原発事故の現場の環境が最悪なのは当然のこと。
事故の日数の経過とともに、働く人たちの「環境が悪くなった」わけではなく、「予想以上に悪いこと」が明らかなってきている、というのがより正確。
職場が福島第一原発であることを偽装して作業員を集めた業者も出ている。
そんなことが気になる中、過去に国の予算で何十億円もかけて開発した無人ロボットが、「そんなものが必要になることは無い」と電力会社が使用を断り、開発したロボットを実用化せずに廃棄していたことまで報道されている。
「肝心の電力会社に『原発で事故は起きないのだからロボットは不要』という考え方が根強かった」という(朝日新聞)。
ともかく、労働者の現状についての指摘が増える中で、
国は、自衛隊員には、原子炉建屋への放水に当たった隊員については、これまででもっとも高い1日当たり4万2000円を支給することになしたという。
一般労働者と比べて、”てあつさ”が違うとの印象が強い。
(関連) 2011年5月5日ブログ⇒ ◆学生の時のバイトの”たこ部屋”の方がまし/「原発ジプシー」「秘密 日本の原発奴隷」
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●作業進行、さらに厳しく=1号機汚染水、処理は未定-工程表に影響も・福島原発
時事。(2011/05/14-21:52)
福島第1原発1号機の原子炉建屋地下で新たに見つかった大量の汚染水。1号機では核燃料が溶け落ち、格納容器からの水漏れが指摘されるが、今回の発見はこれを裏付けるとともに、格納容器を水で満たす冠水(水棺)作業の遅れを決定付けた形だ。東電は水量や放射能濃度を調べるが、処理方法によっては、17日に更新版を公表する工程表のさらなる遅れも懸念される。
東電によると、この汚染水は作業員による目視で約3000トンと推定されている。放射線量は不明だが、付近では毎時72ミリシーベルトの高い線量を計測。格納容器から漏れたことを合わせると、高濃度の可能性が大きい。
1号機では原子炉建屋とタービン建屋は配管やケーブルでつながっている。ただ、タービン建屋の地下水上昇はなく、汚染水は原子炉建屋内にとどまるとみられる。
経済産業省原子力安全・保安院は「地下水が本当に格納容器から来たかは分からない」(西山英彦審議官)と慎重な姿勢。東電も「地下への立ち入り作業はなく、影響はない」とした。
ただ、今後の水位や濃度によっては、2号機のタービン建屋地下水のような移送作業もあり得る。東電などは17日、原子炉安定に向けた工程表の更新版を公表するが、今回の汚染水発覚でずれ込みは避けられない状況だ。
●だまして原発で働かせないよう…東電などに要請
(2011年5月13日13時14分 読売新聞)
大阪市西成区・あいりん地区の60歳代の労働者2人が「宮城県内での勤務」との求人に応募したのに実際には東京電力福島第一原子力発電所敷地内などで働かされた問題を受け、厚生労働省は13日、東電や人材ビジネスの事業者団体などに対し、求人を出す際は労働条件を適切に明示するよう文書で要請した。
厚労省によると、2人は3月、岐阜県大垣市の建設業者が出した求人に応募。求人は「宮城県女川町でダンプカー運転手として働く」との内容だったが、実際は同原発周辺で防護服を着てタンクから水を運ぶ仕事などに従事させられたとして、大阪労働局が職業安定法違反の疑いで調査している。
細川厚労相は13日の閣議後の記者会見で、「決してだましたような形で労働者を原発の作業で働かせるということがないよう措置を取った」と話した。
●“だまされ”原発作業 日当2万4000円も「見合わない」
スポニチ [ 2011年5月10日 06:00 ]
宮城県での仕事に応募した大阪市の60代男性が福島第1原発で働かされた問題で、西成労働福祉センター(同市)は9日、男性が第1原発敷地内で約2週間、給水作業に従事していたと明らかにした。被ばく量を測る放射線量計が配られたのは4日目。男性は募集時の条件の倍に当たる約2万4000円の日当を受け取ったが「仕事と見合っていない」と話している。
西成労働福祉センターによると、男性は3月17日、センターに張り出された宮城県女川町での仕事に応募し、同19日に大阪を出発。岐阜県で元請け業者と合流後、原発事故の対応拠点「Jヴィレッジ」(福島県広野町など)に到着し、原発で作業すると初めて気付いたという。
作業は1日約6時間、防護服と防じんマスクを着用し、第1原発5、6号機冷却のため、給水タンクにホースやポンプを設けて給水車に水を移し替えるものだった。
センターが業者からの依頼をもとに掲示した求人情報は「宮城県女川町、10トンダンプ運転手、日当1万2000円、30日間」という内容。男性はセンターの聞き取り調査に「何の説明もなく福島に連れて行かれた。おかしいと思ったが(業者側に)物を言えるような雰囲気ではなかった」と話した。
