『俺たちは天使じゃない』(55)(1987.5.23.)
デビルズ島から脱獄した3人の囚人(ハンフリー・ボガート、アルド・レイ、ピーター・ユスティノフ)が、強盗に入った雑貨屋の経営不振に同情し、店を手伝うようになったことから起こる騒動を描く。表紙の美女はジョーン・ベネット。
ハンフリー・ボガートといえば、われわれ遅れてきた映画好きは、ハードボイルド映画での渋いイメージを思い浮かべるのだが、最近、彼が出演したさまざまな映画を見ることができ、その印象はだいぶ変わってきた。
例えば、『サハラ戦車隊』(43)の歴戦の鬼軍曹、『ケイン号の叛乱』(54)のダメ船長、『殴られる男』(56)の新聞記者、そしてこの映画や『麗しのサブリナ』(54)で見せたコミカルな演技…などを見るにつけ、実に多彩な役柄を演じていたことに遅ればせながら気づかされたのである。
この映画の見どころは、ボギーがコメディアン的な軽さを示す意外性にあり、しかも監督があの『カサブランカ』(42)のマイケル・カーティスとくれば、意外性はさらに増す。また、同年にボギーが立てこもり犯を演じた『必死の逃亡者』(55)の“裏返し”としてこの映画を見ると、それもまた面白い。
パンフレット(55・外国映画社(フォーレン・ピクチャー・ニュース))の主な内容は
解説/監督・マイケル・カーティス/原作者のこと/小道具が主役をつとめる/わき役のひとびとベイジル・ライボーン、レオ・G・キャロル、グロリア・タルボット、ジョン・ベア、ジョン・スミス/ストーリー/奇妙奇天烈な着想と絶妙な配役のおもしろさ(原安佑)/ハンフリイ・ボガート、ジョーン・ベネット、ピーター・ユスチノフ、アルド・レイ