東洋経済 ロヒンギャ問題、スーチー氏批判は筋違いだ 国際的な批判は状況を悪化させかねない 2017年09月19日 根本 敬 : 上智大学総合グローバル学部教授、ビルマ研究家
根本先生だし,全文読むに値する。というか,真っ先に読むべき。Rohingyaの起源,過程,日本の関与のある箇所,簡明に書いてあるのも大変勉強になる。
表題についても,「ロヒンギャ問題の核心はこの3つの領域と直接関わるため、彼女は自らの指揮権を用いてこの問題を解決に向かわせる法的権限を持っていない。もちろんそれでも、軍に意見は言える。彼女がそれをしているように映らないのは、そこに憲法改正に向けた彼女の長期的戦略が隠されているからである」。警察・軍・国境管理は”大統領以上の最高権力者”の手の内にないこと,その上で長期的戦略を見据えたうえで,この不活発状況があるのだ―とわかり易く説明。
「彼女が「この問題は歴史的に根が深く、発足一年半の政権にすぐに解決できるようなことではありません」と語ったことは、正しい現実理解として受け止めるべきである」
この点もきちんと説明されている。
「スーチー国家顧問が姿を消せば、ミャンマーでは政治全般への軍の影響力がいっそう強まり、ロヒンギャにとって状況はさらに悪化するだけである」
その通りだろう。
最後の希望のカギは先日の国連委員会の提言にある―これもその通りだろう。
ほんとにもう,どうしようもなく,穏当で将来の見通しも宜しきを得てと言わざるを得ない解説なのだが―現に殺戮が進んでいるであろうこと,難民の苦難は現実の,相当猛烈な数字であることを思えば,冷酷な立場だと非難する者・非難したくなる者も出るだろう。
…独裁者擁護の論理と類似しているように思えちゃうわけですよ…。「それでもアサドが必要な理由」とか,「フセイン除去後の混乱は教訓とすべきだ」とか…。
それでもなお,スーチーは国民の信頼厚く,どう悪口しようと思ってもアサドやフセインや…のような悪辣さ,罪に満ちてなどはいない。当人の善良さも,十分信頼してよいだろう。
…しかしそうして,現に苦難にある人々を,今日もその苦難にあるままに,”止むをえざる犠牲”として放置しておくことになる。この難点こそ,普遍的問題につらなるもので,私たちをこの問題に惹きつける要素なんだろう。
で。現実の近い将来の大問題は,スーチー氏がこの遠大な政治的ビジョンを生かせるか,実施できるか,その能力があるか,実権があるか…ということになるでしょうけど,流石に薄いですよねえ…。
彼女の基盤は国民的支持。しかしその国民がRohingyaを支持しない。Rohingyaに対する”部分的譲歩”でさえ,はたして実現可能かどうか。まずはインド系国民とかに対する融和政策あたりから入るのが穏当っぽいかも。でも,そんな悠長なことをしている間に,Rohingya駆逐が終わっちゃうかも。
なお,記事下方にある現時点でのコメント全てを見てみたが,根本先生をつかまえて”ろくに取材もしていない軽い記事”扱いというのはなかなか恐れ入った。いやまあ,たった今のRohingyaの姿を取材して,というものではないのは,その通りだろうが。
日経新聞 「ロヒンギャ迫害停止を」 国連総長、ミャンマー非難 2017/9/14 10:47
「国連のグテレス事務総長は13日」「「最も重大な世界の2つの懸念」として、北朝鮮の核・ミサイル開発問題とミャンマーでのロヒンギャ迫害をあげた」。
…えらいこと,格上げになったものである…。この間までは,極めてマニアックな話題ということで済んだだろうRohingya問題。もはや世界の一大事,二大事扱い。
日経新聞 スー・チー氏、「ロヒンギャ問題」国際社会と板挟み 2017/9/18 22:31
「ミャンマーで少数派のイスラム教徒「ロヒンギャ」が迫害を受けているとされる問題で、アウン・サン・スー・チー国家顧問が板挟みとなっている」
為政者になってしまえば,こうもなるわなあ,と思う私…。
「隣国バングラデシュに41万人が逃れたもようで」
この数日で,微妙な感じに人数が増えていますね。約40万,38万ちょい,そして18日夜の報道で41万。
…ラカイン内部で何が起こっているのか,微妙な感じ?
