三浦春馬最後の主演映画で、薩摩藩士から明治新政府の要人となり、民間に転じて大阪経済を発展させた五代友厚の人生を描いた歴史群像劇。タイトルの天外者(てんがらもん)とは、鹿児島弁で「すさまじい才能の持ち主」を指す言葉だそうだ。
NHK連続テレビ小説「あさが来た」(15)でディーン・フジオカが演じた五代も、かなりの創作が入っていたが、この映画も、五代と坂本龍馬(三浦翔平)、岩崎弥太郎(西川貴教)、伊藤利助(後の博文・森永悠希)が盟友だったとしたことはまだしも、五代が薩英戦争を終わらせたというのは、いかに言ってもやり過ぎではないかと感じたのだが、これは五代を引き立てるための映画で、実話を基にしたオリジナルストーリーなのだから仕方がないのか。
とは言え、五代を演じる三浦春馬の熱演や存在感の大きさ、身のこなしの良さなどを見ていると、本当に惜しい俳優を亡くしたという思いが強まった。奇しくも、来年の大河ドラマで吉沢亮が演じる主人公の渋沢栄一は、東の渋沢、西の五代と言われた経済界の大物。もし、三浦春馬が健在だったなら、将来的には大河の主役もできたかもしれない、と思うと残念でならない。その意味でも、この映画は三浦春馬を見るための映画に転化した。