田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

映画検定有志と仲間による2021年映画ベスト10

2022-02-13 17:34:58 | 俺の映画友だち

結果は
1.ドライブ・マイ・カー
2.ファーザー
3.ノマドランド
4.あのこは貴族
5.すばらしき世界
6.ラスト・ナイト・イン・ソーホー
7.プロミシング・ヤング・ウーマン
8.偶然と想像
9.アメリカン・ユートピア
10.茜色に焼かれる
ワーストワンは、キネマの神様


自分は
1.ファーザー
2.すばらしき世界
3.ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男
4.ドライブ・マイ・カー
5.クーリエ:最高機密の運び屋
6.子供はわかってあげない
7.ラストナイト・イン・ソーホー
8.サマーフィルムにのって
9.ノマドランド
10.ディア・エヴァン・ハンセン


 昨年に引き続き、新型コロナウイルスに翻弄された2021年。映画館への入場規制は続き、洋画の大作の公開も軒並み延期されたが、その分、地味ながら、家族、老人、安楽死、ジェンダー、人種など、現代社会が抱えるさまざまな問題を捉えた“小さな映画”が精彩を放った。一方、必ずしも明るくはない現実からの逃避願望が反映されたような、タイムスリップやパラレルワールド、仮想現実といった、非現実の世界を描いた映画や、コロナ禍でピンチを迎えた映画や映画館への愛をうたったものも目立ったと思う。

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横浜の山手あたりをぶらぶらと散策

2022-02-13 15:01:47 | 雄二旅日記

 中華街→元町→外国人墓地→アメリカ山公園→山手資料館→ゲーテ座跡→港の見える丘公園→フランス山(領事館跡)→山下公園→関内(喫茶大学院)というコース。

 山手資料館では、1862年に居留外国人向けの雑誌『ジャパン・パンチ』を創刊し、風刺漫画と文章を描いたチャールズ・ワーグマンについての資料を見ることができた。そのほか、外国人墓地に葬られた、鉄道技術主任のエドモンド・モレル、フェリス女学院を創設したメアリー・キダー、ビールのウィリアム・コープランドらについての情報もあった。

 また、近くには、1870年(明治3年)に、オランダ人のノールトフーク・ヘフトが居留地に建てた日本初の本格的演劇場ゲーテ座の跡もあった。

 内藤誠の『ヘボン博士のカクテル・パーティ』(講談社)によると、ゲーテ座では、1919(大正8)年のジョン・フォード監督の『恋の投縄』(19)『荒馬』(?)から本格的に映画も上映し始め、谷崎潤一郎は『アベ・マリア』という小説の中で、ゲーテ座でセシル・B・デミル監督の『アナトール』(21)を見たことについて記しているという。

 横浜の山手近辺でロケされた映画は数多くあり、『かながわシネマ風土記』(丸岡澄夫)に詳しく載っているが、その中でも、成瀬巳喜男監督の『ひき逃げ』(66)、降旗康夫監督の『冬の華』(78)で健さんがこの辺りを歩くシーンや、黒澤明監督の『天国と地獄』(63)で竹内(山崎努)が山下公園をうろつくシーンが特に印象に残っている。

 そういえば、「丘を登れば外人墓地あたり」という歌があったと思って、調べてみたら「長崎慕情」(作詞:林春生、作曲:ザ・ベンチャーズ、歌:渚ゆう子)で、全く関係なかった。

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『警官の血』と『警察署長』

2022-02-13 11:16:56 | ブックレビュー

『警官の血』と『警察署長』(2009.2.16.)

