この小説が面白い。「サクリファイス」「エデン」に続くロードレーサー白石誓の物語なんだけど人間の心理描写が読みやすい文章で構成されているにもかかわらず迫ってくる。まるでチームの一員になったかのような錯覚を生む。作者は近藤史恵さん。自転車のことをまるで知らない人が自転車の小説を書いたと「サクリファイス」のときに言ってたっけ。そんなこと関係ないくらいこの一連の作品は面白い。これはきっと白石誓の人間成長記録だからだろう。安定した暮らしではなく自分の能力だけが頼りの世界で「サクリファイス」を求められる紳士のスポーツ「ロードレース」ツールドフランスに代表される自転車競技の内幕とそれに取り組む選手の人間模様とかかわりあう主人公白石誓の成長をほのかにサスペンス仕立てでほのかにハードボイルドで味付けしながら作者はぐいぐい物語の中へ読者を引き摺り込んでいく。読み終わったあとレース中の自転車の集団の中にいた自分を発見する。そんな本だった。
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