まずは新聞記事からいこう。
◆大卒就職難
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今春卒業した大学生の4月1日時点の就職率が公表された。
過去最低だった「就職氷河期」の2000年と並ぶ、91.1%だ。
・・
来春卒業予定者の就職活動は、厳しさを増すと覚悟しなければなるまい。
※※※
読売新聞2011.5.26社説から
この社説では単純に「就職率」と書かれていますが
正しくは「就職内定率」です。
そしてこの「就職内定率」は
意図的に操作ができる数字でもあります。
そういうことを知っておこう。
◆ある大学教授の告白
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就職率をあげるためには分母を減らせば内定率はあがりますから、
就職できそうにない学生とか活動していない学生を就職希望者から外すわけです。
どこの大学もそれをやってきたんですけれども、昨年(2010年)
文部科学省ではそうしたデータをすべて公開しますと。
就職率は卒業生に対して就職何人という風にしますよ、といま脅しがかかっています。
「あるFランク(偏差値測定不能)大学教授の告白」
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洋泉社MOOK「2011年データでわかる日本の未来ー危ない大学ー」から
多くの大学の学生募集のパンフレットに公表されている就職率データは
分母を操作して〝高めに〟公表されていることがあります。
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パンフレットには〝小さい文字で〟分母の説明があります。
つまり就職率の数字というのは
意図的な操作が可能である訳です。
このことを理解しておこう。
◆統計でウソをつく法
以前に紹介した統計学の古典的なベストセラー
「統計でウソをつく法」から紹介します。
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統計というものは、その基礎は数学的なものであるが、科学であると同時に多分に技術的なものでもあるというのが、本当のところである。
ある範囲内でなら、非常に多くのごまかし、あるいは歪曲化でさえ可能なのである。
コピーライターが、スポンサーの商品を「軽くて経済的」と書いても、
「薄っぺらで安っぽい」とは書かないのと同じようなものだ。
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ダレル・ハフ/高木秀玄訳「統計でウソをつく法」講談社1968年初版
就職率の話もそうですが
調査・統計の数字というのは、そのまま受け止めるのではなく
自分の頭でいったん咀嚼して、しっかりと確認しておくことがいいです。
◆5つのカギを応用しよう。
同書から
「統計のウソを見破る五つのカギ」も紹介しておきます。
【第1のカギ】
誰がそういっているのか? (統計の出所に注意)
【第2のカギ】
どういう方法でわかったのか? (調査方法に注意)
【第3のカギ】
足りないデータはないか (隠されている資料に注意)
【第4のカギ】
いっていることが違ってやしないか? (問題のすりかえに注意)
【第5のカギ】
意味があるかしら? (どこかおかしくないか?)
統計のウソを見破るポイントなのですが
統計に限らず、いろんな応用ができます。
★★今日のポイント★★
会社説明会や面接では
会社が、担当者が
言っていることの内容を
「5つのカギ」で見てみよう。
意識しておくだけで、何かを感じられるかもしれないよ。
ではまた☆