空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

雪の哲学の庭より

2011-12-25 19:08:03 | Weblog
@smasuda 増田聡 「【この時期再掲】イエスが生まれると東方から3人の博士がやってきました。医学博士は黄金を贈りました。法学博士は乳香を贈りました。文学博士は没薬を贈る予定でしたが、他の博士と違って外部資金を受けてなく、没薬は基盤校費では規程上支出が困難な品目だったために何も贈ることができませんでした」(2011/12/24)

 まあその法学博士も金がなさそうだよなとか寧ろ法学の場合博士にしてもらえない傾向にある(少なくとも一部領域)があるって話を聞くなあとか思うが,季節に沿った面白い寓話ではある。

 さて

@naoshiy 山脇直司 「ドイツでメルケル政権に脱原発のお墨付きを与えたのは「倫理委員会」という諮問機関だった。それに比べ日本では、倫理という言葉は公共的な市民権を得ていない。文学部倫理学科で扱うのは主に倫理思想史で、諸学問横断的な倫理学(環境倫理、生命論理、経済倫理など)ではない。ここに構造的問題がある」(2011/12/25)
@naoshiy 山脇直司 「日本の人文社会科学系学問の強化をマジで考えるならば、文学部で営まれる哲学や倫理学を古典研究や哲学史研究に限定し(これは厳しい訓練が要求される立派な学問である)、それとは別に諸学問との対話可能な形で哲学や倫理学を新たに制度化する必要がある。そしてこれは哲学の王道への回帰を意味する。」(2011/12/25)

 なんでもかんでも『哲学』の枠にいれちゃってるのは難だ,というのはあるが。
 しかし,諸学問との対話をなすための基礎訓練はどこが担当するんだとも思う。仮称「学際哲学」は哲学の王道の回帰では,まあ,あろう。だがそれも真剣な先人の著作や諸種データとの”対話”に基礎を置かずにどこに置くというのか。

つ @miurata takahiro miura 「お師匠ふたりをはじめとする臨床哲学の創設メンバーは、ドクターまでちゃんと哲学研究をしてから「臨床」を唱えた。その下に集った(俺を含む)初期の院生の大半は、学部で哲学の勉強をしてから「臨床」を志した。いまの院生の大半は学部で哲学に触れることなく臨床哲学に入ってくる。これが悪の元凶。」(2011/10/27)

言わんとするところはわかる気がする。若いのが「応用」「(すぐに)役立つ」「今を語る」なんて方向に振り過ぎて,『だってぼくはこうおもったんだからそれはほんとうのことなんだもん』全開になっちゃったりしたのかなー,な感じかな。基礎があった上で色々できる人,が求められるのではあるまいか。それが,「いろいろできる」のを先に追求すると…基礎が定まらないので迷走しちゃう,かな空野雑報2011-11-12)」

 きっちりした訓練の場が存在しませんと,きちんとした批判の訓練をしませんと,『だって私はこう思ったんだもん。私がこう思ったってことは本当だよ! だからこの考えは本当なの!』って人を山のように表に出す惨状になりかねない。

 …いるんだよ,現実に。いくらなんでも君,哲学科に所属してるんだからその理屈はない,とかこっちが頭を抱えるよーな人たちが。

 昨日話のタネにしたひとも,アレは日本の労働を批判する文脈であるはずで。「きたちょうせんこわーい」って言う学生に「でもディズニーランド従業員も笑顔を強要されてるよね」と言って次いで「やっぱりこの国の勤労者はいつも笑顔でいないと処罰されるらしいな」って,いやまあ権力のそうした微細な点まで及ぶ働きはそれはそれで問題なんだが,なんか,どうも,さあ。



朝日新聞 分限免職で公務員削減を=民主・前原氏 2011年12月25日13時6分[時事通信社]

民主党の前原誠司政調会長は25日午前、フジテレビの番組で、国の財政再建のため、民間企業の「解雇」に当たる分限免職による国家、地方両公務員数の削減を検討すべきだとの考えを明らかにした

「(財政再建のための公務員数削減は)分限免職(を定めた法)の規定に十分当たると思う」と語った

 彼については,その言葉が軽い印象を私は持っており,このアイディアは即座に現実にどうこう言うものではないと思う。ではあるが,こうした「観測気球」が出てきたことは注意に値しよう。

 …まあだから,私は自分の雇用を守る意味でも研究に勤しんでいるわけだが。なお積極的に(ほぼ純粋に)教育のため(だけ)のプロジェクトを始めてみたり(※そのための追加予算は認められた)したが,これもわが身を守る効果があろう(いろんな意味で)。

 にもかかわらず,気楽に生きてる人たちはいるよなあと思うことではある。

読売新聞 前原氏「消費税、10%で収まるとは思えない」
2011年12月25日18時29分

民主党の前原政調会長は25日のフジテレビ番組で、消費税増税について、「どのように年金財源を確保するかを考えると、今の財政状況からは10%で収まるとは到底思えない」と述べ、将来的には10%を超える消費税率が必要になるとの認識を示した

 …トバしてるなあ,前原さん…。
 …一応,消費税上げについては”四年間は議論さえしない”建前でしたのにね…。

 なんというか。『自民党政権が続いていたら議論さえできなかった。議論ができたことは十分な成果だ』という主張を仄聞しましたが,その説では3年かかって政権交代前の自民党案(もどき)に回帰したという現状認識に到り,するとこの3年間は空費と評価されかねないことになるが,どうか。



 あ。私は高校無料化法案をそこそこ積極的に評価する立場です。高等教育予算の増加の意味で。あとは大学奨学金・授業料免除を充実させてほしいなーと夢見てます。

 親低収入・子(男女)高学力の場合,国公立に進みたがると思いますが(※女子の場合,高学力だろうとどーも有意に進学させない傾向にあると聞きますが),そこで1. 奨学金(出来れば給付;返済免除・猶予基準を緩和),2. 授業料免除(各大学へ,その分,財政上の援助を与える)があるといいなーと思うのです。

 その代り,将来はそこそこ,縛ってもいいんじゃないかなとは思います。ええ,指定の免除職につかない場合はカネ返せとか。落し所として,さほど悪くないんじゃないかなーと思うのだけど。
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