5、6号機は地震発生時に定期検査中で、現在は炉内が100度未満で安定した冷温停止中。男性は募集時の条件の倍に当たる約2万4000円の日当を受け取ったが、「4日目にやっと線量計が配られた。賃金も仕事と見合っていない」と話している。
募集した業者「北陸工機」(岐阜県大垣市)の男性社長は「(元請けから依頼があったのは原発での作業だったが)混乱の中で女川町の現場を伝えてしまった。非常に申し訳ない」と釈明した。
同社は当初、「元請けから“現場は女川”と言われた」と主張したが、愛知県の元請け業者は「“福島第1原発で散水車の運転手”と下請けに業務内容を伝えた」と反論していた。うその条件で労働者を集めたり、契約を結んだりするのは職業安定法や労働基準法に抵触する恐れがあり、大阪労働局が調査している。
●「日当3万円3か月。被曝承諾書にサイン」福島原発作業いまだ過酷
j-cast 2011/5/10 12:57
福島第1原発の作業員の労働環境に問題ありと語っていた谷川武医師(愛媛大大学院教授)が、その後の様子を伝えた。改善されたが、なお問題が多いという。その作業員が口を開いた。
いまは福島第2原発14 件の体育館が宿泊施設になっている。ここに約200人が防護服のまま寝泊まりしている。その映像に、司会の羽鳥慎一は「避難所ですね」
谷川医師は「24時間プライバシーなし。毛布、寝具は使い回しの集団生活で、感染性皮膚疾患が懸念される。1人1枚の毛布は必要です」と言う。まだそんな実態だった。
防護服に靴下2枚、安全靴の上からビニー ル袋2枚。全面マスクに手袋
第1原発で働く20代 の作業員2人が、テレビ朝日のインタビューに応じた。建屋近くの足場作業をしている。東電社員ではなく協力会社の派遣だ。派遣で500人が働いているという。
その1人は「最近まで地方都市で建設作業員だった。地方には仕事がなく、原発14 件に来た。被曝の可能性があるから最初は悩んだが、覚悟を決めた」
もう1人は「1日3万円もらえるんなら、少しは役に立てればいいなと」
仕事に就く前に承諾書にサインした。「将来、白血病などの後遺症になっても補償はしません」という内容だったと いう。作業は防護服に、靴下を2枚はき、安全靴の上からビニー ル袋2枚。全面マスクに手袋だから暑い。でも、とるわけにはいかない。早ければ来週にも建屋に入るという。きのう(2011年5月9日)、事故後初めて1号機の建屋内に9人が入ったが、最大被曝量は10.56ミリシーベルトだった。
別の20代の作業員は汚染水貯蔵施設周辺の仕事で、1日の被曝量が3ミリシーベルトくらいだという。これが30日続くと、年間被曝量の上限250ミリシーベルトの半分になる。「3か月くらいしかいられないでしょうね」
野菜・果物食べられるが、風呂は4日に1回
1日3万円で3か月はかなりの金額にはなるが、あくまで被曝とひき換えだ。東電にしてみれば、使い捨ての感覚であろう。
羽鳥「どうにかならないですかね」
清水宏保(スケート金メダリスト)「被爆線量が本当に正しいのか」
吉原珠央(イメージコンサルタント)「東電が正しい知識を伝えているのか。事故への備えも大丈夫なのかどうか」
赤江珠緒キャスター「食事は当初はインスタント食品だったのが、最近は野菜や果物もとれるようになったそうです」
羽鳥「風呂は4日に1回ですって」
大坂でトラック運転手に応じた人が福島原発で働かされたという話も出ている。これからますます作業員の入れ替えが必要になってくる。嫌な話も出てきそうだ。
●特集地軸 2011年05月14日(土)原発労働
愛媛
白い「粉」の量を測るだけ。実働2時間半で日給1万7500円。「こんなにいい話があってはならないと、なぜ思ってしまうのだろうか。私はなぜ私をねたむのか」▲
萩世いをらさんの小説「粉」(「すばる」5月号)は日々の労働で心がまひしていく男の話。何か裏がある。が、真実に近づこうとして悟る。「私は知るべきではないし、彼は教えるべきではない、仕事だから」▲
その仕事は何のためか。誰に雇われたのか。主体の見えない理不尽は現実社会に横たわる。大阪市のあいりん地区で、求人に応募した男性らが、説明と異なる福島原発の敷地内や周辺で作業させられていた▲
原発労働は多段式下請け構造の典型だ。制御や保守の維持管理から、炉心近くの放射能除染まで。過酷な環境で働く人々の姿は社会の表層に見えない。今、多くは福島原発の事故対策の最前線にいる▲
過去35年、がんになった原発労働者のうち、10人が累積被ばく線量などに基づき労災認定されていた事実が初めて公表された。認定は増えていくのか。被ばく線量の上限は今回の事故に限り、通常の5倍にまで引き上げられている▲
