空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

Dhulbahante支族はプントランド政府を見放す:ソマリア

2008-06-10 00:04:30 | ソマリア関連
 Garowe Onlineが伝える:Somalia: Las Anod clan elders 'give up' on Puntland govt Jun 8, 2008

 ソマリランド・プントランド間の係争地域,スールSoolの支配的部族Dhulbahante支族の族長たちは,昨年10月―11月のソマリランドによるスール進行以来,プントランドで亡命生活を送っていましたが,このたび,プントランド政府の西部国境政策への不満が昂じ,遂にプントランド政府への不支持を表明しました。

 Muse大統領のプントランド政府は西部国境回復戦に消極的。本来,一か月以内に奪回作戦を発動するという話だったのが,既に半年経っております。そもそも兵隊さんに満足なお給金を支払うだけの余裕(※『エライさんがイイ目を見たあとのあまり』の意味である疑いあり)がないということもありますが,そもそもMuse大統領自身,ソマリランドに怪しい密約を与えていたりもします(プントランド大統領はソマリランドとの密約の存在を認める:ソマリア)。

 今回,プントランド不支持を打ち出したDhulbahante支族ですが,これは一大転換でありまして,彼らは最終的にはソマリア統一を支持していたところのはずなのです(Badhan市だって完全に落ち着くとまでは:ソマリア);(
ソマリア,対テロ戦争のひとつの前線
)。

 現在,今後について集中的討論等を行っている模様。
 独立国家を作ります!なんて非現実的主張はだしますまい。多少不本意ながらも,最終的にはソマリランド支持に回ることになる,のでしょう。

 プントランドはスール維持/奪回のための,有力な支族の支持を失いました。Dhulbahanteの支持を失っては,「民意に基く」という錦の御旗が―少なくとも,使いづらくなるでしょう。
 当該支族はまた,プントランド国軍に多大な貢献をなすところのものであるらしく,南部に派遣されていたとも聞きます。となると,モガディシュ政権としては,当てにしていた兵員が一部使用不能になるわけで。

 他方,ソマリランドにとっては,旧国境線の回復のチャンスです。

 本件は,田舎戦線のちょっとした動きというものに留まるものではありません。一応注意しておけば,当該地域は地下資源探査も碌々進んでいない,そういった意味で「未開の大地」であるものです。適切な資本投下,技術投下があれば,相当な実りを齎す可能性がある場所です。

 幸か不幸か,ちょうどこのタイミングでこんな話題がありました。興味のある方はチェックすると宜しいかと:

Garowe Online Somalia: Somaliland police questioning Yemen, China nationals Jun 8, 2008

 一般的にいって,大統領専権の過ぎかつ不安定なプントランドの下にあるより,比較的安定したソマリランド治下にあるほうが開発はしやすいでしょうね。ヨーロッパ資本が入り込んでいて,交渉だってしやすいはずです。

 スールがどっちに帰属するか。
 それは割りと国際政治,国際経済の問題なのであったりも。

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