「ザ・シネマ」の西部劇。今週は2本立てだった。まずは、監督バッド・ベティカー、脚本バート・ケネディ、ランドルフ・スコット主演の『七人の無頼漢』(56)。愛妻を殺した7人の無頼漢を追う元保安官(スコット)が主人公の復讐劇だ。
主人公と、旅の途中で知り合った人妻(ゲイル・ラッセル)との淡い恋がサイドストーリー。脇役のリー・マーヴィンが印象深い演技を見せる。ジョン・ウェインが設立したバトジャック・プロの製作で、当初はウェインが主人公を演じる予定だったという。ウェインとラッセルの関係性を考えると感慨深いものがある。
この映画は、フランスの評論家アンドレ・バザンが傑作と認めて、その尻馬に乗った?蓮實重彦一派が必要以上に持ち上げたことで、いまやカルトムービー化している。確かに、岩場の決闘シーンでのユニークなカメラワークや、77分という短い時間の中でそつなくまとめた手腕は買うが、それはあくまでも出来のいいB級西部劇という範囲での話だと思う。
例えば、蓮實氏の『映画 誘惑のエクチュール』に所収された、この映画をはじめとするベティカーの4本の映画の上映時間が77分であることにこじつけた「七つの奇蹟 バッド・ベティカー論」には偏執狂的なものを感じて苦笑を禁じ得ない。
続けて、蓮實氏が二流とのたまったジョン・スタージェスの『ガンヒルの決斗』(59)も放送された。こちらも上映時間は94分。簡潔で何度見ても面白い。アール・ホリマンのドラ息子ぶりは、『大いなる西部』(58)のチャック・コナーズと重なる。
『ガンヒルの決斗』のパンフレットを入手 ジョン・スタージェスのことを
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