『金の愛、銀の愛』。
イソップ童話の「金の斧、銀の斧」をモチーフとした歌詞だ。「私が失くした愛は、金の愛でも銀の愛でもない、もっとつまらない愛だ」と歌う。趣向としては面白いと思うが、詰めが甘い。
つまらない愛とは、どうやら不倫のようだ。相手はそれを隠していたらしい。信じていたのに裏切られ、諦めるしかない愛。それを鉄の斧になぞらえているが、「自分の斧は鉄の斧だ」と正直に答えることで金の斧と銀の斧も手にしたという童話の展開は生かされていない。もっと不満なのは、「私にとって価値があるのは金じゃない」と歌うが、「銀」がほったらかしにされている点だ。そこは「私にとって価値があるのは金でも銀でもない」とするべきだろう。モチーフとして使うなら、もう少し精緻に扱うべきではないか。
オルガンで始まるイントロは、教会で懺悔している風情がある。男性コーラスが入るサビはスケールが大きく、正に讃美歌のようだ。曲調としてはユニークで印象に残る。SKE48のシングルでは結構好きな曲だ。
『ハッピーランキング』。
今年の選抜総選挙でランクインしたSKE48メンバー20人が歌っている。題名どおり、ランクインした喜びと感謝をストレートに歌っている。ただ、表向きはクラスの人気投票のこととなっていて『恋愛総選挙』と同じ趣向だ。ランクインしたものの去年より順位が下がったメンバーや、思うような順位でなかったメンバーもいるだろうが、そんなことは気にせず、ランクインしただけでいいじゃないかという大雑把な態度は好きだ。『『2016年のInvitation』よりは説教臭くなく、素直に楽しめる。
『窓際LOVER』(ネクストポジション)。
教室で片思いの相手の後姿を見ているという同じ状況の歌としては、『ポニーテールとシュシュ』『チャイムはLOVE SONG』『初恋バタフライ』など、名曲が多数ある。アイドルソングの「古典」と言える状況を描いた王道ソングだ。折しも古典の授業中というのは意図的か。「あさきゆめみし」「いとらうたし」という歌詞も遊び心がある。
校庭に犬が迷い込んでいるのは『犬語が話せる男の子』『校庭の仔犬』に続く3部作。もしかすると同じ学校の別の教室に前2作の主人公の女子がいるのかもしれない。
サビの「教室の片隅で恋をしてる」という部分のメロディーに強い既聴感を覚える。70年代か80年代の女性ボーカルで、結構有名な曲だと思うが思い出せない。もしかしたら洋楽かもしれない。どなたか教えてほしい。
『今夜はShake it!』(ラブ・クレッシェンド)。
松井珠理奈をセンターとするグループ内ユニット「ラブ・クレッシェンド」は、継続していたようだ。前作の『コップの中の木漏れ日』は溌剌としてなかなかいい曲だったが、今回はノリのいいダンスナンバーというコンセプトか。両親への反発から、今夜だけは背伸びして男を誘惑しているといった内容の歌詞は、実はあんまり重要ではないのだろう。リズムとダンスを楽しむための曲だ。
誘惑された男が「君はまだ若すぎる」などと腰が引けているのは、中森明菜『少女A』の世界を思い出させる。濡れた「唇を尖らせて」いるのは、『少女A』の「思わせぶりに唇濡らし」と『不器用太陽』の「尖らせた君の唇」を融合させた設定。
『いい人いい人詐欺』(やんちゃな天使とやさしい悪魔)。
『嘘つきなダチョウ』『どうでもいい人仮面』では、「いい人」の仮面を脱ぎ捨てて迫ってほしいという気持ちを歌っていたが、正にそのリクエストに応える相手が現れた。「いい人」のふりして近づいて、いつの間にか心を奪われた。それでも満更ではないというハッピーな歌だ。
曲調も軽快で良い。
『サヨナラが美しくて』(柴田阿弥と4期生)。
柴田阿弥の卒業ソング。周りに安易に同調せず、バリアを張っていたとか、卒業ソングでも歌われるくらいだから、そういう存在だったのだろう。それなのに選挙では熱烈な支援者が頑張って、いつも高順位にランクインしていた。個性的なメンバーであったことは間違いないだろう。美しい思い出を語り、これからも友達だというありきたりな卒業ソングよりも印象に残るし、良いと思う。
1番は柴田が、2番は同期生が歌うというパターン。お互い気持ちよく歌っているようで、卒業ソングはそれでいい。
これまでのSKE48のシングルに関する私の記事は以下リンクより。
『チキンLINE』。
『コップの中の木漏れ日』(ラブ・クレッシェンド)。
『前のめり』。
『コケティッシュ渋滞中』。
『12月のカンガルー』。
『不器用太陽』。
『未来とは』。
『賛成カワイイ』。
『美しい稲妻』。
『キスだって左利き』。
『アイシテラブル』。
『片思いFinally』。
『オキドキ』。
『チョコの奴隷』と『パレオはエメラルド』以前の曲についての過去記事はありません。
アルバム『この日のチャイムを忘れない』。
