空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

『銀英伝』創元SF文庫第五巻を読む

2018-02-14 00:08:20 | 本・論文・研究メモ
 …と、なかなかに示唆的であるなあとか。p.313から:

「おれたちは正義だったはずだ。なんだって暗黒の専制勢力にたいして、正義がひざをつかねばならないのか。世の中まちがっているとしか思えん」
 素朴すぎるその疑問に同調する者はさすがにすくなかったが、いっぽう


 とあると、最近散見する反ナントカの人たちを思い起こす点がある。いや、各派のそれぞれ末端だとは思うが。

「これは政府の利敵行為だ」
 と糾弾する声は、ひとたびあがると、燎原の火と化して全艦隊にひろがった。
「そうだ、政府は吾々を裏切った。政府こそが国民の信頼と期待を裏切ったんだ」
「やつらは売国奴だ。あんな奴らの命令にしたがう必要はないぞ」


 とまあ、ヤン艦隊の内部は大いに盛り上がる。この点も、最近散見する反ナントカ以下略。
 そうして、バカ正直に本星ハイネセン政府からの伝達を司令官に伝えた通信士官を糾弾する声が嵐をなすなか、

「……だが、ハイネセンにはおれの家族がいるんだ。もし降伏を拒否して無差別攻撃をうけていたら……政府が降伏してくれたからこそ、家族は助かったんだ」

 という、これもバカ正直な個人的感情がおそるおそる発せられると、ソレに対する反応がこれ:

それ以上の発言は不可能だった。周囲の戦友たちが血相を変えてたちあがったからで、一市[p.314]民としての人情を口にするにはおびただしい勇気が必要であることを彼はさとったのである

 圧倒的に巨大な大義の前に、個々人の個々人的感情の権利を認めず、圧殺してしまう―これぞ反民主主義的態度の、少なくとも大いなる萌芽であろうが、それを民主主義の護持者たる自由惑星同盟軍将兵がやっちゃう・やりたくなる―そんな状況をアイロニー、矛盾をうまく描き出しているといえそう。

 でまあ、これもその辺で最近散見する以下略。



 一市民として、一労働者として、一教員として、さしあたり就職率がよかったりすることは、まあ基本的に歓迎すべきことと信じるのだ。

 ところが教条主義者の類だろう、ある種のひとびとは、そもそも安倍政権がよくないがゆえ、この”好景気”が偽りであるがゆえ、この(一応の)指標自体をプラス評価することを禁じる。はなはだしい場合は、いっぺん経済のよい循環っぽいものを一切停止し逆転させて就職率を悪化させて倒閣してからステキな政権を立てればいいよねっとか言っちゃう。

 そうした”声のおおきい”人々に対する、声無き大衆の回答は、最近の選挙の結果として現れているのではなかろうか―世論調査の数字にもでているのではないだろうか―と私としては思うところがあり、このようにちまちまメモをつけている昨今である。

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