空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

文民統制について 教えて! 詳しい人!

2008-11-12 19:07:32 | Weblog
 どーも論点が分からんのですが。

毎日jp 民主党:各幕僚長出席も要求 「文民統制、集中審議を」 2008年11月12日 東京朝刊

MSN産経 新テロ法案採決に首相質疑などの2条件を要求 民主党
2008.11.11 19:57

1.空幕長たる人物が政府見解に真っ向から喧嘩を売るような見解を表明した
2.問題が発覚したので即座に(法的に問題のない手続きをとって)問題の人物に首宣告
3.問題の人物は辞めた

 シビリアンコントロールは問題なく働いているようなので,一体なにが問題なのかよくわからなかったのですが,以下の読売の記事をみてちょっとわかったかも:

MSN産経 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081112-OYT1T00151.htm 2008年11月12日03時42分 読売新聞

 以下青字は上掲読売からの引用。
民主党は、田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長に対する参院外交防衛委員会での参考人質疑により、自衛隊に対する文民統制が機能していないことが明らかになった」と理解するそうだが,上掲の如くきぱっと文民の命令が即座に行き渡ったことはまず明らかである。では問題点はどこに。

 一つ目はこれか,「野党は、田母神氏がこれまでも繰り返し自説を自衛隊内外で表明」した件。
 いいんじゃない? 思想は自由だよ。勿論,幹部として不適切な見解だろうけど,階級が上がるにつれ,問題は増大するけど,だから今回,一軍の最高幹部に任ぜられながら自重せずそこらの数多いるふつーの?幹部と同様の気分でいたことが(処分理由として)問題視されたのだろうわけで。

 まあ文民側の任命責任は,そりゃあるだろうけど。『流石に自重してくれると思った』みたいな甘い見方(というか常識的期待)を考え直さなければならないだろうけど。そーいえば永田メール事件の時,(たしか)前原さんはきぱっと辞めましたっけか。うん,問題行動には厳しく対処だ。

民主党の小沢代表は11日午後、神戸市で記者団に対し、「彼(田母神氏)の考え方や思想は以前から部内でも明らかになっていたようだ。それを分かっていて任命しておいて、表ざたになったので慌てて無理やり退職させるようなやり方は非常に問題だ」と述べ」たとあります。
 …うん,うかと人を信用してはならんということですな。永田メールの前科がある民主党としては,人を用いる際には十二分なチェックが必要と大いに主張したところだろうか。うん。麻生内閣としては,国交相で既にこけたこともあるし,「脇があまい」と批判すべきところではある。

共産党の志位委員長も記者会見で「政治の側がなぜ問題をそのままにしていたのか、真相をさらに追及する必要がある」と強調した」。

 問題になったので辞めさせた。そこは『起きる前になんとかしろ』と言いたくなるのは理解できる。しかし―どこまでの問題だろうか。政府見解と異なる意見を持つこと自体は,基本的に問題ではないと思うのだが。無論国家の暴力装置の中の人に,並より厳しい基準が適用されるべきというのは理解できるが。

 たぶん,そこがなんか話がずれてる(というか,私の疑問の出所な)ポイントだろう。
 政府側としては「公明党の太田代表は記者会見で「自衛隊トップの言動の社会的影響や責任を自覚する判断力が著しく欠如している」と批判」という所に注目し,でクビにしたわけだ。

 けれど首を切られた側はそうは思ってない。思想内容自体が問題となったと理解している。だから”これじゃ北朝鮮と同じじゃないか”的発言がでるのだろう。その点を意識してでしょう,「公明党の太田代表は…中略…「人事のあり方、自衛隊の幹部から自衛官に至るまで、教育をもっとしっかりしていかなければならない」と指摘」する愚かなマネをする破目に。

 なんですかそれは。
 もしかして全自衛隊員に思想教育する気ですか。
 政治士官導入ですか。
 それ,どこの共産主義国家ですか。

 ということは,今盛んに”シビリアンコントロールが”と騒いでいるひとたち(のうちの少なくとも一部)は,『自衛官が政府見解に逸脱する見解・思想を持つ』こと自体を問題視しているようで,だからそれはどこの共産主義ソヴィエト連邦なのかと。
 軍人は政治に与らず,粛々と文民の諮問に答え,文民の命令に服する。それは職務として当然のことだけど,だからと言って個々の思想のありようまで文民が『俺に従え』といえたものじゃないでしょう。