イソップ童話の「金の斧、銀の斧」をモチーフとした歌詞だ。「私が失くした愛は、金の愛でも銀の愛でもない、もっとつまらない愛だ」と歌う。趣向としては面白いと思うが、詰めが甘い。
つまらない愛とは、どうやら不倫のようだ。相手はそれを隠していたらしい。信じていたのに裏切られ、諦めるしかない愛。それを鉄の斧になぞらえているが、「自分の斧は鉄の斧だ」と正直に答えることで金の斧と銀の斧も手にしたという童話の展開は生かされていない。もっと不満なのは、「私にとって価値があるのは金じゃない」と歌うが、「銀」がほったらかしにされている点だ。そこは「私にとって価値があるのは金でも銀でもない」とするべきだろう。モチーフとして使うなら、もう少し精緻に扱うべきではないか。
オルガンで始まるイントロは、教会で懺悔している風情がある。男性コーラスが入るサビはスケールが大きく、正に讃美歌のようだ。曲調としてはユニークで印象に残る。SKE48のシングルでは結構好きな曲だ。
『ハッピーランキング』。
今年の選抜総選挙でランクインしたSKE48メンバー20人が歌っている。題名どおり、ランクインした喜びと感謝をストレートに歌っている。ただ、表向きはクラスの人気投票のこととなっていて『恋愛総選挙』と同じ趣向だ。ランクインしたものの去年より順位が下がったメンバーや、思うような順位でなかったメンバーもいるだろうが、そんなことは気にせず、ランクインしただけでいいじゃないかという大雑把な態度は好きだ。『『2016年のInvitation』よりは説教臭くなく、素直に楽しめる。
『窓際LOVER』(ネクストポジション)。
教室で片思いの相手の後姿を見ているという同じ状況の歌としては、『ポニーテールとシュシュ』『チャイムはLOVE SONG』『初恋バタフライ』など、名曲が多数ある。アイドルソングの「古典」と言える状況を描いた王道ソングだ。折しも古典の授業中というのは意図的か。「あさきゆめみし」「いとらうたし」という歌詞も遊び心がある。
校庭に犬が迷い込んでいるのは『犬語が話せる男の子』『校庭の仔犬』に続く3部作。もしかすると同じ学校の別の教室に前2作の主人公の女子がいるのかもしれない。
サビの「教室の片隅で恋をしてる」という部分のメロディーに強い既聴感を覚える。70年代か80年代の女性ボーカルで、結構有名な曲だと思うが思い出せない。もしかしたら洋楽かもしれない。どなたか教えてほしい。
『今夜はShake it!』(ラブ・クレッシェンド)。
松井珠理奈をセンターとするグループ内ユニット「ラブ・クレッシェンド」は、継続していたようだ。前作の『コップの中の木漏れ日』は溌剌としてなかなかいい曲だったが、今回はノリのいいダンスナンバーというコンセプトか。両親への反発から、今夜だけは背伸びして男を誘惑しているといった内容の歌詞は、実はあんまり重要ではないのだろう。リズムとダンスを楽しむための曲だ。
誘惑された男が「君はまだ若すぎる」などと腰が引けているのは、中森明菜『少女A』の世界を思い出させる。濡れた「唇を尖らせて」いるのは、『少女A』の「思わせぶりに唇濡らし」と『不器用太陽』の「尖らせた君の唇」を融合させた設定。
『いい人いい人詐欺』(やんちゃな天使とやさしい悪魔)。
『嘘つきなダチョウ』『どうでもいい人仮面』では、「いい人」の仮面を脱ぎ捨てて迫ってほしいという気持ちを歌っていたが、正にそのリクエストに応える相手が現れた。「いい人」のふりして近づいて、いつの間にか心を奪われた。それでも満更ではないというハッピーな歌だ。
曲調も軽快で良い。
『サヨナラが美しくて』(柴田阿弥と4期生)。
柴田阿弥の卒業ソング。周りに安易に同調せず、バリアを張っていたとか、卒業ソングでも歌われるくらいだから、そういう存在だったのだろう。それなのに選挙では熱烈な支援者が頑張って、いつも高順位にランクインしていた。個性的なメンバーであったことは間違いないだろう。美しい思い出を語り、これからも友達だというありきたりな卒業ソングよりも印象に残るし、良いと思う。
1番は柴田が、2番は同期生が歌うというパターン。お互い気持ちよく歌っているようで、卒業ソングはそれでいい。
これまでのSKE48のシングルに関する私の記事は以下リンクより。
『チキンLINE』。
『コップの中の木漏れ日』(ラブ・クレッシェンド)。
『前のめり』。
『コケティッシュ渋滞中』。
『12月のカンガルー』。
『不器用太陽』。
『未来とは』。
『賛成カワイイ』。
『美しい稲妻』。
『キスだって左利き』。
『アイシテラブル』。
『片思いFinally』。
『オキドキ』。
『チョコの奴隷』と『パレオはエメラルド』以前の曲についての過去記事はありません。
アルバム『この日のチャイムを忘れない』。