田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『遥かなる山の呼び声』

2018-11-29 22:15:28 | 映画いろいろ
 先日、NHKで『遥かなる山の呼び声』のリメークドラマをやっていた。高倉健と倍賞千恵子は阿部寛と常盤貴子に代わり、ハナ肇が好演した虻田を筧利夫が演じていた。随分と設定を変え、今風にアレンジしてはいたが、やはり昔の映画にはかなわないと感じた。

 『遥かなる山の呼び声』(1980.7.13.中野武蔵野館 併映は『冬の華』)
そうだ「健さん大会」だったんだ…。



 題名を見た時から、きっと『シェーン』(53)のような映画なんだろうなあとは思っていた。北海道の大自然をバックに、酪農を営む母子のもとに、謎の風来坊が現れて…という設定で、山田洋次独特の世界が展開する。酪農の厳しさに関する描写も随所に見られ、北海道にこだわってきた山田監督の思いがにじみ出るところもある。

 高倉健、倍賞千恵子が見事な演技を見せるほか、子役の吉岡秀隆が実に豊かな表情を見せ、笑いや涙を誘う。中でも草競馬のシーンは、何度も映画化された『無法松の一生』の運動会の場面をほうふつとさせるような名場面。とはいえ、健さんに、たまには、前科のない、過去をひきずっていない、普通の人をやってもらいたい気もする。
 
 彼らに加えて、過去の山田映画を支えてきたハナ肇、渥美清、武田鉄矢らが次々と登場して花を添える。特に中盤の鈴木瑞穂とラストのハナ肇が泣かせるぜ。

 名セリフ「もう他人と思ってないから…」「あの虻田がねえ」
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『暗殺の森』『ラストタンゴ・イン・パリ』

2018-11-29 11:30:56 | 映画いろいろ
『暗殺の森』(1979.3.2.)



 ファシストになった主人公(ジャン・ルイ・トランティニアン)の生き方を通して、ファシズムの異常さや、空しさを表現している。若妻役のドミニク・サンダが当時19歳とは信じ難い。

 【今の一言】という簡単なメモを見て、今の自分は昔の自分に「だからどうした?」と問いたくなる。

 ベルトルッチの訃報を目にして以来、なぜかガトー・バルビエリ作曲の『ラストタンゴ・イン・パリ』が耳について離れない。
https://www.youtube.com/watch?v=41A-hN89m4I

マーロン・ブランドのプロフィール↓


マリア・シュナイダーのプロフィール↓

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【インタビュー】『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』アリソン・スドル&ダン・フォグラー

2018-11-29 08:27:10 | インタビュー

「クイニーとジェイコブの絆の強さに説得力を持たせようと思いました」



https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1171293

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『西部の男』

2018-11-29 06:56:50 | 1950年代小型パンフレット

『西部の男』(40)(1993.9.6.)

 流れ者のコール(ゲーリー・クーパー)は、悪徳判事と呼ばれるロイ・ビーン(ウォルター・ブレナン)と知り合う。開拓時代のテキサスを舞台に男たちの愛憎と裏切りを描いた西部劇。監督はウィリアム・ワイラー。



 前に見たのはおよそ20年前。ワイラー作品なのにほとんど印象に残っておらず、同じくクーパー主演の『西部の人』(58)の存在もあるので、一体どちらを見たのかも定かではなくなって、とても気に掛かっていた。

 ところが、先頃読んだ『夢想の研究』(瀬戸川猛資)で、この映画についての一文を目にして安心した。そういえばラストは劇場での対決だったことを思い出したのである。そして、この映画がなぜ当時中学生だった自分の印象に残らなかったのかという疑問についての答えもあった。

 以下、引用
 「~西部劇として邪道なのである。ロイ・ビーンと流れ者の友情と対決、という骨組みはオーソドックスなのだが、ビーン判事をイギリスの舞台女優リリー・ラングトリーに恋い焦がれる老人に仕立てて、異様なるロマンティシズムを盛り込んでいるのだ。狂的なファン心理やフェティシズムまで描かれているのだから、どう見ても西部劇として好ましくない」

 「が、ワイラー監督はそれを“男の純情”として昇華、不思議なおもしろさを生み出している。劇場の幕が上がり、舞台上のクーパーと客席のブレナンが決闘、という有名なクライマックスもよかった。そのあとで、本当にリリーが姿を現すくだりは、さらによかった。これを観れば、ジョン・ヒューストンがポール・ニューマン主演で作った『ロイ・ビーン』など、ただの二番煎じでしかないことがわかる」

 そうか、あまりにも西部劇的ではなかったために中学生の心には残らなかったのだ。これで多少は胸のつかえがおりた。ただ『ロイ・ビーン』(72)は好きな映画だけに、二番煎じ説にはまいった。思えば昔の映画は深い。

ゲーリー・クーパーのプロフィールは↓


ウォルター・ブレナンのプロフィールは↓

パンフレット(51・国際出版社)の主な内容
解説/物語/ウィリアム・ワイラーを評傳式に(淀川長治)/ゲイリー・クーパー(双葉十三郎)/鑑賞講座「西部の男」(田村幸彦) 

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