田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ラストサムライ』

2020-12-21 07:15:08 | ブラウン管の映画館

『ラストサムライ』(03)(2003.12.17.品川プリンスシネマ)

 トム・クルーズ製作・主演で、明治維新直後の日本を舞台にした時代劇大作。監督はエドワード・ズウィック。

 近代化を進めるため、武士の根絶を目指す明治政府は、南北戦争の英雄だった元軍人のオールグレン(クルーズ)を西洋式の軍隊の教官として雇う。オールグレンは戦闘中に武士の一団によって捕らわれるが、侍の長・勝元(渡辺謙)たちと触れ合う中で、誇り高い武士道の精神に心を動かされる。そして決戦の時が訪れる。

 史実から見ればめちゃくちゃな話だが、ハリウッド映画がこれだけ真面目に日本の侍を描いたことは喜ばしいと感じた。

 日本側では、渡辺のほか、真田広之、小雪、池松壮亮、原田眞人、中村七之助、そして寡黙な侍(サイレント・サムライ)役で、斬られ役として知られる福本清三が出演している。

『おちおち死んでられまへん―斬られ役ハリウッドへ行く』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/987217d098f763218ba36d23e81d5dc6

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『キングコング対ゴジラ<完全版>4Kデジタルリマスター』 ゴジラシリーズの脚本・関沢新一

2020-12-21 07:12:00 | ブラウン管の映画館

 『キングコング対ゴジラ<完全版>4Kデジタルリマスター』(2016.7.27.)

 家のテレビでは4Kデジタルリマスターの効果のほどは定かではないが、今改めて見ると、関沢新一の脚本はなんと荒唐無稽でご都合主義なことかと思い、思わず苦笑いさせられた。けれども、それと同時に、怪獣同士を闘わせるために考え出された強引な力業と奇抜なアイデアの数々はすごいとも思う。こうした荒唐無稽さは、岡本喜八の無国籍アクションのために書いた脚本にも生かされていた。

 
 
 例えば、この『キングコング対ゴジラ』(62)では、日米の両雄をいかに相まみえさせるかを、東宝お得意の『社長シリーズ』のようなコメディー要素を絡めながら描いているし(有島一郎が絶品!)、形勢不利なコングが雷に撃たれて帯電体質となり、ゴジラと互角に闘えるようになるというように、随所に見られる秀逸なアイデアも楽しい。

 続く『モスラ対ゴジラ』(64)では、明確にベビーフェース(善=モスラ)対ヒール(悪=ゴジラ)の対決としたが、そこに、モスラの卵を巡る興行師(佐原健二、田島義文)の暗躍や土地問題を絡めて、実は一番恐ろしくてずるいのは人間ではないのかと問い掛けた。

 そして『三大怪獣 地球最大の決戦』(64)では、ドラマ部分はあの『ローマの休日』(53)を下敷きに、金星人が乗り移った某国の王女(若林映子)と日本の刑事(夏木陽介)との淡い恋を描き、そこに、宇宙怪獣キングギドラを倒すために、モスラの説得でゴジラとラドンが地球代表として共闘するという力業を盛り込んだ。

 さらに『怪獣大戦争』(65)では、ゴジラとラドンを宇宙に遠征させ、X星人という不思議な宇宙人まで登場させた。さすがに、ゴジラにシェーをさせたのは関沢氏ではなさそうだが…。

 こうした流れが、良くも悪くも「ゴジラ」という素材を変え、そのことについては賛否両論あるのだが、いずれにせよ、この人は、監督本多猪四郎、特技監督円谷英二と共に、子供時代のオレたちを気持ち良くだまし、夢を見させてくれた恩人であったことだけは確かだ。

 さて、この人のユニークなところは作詞家でもあるところ。美空ひばりの「柔」、村田英雄の「皆の衆」、小林旭の「ダイナマイトが500屯」、都はるみの「涙の連絡船」、そして舟木一夫のテレビ主題歌「銭形平次」は、みんなこの人の作詞。鉄道写真家としても有名だった。なんだか伝記が書きたくなるような多面体の面白い人だったと改めて思う。

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