「筆舌に尽くしがたい」

　おおいに違うよねえ、いえちがうわ北上さんわたしはOIなんですよ（ふと思いついた書き出し）：

『筆舌に尽くし難いっ！』ってわめいてる友人に、それは『特筆に値する』の言い間違いじゃないのかねとツッコミ入れたらエへへッと笑いよった。

なんとなく似てるけど違うよねぇ(^｡^)

— 狼人 (@yayoya_yo) 2013年5月26日

　図らずも”解答”が示されているように思うが、つまり「筆舌に尽くしがたい」（程度がはなはだしくて言語的表現しがたい）と「特筆に値する」（特別に言及する、書き記す価値がある）とのクロイツ形だな：

食べログ　大阪の美味しくてヘルシーなカレー

「ラ・ルーナ」について「野菜そのものから採ったスープをベースにしたカレールーの美味しさは特筆に値する」、その下、「シナジー」について「和食材とスパイスを巧みに使ったキーマカレーの美味しさは筆舌に尽くしがたい」。

　現時点（2017年時点）では、はっきり誤用と見てよいだろうが、google検索の下位にいけば、それなりに誤用例が散見される。

　例えば

英雄の中の英雄の物語　〜アレスティア建国記〜 作者：勘八 使者の驚愕

「他にも驚いた事は多数。共同浴場の素晴らしさは筆舌に値するし、火を簡単に起こせる火付け箱もそうだ」

【サッカー】ブラジル代表、コパ・アメリカ2015のメンバーを発表！（出典情報：ルイス・グスタヴォ | ブラジル代表 | 2014 FIFAワールドカップ（ブラジル） | コリサカ）

「アンカーマン、ボランチとしての能力は筆舌に値するレベル」

シロクマと−ちゃんゴルフガイド いつかまた行きたい The Best of the Best

「また、林に囲まれた林間コースでもあり、秋の紅葉の季節の美しさは筆舌に値する」

Virgin Harley.com 21st Annual YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW 2012 #01　掲載日／2012年12月05日

「午前中にはご覧のように会場は人で埋め尽くされた。パシフィコ横浜の全フロアを使ってのこの来場者の密集度は筆舌に値する」

　と、なんと表現しようか、”まっとう”な出典はそうそうなさそう。音楽雑誌・スポーツ雑誌・車雑誌…そういう俗な、肌感覚に近いあたりで混用・誤用が始まっているようだ。