「川柳は、庶民の生活の中から生まれた文芸で、世界最小数の文字で世相を表現する」といわれる。また、世相を切るとも聞いている。確かに、紙面に載る作品を味わいながら頷くことが多いことからも世相風刺の文芸と思わせる。
あるブログで「朝起きて 調子いいから 医者に行く」という句に出会った。どなたの作か書かれていないが、これにまつわる話は、病院の待合室で何度か聞いている。名前を出して「今日は来とってんないが具合が悪いんじゃろうか」という高齢者の会話。心配してのことと思うが、待合室が何かのサロンになっているようだ。
「毎月診てもらいに来ていたが、主人の年金が枠を超え自己負担が2倍になったので、月1回を3カ月に2回にした」、これも待合室で聞こえた話。「自己負担 増への策は 通院減」ということだろうか。それじゃあ体に良くないのでは、声を掛けたいが「似たことを 思ったことで 口閉ざす」。
物価高騰対策として「家は大家族なのでドリップするコーヒーの量を気持ちだけ減す」、そんな会話も待合室。ちりも積もれば何とかだろう。確かにコーヒーの値上がりはもの凄く袋が小さくなっている。ここは世相を知るに最適な個所のひとつかもしれない。「待合は 川柳ねたの 数多し」というところか。
(今日の575) シルバーの 日々はそのまま 川柳に