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「木の家をつくることにこだわる棟梁」の手がけている新築があと2週間ほどで完成する。完成直前の室内を見せてもらった。棟上げのとき見た古材の梁が家を引き締めている。木にこだわるだけに、そこかしこ木材が使われていて見慣れている新建材が見当たらない。家の趣が違う。
現場でノコやノミ、カンナなどをで細工をしながら仕上げている仕事ぶりを何度も見てきた。プレカットを採用しない建築現場は、手仕事で切ったり削ったりくり貫いたりと昔の家つくりを思い出させる。木の香りがするノコ屑や風に舞うカンナ屑など懐かしかった。
「くさび」に気づき聞くと「何百本も使いました」と返ってきた。見えない位置で建材をつなぎとめる、かすがい(鎹)に変えて、くさび(楔)が使ってある。傾斜をつけた四角い杭状のものをほぞ穴(枘穴)に押し込む工法だ。柱と貫きに開けた穴の位置が少しでも狂っていたら、かすがいは通らず役目を果たさないばかりか、部材の力が一つにまとまらず家は強さを失う。
この日は建具職の人も仕事中。建具もすべて木にこだわった一品に見える。不思議なもので建具が入るとより家らしい見栄えになる。そういえば我が家のときも、戸が入り部屋の形ができると、区切りがついたようで落ち着い感じになったことを思い出した。「餅は餅屋」というが、それぞれの専門職が一つになって庶民の夢が現実になる。木の良さ満載した家の完成はあと一息、「ゆっくり見てください」という棟梁の顔に完成への自信のほどが滲む。