 2夜連続で、ドラマ『警官の血』を見る。鶴橋康夫の演出は、黒澤の『生きる』『天国と地獄』をリメークドラマ化した際は、さすがにきつかったが、オリジナルの今回は素直に見ることができた。親子孫3代の警察官(江口洋介、吉岡秀隆、伊藤英明)を通して終戦後から現代までを描くという面白さは、佐々木譲の原作に負うところが大きい。

 ただ、原作者自らも述べているように、アメリカ南部の架空の街デラノを舞台に、警察署長を歴任した3世代の歴史と、迷宮入り殺人事件の解決までを描いたスチュアート・ウッズの『警察署長』の影響が強く感じられた。

 随分前にテレビムービー化(監督ジェリー・ロンドン、ウェイン・ロジャース、ブラッド・デイビス、ビリー・ディー・ウィリアムズ、キース・キャラダイン、チャールトン・ヘストン)され、NHKで放送されたが、あれは面白かった。今回、椎名桔平が演じた変質的な犯人像も、『警察署長』でキース・キャラダインが好演した犯人像と重なるところがあった。

 佐々木譲は『エトロフ発緊急伝』のときにも、ケン・フォレットの『針の眼』を見事に? 換骨奪胎していた。映画化された『針の眼』(監督リチャード・マーカンド ドナルド・サザーランド)とドラマ化された『エトロフ遥かなり』(演出・岡崎栄、永澤俊矢、沢口靖子)はどちらも傑作だった。

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【独占ニュース】『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』

2022-02-13 07:16:25 | 仕事いろいろ

アンドラ・デイ「ビリーの魂を感じ、彼女のDNAに従うように過ごしてみた」
https://tvfan.kyodo.co.jp/?p=1315455&preview=true

【インタビュー】『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』リー・ダニエルズ監督
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7036e0a9b6ea68a195e570b02b32f5c9

 

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井上雅彦と田中文雄『1001秒の恐怖映画』異形コレクションほか

2022-02-13 00:21:51 | ブックレビュー

『1001秒の恐怖映画』井上雅彦(創元推理文庫)
(2005.9.9.)

 怪奇、SF映画をモチーフにしたショートショートと映画の解説付き。作者が同年代だけに映画を観た背景や趣味がかぶる面白さあり。表紙の和田誠の絵もGOOD。

 (後記)この本のルーツとも呼ぶべき連作短編集『スクリーンの異形-骸骨城-』(角川ホラー文庫)も読んでみたが、こちらは少々趣味性が強すぎてあまり入り込めなかった。ただ『第三の男』の後日談として書かれた「ライム・ライム」はちょっと面白かったが。


井上雅彦編の短編ホラー集、異形コレクション(光文社文庫)
(2005.9.14.)

 バラエティーに富んだ玉石混交の短編の中で、クラシック映画を巧みに盛り込んだ田中文雄の懐古趣味が気に入った。以下、このシリーズでのリストを。
01年『幽霊船』所収/「シーホークの残照(「猫船」)」生者と死者の友情『シーホーク』
02年『キネマ・キネマ』所収/「左利きの大石内蔵助」座敷童と野外映画『忠臣蔵』
03年『獣人』所収/「浅草霊歌」哀しい父子と『獣人雪男』
03年『アジアン怪綺』所収/「ふたりの李香蘭」満映、李香蘭、川嶋芳子


『邪神たちの2・26』(学習研究社)
(2005.10.12.)

 2・26事件にクトゥルー伝説を絡ませたホラー小説だったが、正直なところ期待外れ。SFの形を借りて事件を正当化したいのか、筆者の狙いがいまひとつはっきりしない。


『冬の旅殺人事件』(廣済堂出版刊)

 宇都宮をモデルにしたと思われる北関東の城下町を舞台にした推理小説。 こちらも推理小説としてはいささか弱い。この人は短編の方がうまいような気がする。まあ今回は、北品川というなじみの土地が登場してきたので、ちょいとうれしかったのだが。


『コガネムシの棲む町』(徳間文庫)
(2005.10.14.)

