ソマリア，「ゴールデン・ノリ」事件続報：ドイツ艦も海賊包囲に参加

　ソマリア沖―というより，ソコトラ島沖と言うべきか―で海賊に襲撃された日本企業所有ケミカル・タンカー「ゴールデン・ノリ」の件の続報です。

Garowe Online Somalia: Pirates accuse hostages of killing their comrades, want payment Dec 6, 2007 - 10:04:44 AM

　ガローウェ・オンライン，ボサソ，ソマリア発12月6日。人質をとったままの海賊たちを包囲するソマリア・アメリカ・ドイツ合同隊の対峙は3日目を迎えた。

　海賊たちは60名ほどと，プントランドの軍事筋は伝える。

　ケミカルタンカー，ゴールデン・ノリは10月終わりごろハイジャックされ，以降数週に亙って追跡されている。この船はプントランドの港ボサソBossasoに包囲された。

　海賊側の広報担当者がラジオ・ガローウェに語るところによれば，ゴールデン・ノリは漁船を破壊し，ソマリ人2名を殺害したのだという―海賊指導者の縁者を。
　ゴールデン・ノリをハイジャックしたのは，2名の殺害及び資産の破壊に対抗するためだという。

　広報担当者によれば，ゴールデン・ノリの所有者は損害賠償に応じることを約したのだそうで，これに応じてベニン・フィリピンの人質は解放されるであろうというわけ。

　…以上，犯罪者側の言い分を中心にざっと翻訳，紹介。まぁタンカーの起こす波でちっぽけな漁船が転覆して漁民が溺死，というのはありえなくもないとは，思います。それが真実であっても，その，大事を起こしすぎです。

　事態を重く見たようで，プントランドの漁業相は彼らに警告を与えた由。しかし投降する気配はなさそう。最終的には武力解決になりかねないので，私としては降伏を勧めたいところ。

　いつのまにか，ドイツ艦もゴールデン・ノリ解放作戦に参加してくれてたんですねぇ：AllAfrica.com Somalia: U.S., German Warships Surround Pirates 4 December 2007…ああ，これもGarowe Onlineがニュースソースだ。

　いや，よかったのか悪かったのか，ほら，インド洋給油活動で大いに貢献した分が「回収」できてますねこれ。我々が国内事情で関与してないうちに。勿論，将来的なアジアの友好云々は大事ですが，たった今，体を張って友達所有の船を悪漢から救出しようとしてくれてるドイツ人とアメリカ人に，大なる感謝を捧げねばならないのではと思うのですよ。

　…まったく…小沢さんは，メルケルさんに下手打ったなぁ…。
　それも含めて政局を動かす手だったのかも，ですけど，うん，外国指導者をそれに巻き込むのは下手と言うべきだし，彼の狙った（かと思われる）着地点は雲散霧消。今後どう進めてゆくものか。

　そのほか，記事本体と関わりないことですが，記事発信を「ボサソ，ソマリア」としているのはGarowe Onlineの立場を示している―といえましょうか。「ボサソ，プントランド」―ではないのです。先日の「ラス・アノド，ソマリランド」の件と比べると，示唆的に思えもします（参考：プントランド軍から更に離脱者　ソマリア三国志）。

　それと今回，プントランド・ソマリア当局者も尽力した模様です（しなかった例：ハイジャックとエジプト外交官：プントランド）。日本政府には，これを奇貨として誼を通じておくとよろしいかも。
　…安定したら石油・地下資源開発が始まりますよー。既に乗り遅れてますけど，乗らないよりいいと思うのー。ゲディ（元）首相が排除されたから，石油開発への資本参加のハードルは低くなったのよー。ユースフ大統領筋は，外国資本参加に肯定的ですのよー。