●社民党:政権を離脱 国会審議「是々非々」/内閣支持20%--毎日新聞世論調査
毎日新聞 2010年5月31日
◇鳩山首相、普天間迷走のツケ
社民党は30日、東京都内で全国幹事長会議と常任幹事会を開き、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で福島瑞穂党首が閣僚を罷免されたことを受け、連立政権から離脱することを決めた。一方、離脱後も参院選へ向け民主党との選挙協力は続ける。
こうした情勢を受け、毎日新聞は29、30日、緊急の全国世論調査を実施。鳩山内閣の支持率は20%で前回調査(5月15、16日)から3ポイント下落し、不支持率は67%(前回比5ポイント増)と7割近くに達した。鳩山由紀夫首相に対し、普天間問題の責任を取って「退陣すべきだ」との回答は58%と半数を超えた。鳩山首相は就任8カ月あまりで、危機的状況に追い込まれた。
福島氏は31日、首相官邸で鳩山首相と会談し、連立からの離脱を伝える。福島氏は30日の常任幹事会後、記者会見に臨み「閣僚を罷免になったことに党員、全国の幹事長から『筋を通してよかった』と言ってもらった。新しい政治を切り開くべく、全力で頑張る」と強調した。今後の国会対応については「法案審議はもちろん是々非々でやっていく」と述べ、鳩山政権と一定の距離を置く意向を明らかにした。
また、福島氏は鳩山首相が退陣した場合の連立復帰の可能性について「鳩山首相の進退問題があったとしても(普天間移設先を)辺野古とした日米共同声明が生きているから関係ない」と否定した。
一方、社民党の辻元清美副国土交通相は30日、前原誠司国交相に電話し、31日に辞表を提出する意向を伝えた。前原氏は「辻元さんだけ残ることはできないか」と慰留したが、辻元氏は「社民党にいただいたポストなのでお返しすべきだ」と固辞、前原氏は辞表を受理する見通しだ。【小山由宇、比嘉洋】
◆内閣支持20% 「退陣を」58%--本社世論調査
◇政党支持率、民主・自民並ぶ 不支持率、ワースト3
<分析>
毎日新聞の世論調査では、普天間飛行場を沖縄県名護市辺野古周辺に移設する政府方針への「賛成」は41%にとどまり、「反対」は過半数の52%。「最低でも県外」「地元の同意を得ての5月末決着」の約束を守れなかった鳩山由紀夫首相への不信感は6割近い退陣要求となって表れ、発足当初77%を誇った内閣支持率を20%まで押し下げた。不支持率67%は森内閣の75%(01年2月)、麻生内閣の73%(09年2月)に次ぐワースト3位。両内閣はいずれも1年の短命に終わっている。
社民党に対しては「連立を離脱すべきだ」が64%と、離脱を支持する声が大勢だった。又市征治副党首は30日、記者団に「社民党を切りながら連立をそのままやりましょうというのは支離滅裂としか言いようがない。首相は退陣し、(辺野古移設の)閣議決定に至る過程を反省しないといけない」と語り、首相に退陣を求めた。
首相への退陣要求は参院選を控えた候補者を中心に民主党内からも挙がっている。世論調査では、民主、自民両党の政党支持率が17%と政権交代後、初めて並んだ。参院選比例代表の投票先でも、民主党は前回調査と同じ22%で、自民党が21%(前回比3ポイント増)まで肉薄。前回4%だった舛添要一代表の新党改革は1%と失速した。
改選を迎える民主党の輿石東参院議員会長は毎日新聞の取材に「普天間問題が響いている」と語り、首相の「失政」への不満をにじませた。政府関係者は「閣議決定せず、福島(瑞穂)氏を罷免しなければもっと下がった。被害は最小限だ」と強がるが、政権浮揚を期待した事業仕分け第2弾は既に終了。「支持率を上げる手は見当たらない」(首相周辺)と八方ふさがりに苦しむ。
通常国会は6月16日の会期末を控え、郵政改革法案など重要法案の処理を急ぐ与党と、政権批判を強める野党の対立が激しくなっている。特に参院(定数242)は与野党の勢力が拮抗(きっこう)。民主党が国民新党などと組む会派は122議席で、社民党の5議席が野党に回ってもギリギリ過半数は確保できる。しかし、参院選で惨敗すれば再び衆参の「ねじれ」状態となる可能性があり、民主党内の危機感は強まるばかりだ。
鳩山首相は30日夕、韓国・済州島から帰国後、首相公邸で約2時間にわたり平野博文官房長官と会談した。社民党の連立離脱について報告を受け、今後の対応を協議した。
普天間問題で首相と距離を置いてきた小沢一郎幹事長の対応が注目されているが、首相周辺は同日夜、「小沢さんは鳩山さんを切れないだろう」との見方を示す一方、「普天間で連立を崩した張本人は官房長官だ」と平野氏を更迭する内閣改造の可能性に言及。首相の足元が揺れている。【田中成之、坂口裕彦】 |