 「コガネムシの棲む町」「ハメルンの笛がきこえる」「鰐を飼う女」「鴉猫」「魔女の系譜」「死人起こし」「魚怪」「汽笛」「神遣い」からなる短編集。

 表題作はファンタジーの色が強いが、ほかはモダンホラーの味わい。通読してくるとどうやら匂いと水の描写にこだわりがあることに気づく。とはいえ、やはりこの人は短編の方がいい。一押しは「汽笛」。


『蔦に覆われた棺』(集英社文庫)

 蔦のからむ西洋館、少年の亡霊、憑依…。西洋のゴシック・ホラーの要素を日本に置き換えたモダン・ホラーの中編。後半にこの頃はやっていたスプラッター・ムービーの影響がみられる。


『夏の旅人』(ハヤカワ文庫)
(2005.11.8.)

 初期の短編集。『トワイライトゾーン』を連想させる連作といったら誉めすぎか。
75..約束(生霊)
77..海賊船長(ファンタジー)エロール・フリン
78..黄昏屋敷(屋敷霊)
76..処刑(SF)
76..さすらい(夢盗人)
76.故郷に死す(ロボット)レイ・ブラッドベリ風
74.夏の旅人(トラウマ)


『猫路』(集英社文庫)

 江戸時代の用水路が隠し味の現代怪猫話。さらりと読めるがいいのか悪いのか。

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映画関連書 新書など

2022-02-12 07:51:24 | ブックレビュー

『スクリーンの中の戦争』坂本多加雄(文春新書)『ベースボールと陸蒸気~日本で初めてカーブを投げた男・平岡熈』鈴木康允・酒井堅次(小学館文庫)(2005.3.28.)

 毎日新聞の書評で知った興味深い2冊。前者は惜しくも亡くなった博覧強記の政治思想史家による戦争映画論。後者は日本にベースボールを輸入し、鉄道王でもあった稀代の道楽者の評伝。どちらも面白かった。


『山田洋次の<世界>』切通理作著(ちくま新書)(2005.8.29.)

 この著者が山田洋次について語るとはいささか意外の感あり。もっとも同感するところも多く、またも先を越された思いがした。


『現代映画聖書』立川志らく(講談社刊)(2005.9.5.)

 以前、友人から紹介された一冊。まあ簡単に言えば、所詮映画の良し悪しは個人の好みによってどうにでも変わる。つまりは映画を見るということは非常に個人的なものなのだ、ということを実感させられる本。まあ、彼は本来は落語家だから、映画については、何のしがらみもなく好き勝手なことが書けるわけで…。


『池波正太郎の映画日記』(講談社文庫)(2006.5.31.)

 古本市でを見つけたので購入。1970年代半ばから80年代半ばまでに公開された映画についてのエッセーなので、自分が中学から大学までの一番映画を見ていた時期とも重なり楽しく読んだが、この場合、筆者お得意の食事についての記載はちょっとジャマな気がした。それにしても池波先生は黒澤明がお嫌いなようで。


『怪盗ジゴマと活動写真の時代』永嶺重敏(新潮新書)(2006.12.13.)

 明治末年から大正元年にかけて公開され、いまだに伝説として語り継がれているフランス映画『怪盗ジゴマ』を媒介にして、その騒動や時代を語っているのだが、いささか突っ込みが甘い気がした。ただ「頗(すこぶ)る非常」という決まり文句を連発して受けたという、巡業師兼名物弁士の駒田好洋(頗る非常大博士)の生涯には興味を持たされた。

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【独占ニュース】『ナイル殺人事件』

2022-02-12 07:16:24 | 仕事いろいろ

監督と俳優を両立させるケネス・ブラナーの映画作りの秘訣とは
https://tvfan.kyodo.co.jp/?p=1315122&preview=true

 

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『タイガー&ドラゴン』(宮藤官九郎)『港町純情シネマ』『淋しいのはお前だけじゃない』(市川森一)『シネマ落語』(立川志らく)

2022-02-11 22:16:04 | ブックレビュー

『タイガー&ドラゴン』宮藤官九郎
(2005.7.6.)

