田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『暁に祈れ』

2018-11-08 10:55:38 | 新作映画を見てみた
 麻薬所持によって“生き地獄”と呼ばれるタイの刑務所に服役するが、ムエタイで再生し、生き残ったイギリス人ボクサー、ビリー・ムーアの実体験を描く。



 ほとんどが本物だという全身刺青の囚人たち(誰が誰だかほとんど区別がつかない)が異様な雰囲気を醸し出す。加えて、最低限の字幕しか出さず、見る者に、ビリーが感じたであろう、人も言葉も分からぬ恐怖を味あわせる。『ミッドナイト・エクスプレス』(78)のトルコよりも、ひどい刑務所がタイに合ったという感じがした。

 ビリー役のジョー・コールは熱演し、全編に異様なパワーが満ちているが、登場人物の誰にも共感、感情移入することができない。ストレートなバイオレンス描写なども含めて、生理的に駄目だという者も多いのではないかと思う。
コメント
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