田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』

2020-12-07 08:06:07 | 新作映画を見てみた

彼女たちの仕事ぶりに脱帽させられる

 「ワイルド・スピード」シリーズなどに出演したミシェル・ロドリゲスが製作したドキュメンタリー。映画史に残るアクションシーンに挑んだスタントウーマンたちの活躍に迫る。

 スタントウーマンはサイレント時代から存在したが、一時淘汰された。1960年代から再び活動し始め、男性中心のスタントパフォーマーの世界で自らの地位や権利を守るために戦ってきた。

 この映画では、テレビシリーズ「ワンダーウーマン」でリンダ・カーターのスタントダブルを務めたジニー・エッパー、『キル・ビル』シリーズのユマ・サーマンのスタントダブルなどで知られるゾーイ・ベル、『アベンジャーズ』ほか、マーベル作品でスカーレット・ヨハンソンのスタントダブルを務めたハイディ・マニーメイカーなど、多数のスタントウーマンたちにインタビューし、彼女たちの知られざる歴史や、日々の鍛錬の映像を通して、そのプロフェッショナルな仕事ぶりを明らかにしていく。

 ドキュメンタリー映画としては構成が雑で損をしているが、彼女たちの仕事ぶりには脱帽させられる。

 登場する映画やドラマは、『恐怖のメロディ』(71)『ロイ・ビーン』(72)『大地震』(74)「ワンダーウーマン」(75)「チャーリーズ・エンジェル」(76)『キャノンボール』(81)『ブレードランナー』(82)『スカーフェイス』(83)『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(84)『ロボコップ』(87)『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』(89)『トータル・リコール』(90)『スピード』(94)『トゥルーライズ』(94)『トゥームレイダー』(01)『ワイルド・スピード』(01)『キル・ビル vol.1』(03)『マトリックス リローデッド』(03)『デス・プルーフ in グラインドハウス』(07)『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(14)『ジョン・ウィック』(14)『マッドマックス 怒りのデスロード』(15)『ゴーストバスターズ』(16)『ワンダーウーマン』(17)『ブラックパンサー』(18)ほか。

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『フラガール』

2020-12-07 07:11:48 | ブラウン管の映画館

『フラガール』(06)

 昭和40年、福島県いわき市。相次ぐ炭鉱の閉山で人員削減が行われ、町は不安に包まれていた。そんな中、町興しのレジャー施設の建設計画が立ち上がり、大きな呼び物のフラダンスのショーのダンサー募集が行われる。

 東京から呼び寄せた訳ありダンサー(松雪泰子)の指導のもと、炭鉱で働いてきた若い娘たち(蒼井優、山崎静代、徳永えりほか)の特訓が始まるが…。実話を基に、さまざまな事情を抱えながらも、フラダンスに情熱をかける女性たちの姿を、笑いと涙で描く。

 子どもの頃、この映画の舞台となった常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)を訪れたことがあるが、その奥にこんなドラマがあったことは全く知らなかった。

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『許されざる者』(92)

2020-12-07 06:54:12 | All About おすすめ映画

イーストウッド監督の最後の西部劇



 この映画は、クリント・イーストウッド監督・主演の西部劇です。イーストウッドは、西部劇ドラマ「ローハイド」に出演したものの、ハリウッドではスターにはなれず、イタリアに流れて『荒野の用心棒』(64)に主演して評判となり、逆輸入の形でハリウッドに戻ったという経緯もあり、西部劇に対しては屈折した思いを持っていました。

 それ故、スター兼監督となった後も『荒野のストレンジャー』(73)『アウトロー』(76)『ペイルライダー』(85)と、西部劇にこだわり続けてきたイーストウッドは、この『許されざる者』を“最後の西部劇”と銘打ち、『荒野の用心棒』のセルジオ・レオーネ監督と『ダーティハリー』(71)のドン・シーゲル監督に捧げました。

 かつて冷酷な殺し屋と恐れられたマニー(イーストウッド)は妻と出会い銃を捨てます。しかし、妻亡き後は、幼い子供たちと共に極貧生活を送っていました。そんな中、昔の仲間ネッド(モーガン・フリーマン)が“賞金稼ぎ”の話を持って訪ねてきますが、彼らの前に保安官(ジーン・ハックマン)が立ちはだかります。

 イーストウッドは、善悪のあいまいさ、暴力の連鎖、無法と法のはざま、人間の業や恨みといったテーマを、激しいバイオレンスシーンの中で提示しながら、マニーをまるで亡霊のような、西部の伝説的な人物として描いています。それ故、どこかほら話を見ているような不思議な趣が漂い、それがこの映画の魅力の一つとなっています。

 イーストウッドが作る西部劇はアメリカでは不評でしたが、この映画がアカデミー賞で作品賞と監督賞を受賞したことでようやく巨匠の仲間入りを果たしました。そして彼自身も西部劇の呪縛から解放されたのです。受賞は逸したものの、レニー・ニーハウスの音楽とジャック・N・グリーンの撮影も見事でした。

 後に、渡辺謙主演で日本版としてリメークされた同名作(13)も製作されました。北海道に舞台を移したこちらもなかなかの力作に仕上がっています。

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