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AI美空ひばり再考。蘇った美空ひばりは52歳か、82歳か?(ときめき研究家)

2020-01-05 17:44:16 | ときめき研究家
昨年のNHK紅白歌合戦に登場した「AI美空ひばり」について、改めて考える。

多くの人々が昭和の大スタア美空ひばりを懐かしむ気持ちはよくわかる。
そういう人々は、今も当時の音源や映像を見聞きして懐かしんでいるのだと思う。その延長として、彼女がもし現在も生きていたとしたら歌ったであろう「新曲」を聴きたいと考えるのも自然だ。その欲求に応えたのが今回の企画である。
1点曖昧な点がある。美空ひばりは1989年に52歳で亡くなっている。意外に若かったのだ。今回の企画は、「52歳で亡くなった美空ひばりが52歳のまま現在に蘇った」のか「30年経って82歳になった美空ひばりが現世に戻って歌った」のか、どちらだったのかは説明されていなかったと思う。
外見は52歳当時のままのようだった。また、AIが学習した過去の声や歌い方も52歳までの彼女のしかなかったはずだから、再現できたのも理論上は52歳だと考えられる。
ところが、秋元康による歌詞では「あれからどうしていましたか? 私も年を取りました」と歌っている。だとすれば82歳という設定なのか。秋元康としては、彼自身は2019年に生きている訳で、『川の流れのように』を書いた30歳の彼とは違う。自分が30歳に戻れないのであれば、美空ひばりが生きたであろう30年間を想像し、82歳になった美空ひばりに宛てて書いたのではないか。また、美空ひばり自身が、常に新しい曲調に挑戦するような進歩的な歌手だったから、52歳で止まっていることを想像しにくかったのではないか。
52歳なのか82歳なのかは曖昧なままだ。敢えて言うなら、肉体は52歳のまま、精神は82歳ということなのだろう。
新曲を作ったのは秋元康をはじめとする現代のクリエーターたち。ボーカロイドに美空ひばり風の歌い方を学習させたのは現代のシステムエンジニアたちだ。面白い企画ではあったが、純粋に新たな一つの創作活動に過ぎない。物まね芸人が美空ひばりの特徴を捉えて真似して歌うのと本質は変わらない。
「蘇る」と言っても、遺伝子操作やクローンといった生命倫理に関わるような行為ではない。このあたりで留めておくのが良いと思う。

これがアイドルだとどうなるだろう。
紅白歌合戦に出演した竹内まりやが歌う『いのちの歌』の背後に、岡田有希子と竹内のツーショット写真が映し出されていた。岡田有希子は1984年デビューのアイドルで、1986年4月、18歳で自ら命を絶った。竹内は彼女に、デビュー曲『ファーストデイト』をはじめ多くの楽曲を提供していた。昨年、それらの楽曲をセルフカバーしたアルバムを出したことでもわかるが、思い入れの深い歌手だったのだろう。
竹内まりやが岡田有希子に歌わせるための新曲を書き、「AI美空ひばり」と同様の技術を使って「AI岡田有希子」に歌わせたとしたら、私はどう感じただろう。

この場合、年齢は曖昧にできない大きな問題になる。18歳なのか51歳なのかでは全く違う。
アイドルファンとしては18歳の彼女が蘇って、アイドルポップを歌うという企画であってほしい。竹内まりやも、きっと18歳の彼女のイメージを持ち続けていて、新曲を書くとしたら18歳の彼女に歌ってほしいと考えるのではないか。
私の持論は、「アイドルの輝きは一瞬」というもので、その一瞬を見逃さないように鑑賞することが重要だ。「アイドルは長続きしない」ことを批判として言う人がいるが、「刺身は長持ちしない」ことと同様に批判になっていない。もちろんその時々の魅力を発しながら、長くアイドルを続ける稀有な例もあるが、数年または数カ月で活動を終えるアイドルであっても鮮烈な輝きを放ち、長く印象に残る例もある。
だから、18歳の輝いていた瞬間に充分な作品を残せなかった岡田有希子が、AI技術で蘇り、竹内まりやが作った新曲を歌うことができるとすれば、AI美空ひばり以上に意義深いことと考える。


2019年紅白歌合戦の感想はこちら

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