 いーじゃない。
 別に自衛官の心がトランスバール皇国に忠誠を誓ってても。しかしその行動において完全に文民統制に従っていれば。
 彼らの命も装備も,そりゃあ外部のこっち側からすれば国防なり国益を護るためなりの道具に過ぎないだろうよ。でも彼ら個々人は我々と異ならない,個々に尊重されるべき個人なんであって,それなりの自由が認められるべきだ。

 だから田母神氏は地位にふさわしからざる行為―政府の命令をまず一番に聞くはずの人が,その政府の公式見解を正面批判するエッセイを書いてあまつさえコンテストに応募した―をしたから罷免されるべきなのであって,そういう見解を抱いているから罷免されるべきなのではないのだ

 …というのが私の思うところなのだが,世間では「シビリアンコントロール」というのは,「軍人の思想信条を政府見解に従うよう改造すること」を含むと考えるのだろうか。
 公明党は自衛官に対する思想統制の必要を説くのだろうか。民主党は思想統制が行われていない点を批判するのだろうか。共産党は思想統制を行ってこなかった点を批判するのだろうか。

 それ,個人の自由に対する重大な挑戦でなかろうか。

与党内からは「4幕僚長の出席は自衛官に政治的発言をさせることになるので難しいが、首相出席の集中審議はやむを得ないだろう」(参院幹部)と」いうのだそうで,この点,与党の中のひとの意見に賛同するところな今日の私。そんな感じで,なんかほとんど総当り消去法的に止むを得ずいつの間にか私は自民支持と言うことに不本意ながらならざるを得なくなったと「この点については」とせめてもの留保をつけつつ認めざるを得なくなったご様子。

 …っていうことは民主党も共産党も政府見解の貫徹に賛成と言うことのようで,今後国旗国家法等々の運用に多大な支援をしてくださるものと思われ,そうした系統に入らない私のような個人的自由主義者としては社会の右傾化に嘆き,また共産党がここまで自民党もびっくりな超右派的行動を取るのではかつて私が極左扱いされたのも無理はないものと想到され,現状のしからしむるところ消去法的かつ比較級的にまだしもリベラルに近いといわざるを得なくなったところの自民党への止むを得ざる消極的支持を悲しくも表明せざるを得ないところ。以上嫌味。

 大丈夫か民主党。自分で言ってること理解してるか君ら(マスコミ含む)。
 つーか「自民党の権威が失墜する」ことは「民主党への支持が広がる」ことを意味しないってことはそこらで人が繰り返し書いてることのよーな気がするが,そこらへん理解してるか民主党(マスコミも含む)。
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3 コメント

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Unknown (Unknown)
2008-11-12 20:15:31

『椿事件』

1993年9月21日、民間放送連盟の「放送番組調査会」の会合の中で、
テレビ朝日報道局長の椿貞良が、選挙時の局の報道姿勢に関して

「小沢一郎氏のけじめをことさらに追及する必要はない。
今は自民党政権の存続を絶対に阻止して、
なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる
手助けになるような報道をしようではないか」

との方針で局内をまとめた、という趣旨の発言を行う。

(ウィキペディア「椿事件」)
返信する
Unknown (teiresias)
2008-11-13 23:17:22
しけた餌だったクマー
返信する
Unknown (teiresias)
2008-11-14 18:46:42
今更だけどご本尊を貼っておくくまー
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf
文系院生でもンなこと真剣な顔でゆったりするあれな人も実見したりしたので,一概に「小林よしのり見て目覚めた高校生程度」扱いするのは可哀想かもしれないの。「小林よしのり見て我が意を得たりと思う大学生」くらいのレベルであるかと思うの。それもどうかと思うけど。

まー,もし私がこれを『査読してくれ』といわれたら赤も入れずに却下するだろうし,『指導してくれ』と言われたら原型も残さぬくらい改訂指示出すし,『体裁を整えてくれ』と言われたら全頁赤が乱舞することになるだろうけど。

赤が乱舞するのは勿論コミンテルンの陰謀w
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