空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

死者の血の価値―カルデア大司教の死亡とメフディ軍始動,イラク南部不安定化へ?

2008-03-16 01:21:51 | Newsメモ
 最近読んだ新聞・blog記事メモ。

BBC Kidnapped Iraqi archbishop dead 13 March 2008
BBC Funeral Mass for Iraqi archbishop 14 March 2008

 北部イラク,モスル。カルデア教会のarchbishop様が武装勢力に誘拐され,死亡。犯人グループの連絡に基き死体を回収,葬儀が行われる。弱いところを狙うのが常道ですけど,それでもねぇ。

 2月終わりごろにはまだ停戦継続方針でしたメフディ軍ですが(BBC Sadr declares new Iraq ceasefire 22 February 2008),それから20日ほどでにっちもさっちも行かなくなったご様子(BBC US troops clash with Iraq militia 12 March 2008)。

「なにもしない」というのは意外に重大な貢献だったりすることもありますが,ついに血の気の多い人たちが耐え切れなくなったか。
 とりあえず後者の記事の前段はnavi-area26-10さん「■[中東]イラクの民兵組織分裂、サドル師も離脱宣言 治安に不安」(3月9日)でおさらい(BBCの記事を探し当てる気力は今ない)。サドル師がついにメフディ軍を統制しきれなくなったことを認めたというわけ。
 結果として南部Kutで民兵対米軍の戦闘発生,子供を含む死者発生。

 実際のところ,「嵐(この場合,アメリカ)が過ぎ去るまでじっと待つ」のも有用な戦略だとは思いますが。現実には上手くいかないですよねぇ。これまで比較的静穏だった南部も,これから荒れるでしょうか。

 …ああなんだ,そういえば英国政府さん,お宅がお世話になった人たちが「自発的に」帰るはずの安全な場所が危険になりつつありますが([today's news from uk+]さん「英国政府、英軍のために働いたイラク人の難民認定を拒否、イラクへ送還へ」3月13日)どうされますか。

 まあどうもしないかな。

 nofrills氏曰く

>人間の血では不足なのか。

 ただの血では足りない。もっともっと沢山の血だ。もっと政治的な血だ。英国政府の奨めにより所謂「自発的な」帰国をした貢献者の血なら,それに相応しいだろう―もしも正しく問題が指摘されたなら。
 ダルフールで撃たれてもソマリアで撃たれても,よし同じAK-47による死でも,前者は中国の武器輸出の関係が疑われ,後者は現地のものか,エチオピアのものか,エチオピア由来でプントランドから闇で流れたか,それともエリトリア提供か―

 国際政治的な,血の価値の差が,そこにある。

 国連は機会を捉えては,ソマリアはダルフールを上回る悲劇だと繰り返し声明してきた。けれど国際政治は動かない。AU軍の展開も進まない。


 さて―恐らく正しいであろう措置がなされるまで,どれだけの血が流れるだろう? それとも流れずにすむだろうか? 解らない,解らない。

 誤字訂正+追記。メディアが取り上げるか,取り上げたとして市民がどう受け止めるかも問題になりますよねぇ…。英軍へのイラク人協力者さん方が,もし送り返されて,そこでほんとに殺されてしまっても,報道されなければそれはそもそも起こらなかったと同じ事,みたいなものだし。残念な(例外的な)事例扱いされるか,それとも政権批判の具にされるか。

 そんなこんなで,ほんとの問題がほっときぱなしにされちゃう恐れがー。
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