みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

夜明けの縁をさ迷う人々

2008年02月15日 | 
異質で、グロテスク(怪奇なさま、異様)な世界の9つの物語。不思議な魅力を湛えた小品たちでした。
でも、物語の世界に入り込んで読むと、気分が悪くなるのではないかな?
少しずつ歯車が狂って、超現実の世界に迷い込んでいってしまいそう。メルヘンっぽくなくても、メルヘンと思って読みましょう。絵画で例えると、ダリだろうか。小川さんの手によって操られる、デフォルメされた人形たち。色のトーンはブルー。

9つの中では「イービーのかなわぬ望み」が一番好きだな。終わりのさらさら流れ去る感じが印象的。映画「海の上のピアニスト」と少し相似。


「なみだ売り」は涙を使って調律をする女の話。悲しみや、感動して流す涙よりも、痛みから流れる涙の方が純粋というのは印象的。
何かが狂って夜明けを迎えられない者たちを、小川さんは、受け止めてくれてるのだろうか?

夜明けの縁をさ迷う人々
小川 洋子
角川書店

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