純粋な殺戮までは,なかなか行えそうにないとは思うんですが(流石に万人単位で大虐殺できるほどの資材・兵力は用意できないのではないかと思う―兵隊の神経だって使いべりするんだ…)。
根本先生だし,全文読むに値する。というか,真っ先に読むべき。Rohingyaの起源,過程,日本の関与のある箇所,簡明に書いてあるのも大変勉強になる。
表題についても,「ロヒンギャ問題の核心はこの3つの領域と直接関わるため、彼女は自らの指揮権を用いてこの問題を解決に向かわせる法的権限を持っていない。もちろんそれでも、軍に意見は言える。彼女がそれをしているように映らないのは、そこに憲法改正に向けた彼女の長期的戦略が隠されているからである」。警察・軍・国境管理は”大統領以上の最高権力者”の手の内にないこと,その上で長期的戦略を見据えたうえで,この不活発状況があるのだ―とわかり易く説明。
「彼女が「この問題は歴史的に根が深く、発足一年半の政権にすぐに解決できるようなことではありません」と語ったことは、正しい現実理解として受け止めるべきである」
この点もきちんと説明されている。
「スーチー国家顧問が姿を消せば、ミャンマーでは政治全般への軍の影響力がいっそう強まり、ロヒンギャにとって状況はさらに悪化するだけである」
その通りだろう。
最後の希望のカギは先日の国連委員会の提言にある―これもその通りだろう。
ほんとにもう,どうしようもなく,穏当で将来の見通しも宜しきを得てと言わざるを得ない解説なのだが―現に殺戮が進んでいるであろうこと,難民の苦難は現実の,相当猛烈な数字であることを思えば,冷酷な立場だと非難する者・非難したくなる者も出るだろう。
…独裁者擁護の論理と類似しているように思えちゃうわけですよ…。「それでもアサドが必要な理由」とか,「フセイン除去後の混乱は教訓とすべきだ」とか…。
それでもなお,スーチーは国民の信頼厚く,どう悪口しようと思ってもアサドやフセインや…のような悪辣さ,罪に満ちてなどはいない。当人の善良さも,十分信頼してよいだろう。
…しかしそうして,現に苦難にある人々を,今日もその苦難にあるままに,”止むをえざる犠牲”として放置しておくことになる。この難点こそ,普遍的問題につらなるもので,私たちをこの問題に惹きつける要素なんだろう。
で。現実の近い将来の大問題は,スーチー氏がこの遠大な政治的ビジョンを生かせるか,実施できるか,その能力があるか,実権があるか…ということになるでしょうけど,流石に薄いですよねえ…。
彼女の基盤は国民的支持。しかしその国民がRohingyaを支持しない。Rohingyaに対する”部分的譲歩”でさえ,はたして実現可能かどうか。まずはインド系国民とかに対する融和政策あたりから入るのが穏当っぽいかも。でも,そんな悠長なことをしている間に,Rohingya駆逐が終わっちゃうかも。
なお,記事下方にある現時点でのコメント全てを見てみたが,根本先生をつかまえて”ろくに取材もしていない軽い記事”扱いというのはなかなか恐れ入った。いやまあ,たった今のRohingyaの姿を取材して,というものではないのは,その通りだろうが。
日経新聞 「ロヒンギャ迫害停止を」 国連総長、ミャンマー非難 2017/9/14 10:47
「国連のグテレス事務総長は13日」「「最も重大な世界の2つの懸念」として、北朝鮮の核・ミサイル開発問題とミャンマーでのロヒンギャ迫害をあげた」。
…えらいこと,格上げになったものである…。この間までは,極めてマニアックな話題ということで済んだだろうRohingya問題。もはや世界の一大事,二大事扱い。
日経新聞 スー・チー氏、「ロヒンギャ問題」国際社会と板挟み 2017/9/18 22:31
「ミャンマーで少数派のイスラム教徒「ロヒンギャ」が迫害を受けているとされる問題で、アウン・サン・スー・チー国家顧問が板挟みとなっている」
為政者になってしまえば,こうもなるわなあ,と思う私…。
「隣国バングラデシュに41万人が逃れたもようで」
この数日で,微妙な感じに人数が増えていますね。約40万,38万ちょい,そして18日夜の報道で41万。
…ラカイン内部で何が起こっているのか,微妙な感じ?
純粋な殺戮までは,なかなか行えそうにないとは思うんですが(流石に万人単位で大虐殺できるほどの資材・兵力は用意できないのではないかと思う―兵隊の神経だって使いべりするんだ…)。
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