『ツリー・オブ・ライフ』(11)(2011.6.28.ディズニー試写室)
さまざまなイメージ映像を絡めながら、1950年代から現代までの一組の父と子の相克を、太古の昔から地球規模で描く。まるで「2011年父子の旅」のよう…と書いても、読んだ人は何のことやらよく分からないはず。何しろ見ている自分も、分かったような分からないようなもどかしさを感じながら、睡魔と闘いながら見続けたのだから。
端々に挿入されるイメージ映像は、人間の内面宇宙という点では『2001年宇宙の旅』(68)、異様な自然風景という点では『コヤニスカッティ』(82)を想起させられるが、どこかもったいぶった感じがして、ただのこけおどしに見えてくるところもある。
この映画は、今年のカンヌ映画祭でパルムドール(グランプリ)を受賞したが、こうして実物を見ると、テレンス・マリックはいささか神格化され過ぎなのではないかと感じる。
ただ、ユニークなのは、これはガチガチのキリスト教映画でありながら、神の不在や仏教的な輪廻思想を感じさせるところだろう。だから難解なのか。キリスト教徒も迷っているのか…。いずれにせよ、神学校で哲学を学び、教べんを取っていたというマリックのインテリ臭さが際立つ。
ブラッド・ピットが、50年代の典型的なアメリカの父親を好演していることもあり、もっとストレートに撮ってもよかったのではないかと思わずにはいられない。
『ボヤージュ・オブ・タイム』催眠術映画か…
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/886afd5f6f1e6763a3a40b8eb5fbd97f