間過ぎた昨日(20日)、やっとタイムスに左翼学者林博史関東学院大学教授のコメントが掲載された。
「自殺協定」という聞きなれない単語に意味を持たすため四苦八苦している林教授の姿が目に浮かぶ内容で、陳腐この上もないので表題のみ記しておく。
米公文書に「自殺協定」 寄稿・林博史関東学院大教授
「集団自決」強制 米も認識
次から次へと証言者が登場しても、又「新発見史料」が次々発掘されても、集団自決を「軍が命令した」「強制した」という証言・証拠は、ただの一つも出現していない。
それで、やむなく「米の認識」に頼らざるを得ないところに林教授の苦しさが読み取れる。
「自殺協定」について林教授はこう説明している。
「冒頭で紹介した「自殺協定」(約束)という訳語の原文はSUICIDE PACTである。 PACTというのは政府間の協定などを意味する言葉であるが、慶良間の米軍からの多数の報告をふまえて、民間人であっても。「自決」をするように強く拘束・強制されていた状況を、第10軍司令部のスタッフがこの言葉を使って表現したのではないか。しかも、短い電文の中でもわざわざこの問題に触れていることは、この出来事の大きさを、米軍が認識していたことの表れだろう。
住民たちが日本軍によって「集団自決」を強制されていたことを、当時の米軍も十分に認識していたことを示す文書である。」
何ともまぁ、強引な論旨の展開でとても学者先生の書いた文とは思えないシロモノだが、無視するわけにもいかないので軽く反論しておく。
>「自決」をするように強く拘束・強制されていた状況を、第10軍司令部のスタッフがこの言葉を使って表現したのではないか
ここで林先生が自説に有利に「推測」しているが、根拠なく推測しても、あくまでも推測は推測に過ぎない。
>しかも、短い電文の中でもわざわざこの問題に触れていることは、この出来事の大きさを、米軍が認識していたことの表れだろう。
米軍は慶良間諸島を艦船で包囲した際、神風特攻隊の果敢な攻撃を「自殺攻撃」と捉え恐怖に戦慄したという。 米軍が座間味、渡嘉敷に上陸後目撃した住民による「集団自決」に関し、「出来事の大きさを認識」したとも別に不思議ではない。
つまり、米軍は神風特攻隊の「自殺攻撃」の脅えながら上陸したら、今度は住民による集団自決の現場を目撃するわけだか、ら重大事件と認識して電文に記しても何の不思議ではないというのだ。
ところが林教授の論旨は、米軍が「集団自決の」を認識していたことを示す電文が急転直下、
「住民たちが日本軍によって「集団自決」を強制されていたことを、当時の米軍も十分に認識していたことを示す文書」
という結論に至るのだが、その根拠については一言の説明がないのである。
そもそも「協約」とは対等な力関係のもの同士が交すものであり、お互いの条件の提示もあるのが通常である。
林教授のいうように一方的で不可避な自決命令、あるいは拘束・強制を意味するならSUICIDE ORDER (COMMANND)という意味の明快な単語を使うのが自然である。
米公文書館からの「新史料発掘」は今回が初めてではなく、過去にも何度か林教授が見つけ出したが、いずれも林教授があえて原文を誤訳し、自説に無理やりこじつけた噴飯物ばかりであった。
一例を挙げると、「(兵隊さんが)話した」と訳すべきTOLD(TELLの過去形)を「軍が命令した」と訳すような姑息な手段を使っていた。
言うまでもなく「命令した」ならCOMMANNDEDあるいはORDEREDが自然である。
⇒目くらまし作戦② 「テルかコマンドか」 「沖縄・集団自決訴訟」
米軍が住民から聞き取り調査をした時、「集団自決は軍の命令で行った」と証言していたら電文には「SUICIDE ORDER」と書くべきところをあえて「SUICIDE PACT」と記してあるのは、逆に住民の証言に「命令や強制」のニュアンスがなかったという証明になるのではないか。
最後に冒頭のタイムス記事に関しても一言コメントしておく。
>林博史関東学院大教授(現代史)は「住民は米軍が上陸した時には自殺するよう言い含められていた。協定というよりも約束させられていたという意味合いが強い」と指摘。
これも前と重複するが「協定というよりも約束させられていたという意味合いが強い」というのは林教授の希望的推測に過ぎない。
>戦闘状況などを簡潔に報告する大文字だけの電報からは通常、住民の被害は上がってこない。それだけ、集団自決の事の大きさを米軍が認識していたのではないか。日本兵の集団自決への強制や誘導を、裏付ける資料になる」と語った。
ここまで推測が行き過ぎると笑うしかないが、簡潔を要する軍用電文であればこそ、集団自決が不可避な強制を伴っていたらSUICIDE PACTのような曖昧な言葉を避け、SUICIDE ORDERと記して命令、強制を明確にしていたはずだ。
結局、この電文が集団自決には命令も強制もなかったという証明になっているのが皮肉である。
■「うらそえ文藝」第15号で集団自決特集■
昨年、星雅彦氏と上原正稔氏による「集団自決特集」で全国の話題を呼んだが、糾弾された沖縄タイムス、琉球新報両紙による反論は何一つないのは周知のこと。
反論すれば更なる糾弾に火がつくのを恐れての沈黙だと思われるが、来月(5月)初旬に発刊予定の「うらそえ文藝」第15号で再度「集団自決特集」を)組むとのことである。
目次の一部を紹介する。
過剰なる犠牲ー慶良間の集団自決について
浜川仁 沖縄キリスト教学院大学准教授
「集団自決」その真相を墓場の中まで
星雅彦 沖縄文化協会会長(うらそえ文藝編集長)
他にもこのような興味深い特集もあるので是非予約しておかないと売り切れ必至です。
《座談会》 沖縄の地政学と国際問題
アジア太平洋戦争はどう記載されてきたか
出席者= C・ダグラス・ラミス、仲程昌徳、宮城鷹夫、惠隆之介、星雅彦
予約は⇒http://urasoebunkakyo.ti-da.net/e2251593.html
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【お知らせ】
元国土交通大臣・文部科学大臣
=中山成彬氏 沖縄講演会=
平成16年に文部科学大臣に就任して以来、日本の教育の現状を憂い、教育再生に取り組んできた中山成彬氏は、日本教職員組合(日教組)と戦ってきた。平成20年9月、国土交通大臣に就任した中山氏は、日本の教育に問題があるとして、「日教組を解体しなければならない」と発言。同月に辞任したものの、日教組を追及する姿勢を変えていない。今、教育問題を抱える沖縄県民に中山氏が直接語りかけます。
演 題 『今こそ、真っ当な教育を』
~なぜ日教組の強い地域は学力が低いのか~
【日 時】 平成22年4月25日(日)
午後1時受付 午後1時30分開会~午後3時30分
【会 場】 浦添市てだこホール 大ホール
浦添市仲間1丁目9番3号 電話 0988〈942〉4360
【会 費】 1000円
【主 催】 中山成彬沖縄講演会実行委員会
【後 援】 日本会議沖縄県本部、日本女性の会沖縄県支部
「建て直そう日本・女性塾」沖縄県支部
【連絡先】 沖縄実行委員会 担当 敷田、錦古
電話:090-9379-3483〈敷田〉、090-9780-7272〈錦古里〉
FAX: 098(868)3073
【懇親会のお知らせ】
中山成彬氏を囲む懇親会にもお気軽にご参加下さい。
日時:4月25日 午後5時~7時
会場:パシフィックホテル沖縄【カネオの間】
会費:4000円 連絡先:090-9780-7272(錦古里)