今年は夏場の多かった雨に助けられ「マツタケ」は豊作の報道が多い。この地方で一番早く地元産が入荷する店の店主の笑顔と大盛りのマツタケが地方版に載ったのは今月の初めころだった。マツタケ産地のある道の駅にたちよたっとき、段ボール板に無造作にのせられた2本のそれに「9400円と5400円」の値が紙切れに書いて張り付けてある。産地ならではの取り扱いかもしれないと思い1枚撮る。
ホウレンソウは「報告・連絡・相談」と置き換えて企業の業務要領に取り入れられている。最近、マツタケでも人間学に必要ないわれが広まりつつあるそうだ。それはマツタケの頭文字を取って「巻き込む、つながる、助け合う」として職場の心得にするという。意味は、いろいろ悩み、孤立しがち同僚などを、お互い協力し乗り越えていく活動とある。ホウレンソウよりは食卓になじみのない高嶺の花マツタケ、身近なところで育って欲しい。
マツタケは高嶺の花、いつからそう格付けされたのだろうか。高値の花とは「ただ見ているばかりで、手に取ることの出来ない物のたとえ」とある。子どものころには、松の木のある近くの山に上れば見つけられた。採ってマツタケを背負子に乗せての帰り道、近所の家に分ける様子が頭の隅に残っている。そんなに豊富な時代もあった。
マツタケは風味ある食材、それも短い期間のみ味わえる。日本食ブームもあり高値の花は続くだろう。このところ地方再生が盛んに言われる。山林への関心も高まり、若者の山林業従事者も増加しているという。荒廃した山林を甦らせ、マツタケが庶民の食材として復活することを願い、山に入る若者にエールを送る。