田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『デモリションマン』

2020-12-18 07:06:39 | ブラウン管の映画館

『デモリションマン』(93)(2006.8.14.)


 
 冷凍にされていた凶悪犯(ウェズリー・スナイプス怪演)と刑事(シルベスター・スタローン)が、解凍された未来で死闘を繰り広げるSF作。タイトルは「破壊屋」の意。

 まるでマンガの世界で実にバカバカしい。けれどもこの手の映画は現実味やメッセージ性が薄いものほど一時現実を忘れて楽しめるという効果があるし、未来世界とのカルチャー・ギャップの描写もなかなか面白かった。それと『マトリックス』(99)以前の、どこかぎこちないアクションが、今見ると逆に新鮮だったりもする。

 で、スタローンは実はものすごい暑がりで、彼の映画のロケ現場はいつも冷房が効き過ぎてスタッフが音を上げているらしいから、この映画での氷漬けや「ここは寒いな」という決め台詞は意外と楽屋落ちだったりして。

 さて、この時期のスタローンは『ロッキー』『ランボー』から脱却するために不似合いなコメディー映画に出たりして結構あがいていたのだが、結局、今また『ロッキー』や『ランボー』に戻ってしまった。まるで“デモドリションマン”みたいで哀れな感じだ。

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『100万ドルの血斗』

2020-12-18 07:02:57 | ブラウン管の映画館

今日のザ・シネマの西部劇特集は『100万ドルの血斗』(71)



 留守中に一家を殺され、孫を誘拐された牧場主のジェイク(ジョン・ウェイン)が悪党退治に乗り出す。デュークの息子のマイケルが製作し、パトリックとイーサン、そしてロバート・ミッチャムの息子のクリスが共演。しかもモーリン・オハラもゲスト出演するというまさに“ジョン・ウェイン一家”総出の西部劇。監督は無名時代のデュークの映画を多数手掛けたジョージ・マーシャルでこの映画が遺作となった。

 舞台が20世紀初頭ということで、車やバイクが登場する珍作西部劇。のんびりとした展開の割に、殺戮場面の血なまぐささが目立つ(その分、極悪人役のリチャード・ブーンが際立っている)のは、マカロニ・ウエスタンやサム・ペキンパーの『ワイルドバンチ』(69)の影響が大きかったと思われる。そうした時代の変化の中で、正調西部劇の最後の砦を守ろうとしたデュークが痛々しく見えるところもある。

 ただ、ブルース・キャボット演じるジェイクの昔なじみのインディアン(『ビッグケーヒル』(73)のネビル・ブランドにも通じる役柄)と、「ドッグ」という名の忠実な犬が、孫を救うために大活躍し、その結果惨殺されてしまうのに、彼らに一瞥もくれず、デューク一家の笑顔で終わるラストシーンは何度見てもちょっと残念な気がする。

ジョン・ウェイン


モーリン・オハラ


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