この広い山の中で起きているのはぽつんとひとりの自分だけ。 瓶が森のキャンプ場にはオレたちだけだった。シェルパ君がソロテントを張る。僕はツエルトにする。とても疲れていた。晩飯を済ませてすぐ寝たもんだから3時ごろに目が覚めてツエルトから這い出して星空を見ていた。
登ってきたピークを思い出す。
伊予富士から東黒森へ
重い荷物を背負って行く。僕らの体力はここまでだった。
それでもよく来たほうだと思う。ここを下りて車でキャンプ場のある瓶が森まで行ったんだ。「やっぱり、車だよな」なんて言いながら。キャンプ場で見た月はきれいだった。空が青くなってもまだ見えていた。
「俺たちは奴隷にもなれないね」「そうだな、すぐに撃ち殺されるね」「役にたたんいうて」ハハハハと反省。頭は軽く荷物は重く老人の山行きはツライのだ。それにしてもなぜ練炭ストーブなんかシェルパ君は持って来たんだろう。重いはずだ。河原のキャンプじゃねぇぞ。オレも人のことは言えないくらい重かったけどね。どこかで山とキャンプがごちゃ混ぜになってたんだと反省。