日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

出生日応日の前日

2020年10月27日 | 回想
 
 仕事で定年までに多くの人の辞令執行に立ち会った。業務の簡素化からか辞令は交付でなく口達だった。入社に始まる配属・異動・転勤・昇進・昇格・定年退職と幾種類もあった。新入社員の緊張が伝わる口達で、希望した配属通りとなり喜んで泣き出した女子社員もいた。辞令にはそれほどの重みがありそれだけに社員のこれからを左右することもあった。

 口達に立ち会って印象に残るのは定年退職だった。退職者は工場長と相対して受ける。何十年と勤務しても、工場長室に入るのはこの時が初めての人もある。「定年退職とする」という口達だが、長年ご苦労様の気持ちがこもった口調から事務的な口調の工場長まで様々だった。口達後、歩み寄って両手で退職者の手を握り声を掛ける工場長は印象に残っている。

 当時の定年退職は60歳。就業規則で「出生日応日の前日」が定年日となっており誕生前日の日付けの辞令となる。これは法律上「誕生に達した日」は誕生日の前日となっていることによる。これを疑問に思った人もあったが笑って「そうなのか」で済んだ。退職のその日は会社が用意した車で帰宅という手順だった。

 20年前の今日は私の60歳誕生日応日の前日だった。そして今、年齢考えると一つの節目を迎えるというのか超えるというのか、世にいう傘寿という年齢になる。これまで、家長、仕事、役目としてなすべきこと、励むと決めたことなど自分なりにつとめて来た。先日こんな文章に出会った。あの世で迎えてくれる閻魔様は財や名声には興味がなく「良くつとめを果たしてきたか」と聞く。その時「はい」と答えるように生きたい。私も加齢による怠け心に気をつけ「はい」と答えれるよう生きて行こう。
コメント (2)
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