『マイレージ、マイライフ』(09)(2010.1.30.パラマウント試写室)
親父よりも息子の方がシニカル
原題は「Up In the Air=空(飛行機)の上から」。まずオープニングの全米各地の空撮が印象的。主人公はジョージ・クルーニー扮する1年のほとんどを出張に費やす敏腕リストラ宣告人だが、このオープニングは彼の上から目線の象徴でもあるのだろうか。
面倒くさいから独身。やたらと形にこだわり、スマートさが売り物という嫌な奴だが、ネット社会に反発する昔気質なところもある。まあユニークなキャラクターではある。
そんな彼に、旅先で知り合った同種のキャリアウーマン(ベラ・ファーミガ=くせ者)と、実地研修のために行動を共にするネット世代の若者(アナ・ケンドリック=若い頃のトム・クルーズが演じた上昇志向者の女性版を思わせる)が絡んで、変化が訪れるというお決まりのパターンが展開される。
リストラ、失業、転職、ネット社会、シングルライフの自由と孤独、ポイント生活、依存症、ワークライフバランスといった現代社会が抱えるさまざまな問題が描き込まれているのだが、ハートウォームとシニカルの間を行ったり来たりする構成なので、感情移入しずらいのが難点。最近の映画はどっちつかずのこうしたパターンが多い。
監督のジェイソン・ライトマンは、『ゴーストバスターズ』(84)や『デイヴ』(93)を撮ったアイバンの息子だが、親父よりも息子の方がシニカルな視点で映画を撮っている。これは世代の違いなのか、それとも時代の変化故なのか。
『ヒッチコック」(12)2013.3.28.(フォックス試写室)
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