2014年09月12日 中国新聞「広場」掲載
岩国市の錦帯橋が架かる錦川の上流に、宇佐川という支流がある。この川は、特別天然記念物「オオサンショウウオ」の本州最西端の生息地として知られ、その数は推定約400匹という。
川の砂防堰堤を上れず、22匹が極度の飢餓状態で発見されたという。市教委が保護し、回復状態を見ながら川に戻している。 移動を阻害する砂防ダムや堰堤の存在は、絶滅の原因の一つになると、専門家の説明があった。
一方、8月に発生した広島市の土砂災害では、多くの貰い人命を失うなど甚大な被害が出た。土砂災害の防止には砂防ダムが有効で、今後、対策が急がれるだろう。
砂防ダムは土砂の流出を抑制し、下流の人命など災害を予防するため高い堰堤が存在する。その堰堤が、川の生き物の往来の支障になっている。
日本の砂防ダム技術は世界のトップにあるという。その技術で、災害の防止と、川の生き物の生息環境も守れるダム建設の検討を願いたい。