 ちょいと本屋を冷やかしたら、基ネタの落語付きのこの本が出ていた。ラインアップは「芝浜」「饅頭こわい」「茶の湯」「権助提灯」「厩火事」「明烏」「猫の皿」「出来心」「粗忽長屋」「品川心中」「子別れ(子は鎹)」。

 このドラマは、毎回落語の噺をタイトルに、その噺と現代のドラマとを巧みに交差させている点が秀逸だったが、その手法を見ながら、昔同じくTBSで作られた市川森一脚本の傑作ドラマ『港町純情シネマ』『淋しいのはお前だけじゃない』を懐かしく思い出した。

 前者は映画、後者は旅芝居(大衆演劇)のタイトルをやはり巧みに毎回本筋のドラマと交差させて描いていたからである。恐らく宮藤官九郎は、この両作を参考にしたのではないか。それ故、両作に主演した西田敏行が、このドラマでも脇役として出ていたのだろう。


 で、このパターンとは逆に、映画のストーリーを落語に移し替えたのが、立川志らくの『シネマ落語』だ。

 ラインアップは『天国から来たチャンピオン』『タクシードライバー』『ライムライト』『タイタニック』『ローマの休日』『シャイニング』。キャッチコピーに「チャップリンが幇間持ちに、オードリーが吉原の花魁に」とあるように、これも、アイデアとしてはなかなか面白かった。

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「金曜ロードショー」『クール・ランニング』

2022-02-11 09:40:22 | ブラウン管の映画館

『クール・ランニング』(93)

事実は小説よりも奇なりの面白さ
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/51d04cf44b39863b70877c84975e2a0c

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『ちょんまげぷりん』

2022-02-11 08:48:17 | 映画いろいろ

『ちょんまげぷりん』(10)(2011.2.26.)

 映画の見巧者が集った席で、なかなか評判が良かったこの映画をDVDで拝見。昨年、この映画のイベントを2度取材したので、ちょっと気になった。

 江戸時代の侍が現代にタイムスリップし、シングルマザーとその息子と出会い、洋菓子作りに目覚めてパティシエになるが…という結構めちゃくちゃな話なのだが、監督・脚本の中村義洋は、タイムスリップものとしてテンポ良くまとめており、全体としては面白く見た。

 監督自身は『シェーン』(53)『遥かなる山の呼び声』(80)『タンポポ』(85)などを意識したと語っていたが、城のケーキに雪を降らすところや異形の者との出会いと別れという点では、ティム・バートンの『シザー・ハンズ』(90)を思わせる。

 錦戸亮の侍役にも思ったほどの違和感は抱かなかったのだが、登場時の襟足の長さが気になった。タイムスリップものは細かいところで手を抜いてはいけない。

 ともさかりえが演じたシングルマザーをわがままな感じにしたのは、侍との価値観や生活感の違いを出すためだったのだろうが、全体がほのぼのとしたタッチなので、そこだけが妙に浮いて見えたのが残念だった。

 とはいえ、錦戸、ともさか、子役の鈴木福が好演を見せ、脇役の井上順がなかなかいい味を出していた。原作には続き(今度は子供が江戸時代に飛ぶ)があるという。先の集いで「2が見てみたい」と言っていた人もいた。


『ちょんまげぷりん2』荒木源(小学館文庫)
(2011.3.11.)

 映画『ちょんまげぷりん』を見て後を引かれたので続編を読んでみた。もともとタイムスリップものは大好きなので映画や小説に登場するとつい気になってしまう。

 前作ではまだ保育園に通っていた友也が中学生に成長し、江戸へ逆タイムスリップして木島安兵衛と再会する。勝麟太郎(後の海舟)、田中久重(からくり儀右衛門)らをなかなかうまく絡めてはいるが、友也と安兵衛が牢屋の中にいる時間が長過ぎて、タイムスリップによる時代差が生み出すカルチャーギャップの面白さ、時を超えた切ない恋愛ものとしてはいささか弱い。とは言え、さらりと一気に軽々と読めてしまう。こういうものをライトノベルと言うのかな。

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