みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

河合優子さんのピアノ

2005年12月11日 | ピアノ
日本の若手を代表するショパンのスペシャリスト、河合優子さんのピアノを聴くにゆく。
河合優子さんは、ポーランド在住、ヤン・エキエル教授の門下とのこと。ヤン・エキエル教授はショパン・コンクールの審査委員長を勤められたこともある偉い先生なんですね。(今年のショパン・コンクールもこのエキエル版(ナショナル・エディション)が推奨なんですね)

<サロン>
会場のアートスペースホリエのホールは、数十人ぐらいしか入れない小さなスペース。少し早めに行って、2列目の左側を確保できたので、間近で演奏を楽しむ。距離にして数メートルだろうか。細かな指の動きまで鮮明に見えるし、何より、コンサートホールでは聴き取れない微細なピアニシモまで、しっかり聴こえる。

先月の中村紘子さんの時、S席でも、正直細部が潰れて聴き取れないのと比べて、好対照だった。ショパンの音楽は、もともと大音量が要求される大ホールで聴くものではなくて、小じんまりとしたサロンで楽しむものなのなんだと改めて思う。ソリストも、大きなホールの後ろまで届くピアニシモと、小さなサロンで弾くピアニシモは、弾き分けるのだから。

<河合さんのピアノ>
河合優子さんのピアノは、今日、はじめてだったのだけど、しっとり、しなやかで、とても優美に感じる。今日は、演奏よりも、話の方が長く、おっとりとした独特の語り口が印象的だったのだけど、人間性が演奏に投影されているようで、興味深い。

ところどころ曲のエッセンスの演奏を交えながら気が向くままに話されるスタイルだったのだが、どの曲も自分の感覚にしっくりと当てはまる。(本当はエッセンスだけではなく全部弾いて欲しいなぁと思っていた)特に印象に残ったのはバラード4番で、ポーランドのぶ厚い雲から、雪の大きな結晶がきらめいて舞い落ちてくる、雲の切れ目からは、古の荘厳な宮殿が現れて・・・。そんな光景が目に浮かぶ。

<プレイエル>
今日の演奏で使われたピアノは、プレイエル社のものだった。自分はプレイエルの音色が好き。独特の明るい響き、倍音が豊かなのだろうか?青柳いづみこさんのページで見つけた表現なのだけど、ほんとうに「はちみつ色」の音色なんですね。そのプレイエルで奏でられる繊細な河合さんの演奏、とても好きになった。

会の終了後、このプレイエルのピアノを少し弾いたのだけど、(畏れ多くも、こんな偉いピアニストのすぐ横で!)自分で弾いたら、ぜんぜん駄目な音色で、今日の音色の美しさは、河合さんの技術によるものと判明!

演奏後、このところ定番のサインと握手を頂き(柔らかい手を予想をしていたのに、意外と乾いた感じでした)、いい気分で帰宅。好きなものがまた一つ増えた。河合さんは、たいへん気さくな方なので、話の内容を、いろいろ考えておけばよかったと、やや反省。
河合さんは著名な音楽雑誌で執筆されているけれど、このあたりでも記事は読めますね。

この後、大阪、鈴鹿を回られるようなので、お時間がある方は是非。
(長文、失礼しました。)
コメント (5)
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