
サトイモの収穫時期になった。サトイモは花を咲かせないと教えられていたし、これまで見たこともないので信じきっていた。ところが最近、知人の写真ブログに「サトイモの花」がアップされた。初めて見るその色と形にしばらく見とれた。色は鮮やかな濃い黄、花は鶴の口ばしのように長く鋭くとがっている。その色や姿は土中の芋からはとうてい想像の付くものではない。先人も花を見た人は少ないのだろう。
子どものころ、親の手伝いで学校から帰るとサトイモの皮をむいた。皮のついたイモを木桶に入れ水を張る。小枝の付いた棒でかき回す。イモ同士がぶっつかったり、擦れ合ったりしているうちに皮は剥がれ落ちる。やがて白い姿を現す。混雑の様子で「イモの子を洗うような」と呼ぶが、これがいわれの初めかもしれない。
「サトイモを手で洗うと痒くなる」という教えで実践してきた皮むき。狭くても菜園で収穫すれば我が家で皮を剥くしかない。そのための桶など小道具は常備されていた。今は皮むきのイモが透明のポリ袋入りで店頭に並ぶ。商品用の皮むきはいかようにされているのだろうか。
出かけた先で「里芋の皮むきに使います」と書かれた札のつた竹製品が並んでいた。落花生を何倍も大きくしたかご状の真ん中に長四角の開口部ある。そこにサトイモを入れ、水を入れた桶の中で上下させ皮を剥ぐ、と同行の知人の話。イモを擦り合わせる原理は同じだ。それにしても1本の竹からつくられた用具の見事さに感心した。懐かしいうなぎ獲り籠もあった。展示が民芸品コーナー出ないということは販売品、どんな人が使われるのだろう。