アメリカの中のイタリアの家族とは
アメリカの陰の政府ともいわれるイタリアン・マフィアの抗争と家族の絆を描いたフランシス・フォード・コッポラ監督による大河ドラマです。この映画、少し見方を変えて、個人商店を創業し発展させた偉大な父(マーロン・ブランド)とダメな子供たちの物語として見ても面白いです。
直情型の長男ソニー(ジェームス・カーン)、意志薄弱な次男のフレド(ジョン・カザール)、そして一見、最もできが良さそうな三男マイケル(アル・パチーノ)も冷静なようでいて実は単純。一人娘のコニー(タリア・シャイア)はヒステリー持ちで夫に裏切られます。養子のトム(ロバート・デュバル)が最も冷静で読みも深いのですが、いかんせんカリスマ性に欠けるという、なんとも不幸な一家の話なのです。
ところが、マフィアの抗争と家族の絆という二重構造、コッポラのけれん味たっぷりの演出、バイオレンスを緩和させるニーノ・ロータの音楽、ゴードン・ウィルスのモノトーンのカメラワーク、俳優たちの好演が相まって、3時間をまったくだれさせないばかりか、何度見ても面白い映画にしているのです。
特にロータの音楽は、抗争や暗殺シーンのドキドキ感を盛り上げたかと思うと、一転、家族の絆を切々と歌い上げ、「愛のテーマ」という実に親しみやすい曲も作り出すという多彩さを示し、この映画に現代のオペラ的なスケールと美を与えています。
アメリカ映画なのにこれほどイタリアの家族を感じさせる映画も珍しいです。
名画投球術 No.5「たまには映画もイタリアンといきたい」ニーノ・ロータ
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