田中雄二の「映画の王様」

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『ソング・トゥ・ソング』

2020-12-26 23:50:06 | 新作映画を見てみた

マリックという監督は評価され過ぎ

 音楽の街オースティンを舞台に、大物プロデューサー(マイケル・ファスベンダー)、ミュージシャン(ライアン・ゴズリング)、元受付係のギタリスト(ルーニー・マーラ)の三角関係を軸に、もつれ合い、絡み合う男女の姿を描く。

 またもや、”迷匠"テレンス・マリックの、全く観客を無視した、自分の世界の押しつけに辟易させられ、睡魔と闘いながら、やっと見終わった。オンライン試写で、途中抜けができたので、何とか最後まで見ることができたのだ。そうでなければ、途中で挫折していたと思う。

 この映画、確かに、エマニュエル・ルビツキのカメラワークは美しい。だが、時間軸を無視した映像と音楽のコラージュ、意味ありげなセリフ、起承転結なしの支離滅裂な話を延々と見せられれば、もう勘弁してくださいとなるのが人情。しかもタイトルの割には、音楽の使い方も中途半端だ。

 それなのに、彼の映画に出ると箔が付くとでも思われているのか、今回も、主役の3人の他にも、ナタリー・ポートマン、ケイト・ブランシェット、バル・キルマー、ホリー・ハンター…といった有名俳優が出ている。

 ところが、これだけの俳優たちが出ているにもかかわらず、なぜこの映画の日本公開が3年も遅れたのか、それは内容を見れば、推して知るべしという感じがした。この映画は、一部の好事家向けで、どう考えても一般向けではないからだ。

 もちろん、そういう映画があることは分かっているが、それにしてもマリックという監督は評価され過ぎている気がしてならない。

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