原発労働の報酬は高額だといわれる。正当な対価を誇りとしていい。が、それは「知るべきではない、教えるべきではない」と強要する元凶になってはいないか。責任と危険をつけ回しする社会とは何だろう。
●福島原発事故収拾を任された英雄たちの真実、7次・8次下請け労働者もザラ(1) -
05/12 (週刊東洋経済2011年4月23日号)
今も深刻な事態の続く、福島第一原子力発電所。放射線量の高い過酷な環境下で、電源復旧やがれき撤去などに日々、数百人の作業員が従事している。
欧米メディアなどで「フクシマの英雄」と称賛される彼らの中には、当事者である東京電力の社員だけではなく、実は多くの下請け労働者が含まれている。
「原発はもはや協力(下請け)会社なしには回らない」。多くの関係者が口をそろえる。
日本の商業用原発の作業員のうち、電力会社の社員は1万人弱なのに対して、下請け労働者は7万5000人(2009年度、原子力安全・保安院)。福島第一でも、1100人強の東電社員に対して下請け労働者は9000人を超える(同)。
元請け会社こそ、原子炉建設を担った日立製作所、東芝や電設工事の関電工など名だたる大企業だが、「実際に作業員を送り込んでいるのは7次、8次下請け会社であることもザラ」(関係者)だとされる。
ただ、原発作業のような危険業務を、多重下請けで担うことができるのだろうか。多重下請けは管理責任が不明確となり、労災発生につながりやすいとされるが、今回もすでに3人の下請け労働者が被曝している。
東電は彼らの作業現場での高い放射線量を事前に把握しながらも、注意喚起を怠っていた。また本来必須であるはずの放射線量の管理責任者も、被曝時、不在だった。
ほかにも福島第一では、作業員の命綱とされる放射線測定器(ポケット線量計)すら事故後一時は全員に行き渡らない状況にあった。「明白な規則違反。非常時とはいえ、ずさんすぎる」(労働行政関係者)。
こうした東電の下請け依存は、いつから始まったのか。「1960年代の配電工事部門の請負化がきっかけだった」と昭和女子大学の木下武男特任教授(労働社会学)は語る。
60年代半ばまでは、柱上変圧器や建柱作業も東電社員が直接施工していた。だが感電死など社員の労災が問題視され請負化が進んだ。原発労働に関しても当時、労働組合から「被曝量が多い作業は請負化してほしい」と要望が寄せられたという。70年代には「秩序ある委託化」が経営方針として打ち出されている。
同時にこれには「地元対策」の側面もある。
「4次、5次下請け以下になると、ほとんどが社員数人の地元の零細企業。お互いに仕事を投げ合い、地元におカネを流す仕組みができている」(関係者)とされる。公共事業での「丸投げ」が難しくなった昨今、電力会社は地元に“仕事”を落としてくれる数少ないお得意様だ。
ピンハネ率は実に8割、労災申請を妨げる「力学」
通常、原発作業の現場を取り仕切っているのは、2次、3次下請けの正社員たちだ。「被災したが、人手不足と聞き職場に戻った。同僚が福島第一で作業している。早く替わってあげたい」。2次下請けの正社員として働く20代の男性は力を込める。
男性は4次、5次以下の下請け労働者とともに仕事をしているが、「定期検査のときなどは20代から60代の作業員が数十人来て、ウチの会社のベテランが管理するが、レベルは低い。給料も驚くほど安い」という。
事実、震災前にハローワークに出されていた地元零細企業の福島第一の求人では、日給9000円から。学歴、年齢、スキル・経験などは、すべて「不問」とされている。これは下請け労働者に対して直接指揮命令する「偽装請負」であり明白な違法行為だが、同時にほぼ「無条件」で集められた出入りが激しい労働者に十分な安全教育をなしうるのかも疑問だ。
・・・・・・・(略)・・・・
●原発作業員、汗だく防護服で3時間・水飲めず
(2011年5月14日14時55分 読売新聞)
福島第一原子力発電所で事故後、作業中に初めて死者が出た。
14日に亡くなった60歳代の協力企業の男性の死因は、わかっていないものの、放射線量を気にしながらの防護服での作業は、身体的、精神的な負担も大きく、作業員に不安が広がっている。
「いくら安全と説明されても、怖いものは怖い。目の前の原発が爆発するかもしれない」。先月上旬から汚染水をためる大型タンクを作っている30歳代の作業員男性は、不安を隠さない。
作業時間は1日3時間だが、防護服は蒸し暑く、作業後、全身が汗だくになる。作業中に線量計の警報音が鳴っても3時間はきっちり働かされ、「ストレスで寝付きが悪くなった」。
3月下旬から約1か月間、同原発で作業に当たった20歳代の男性作業員は「防護服での作業は飲み食いできない上、トイレにもいけない。夏までには何か対策を考えないと作業にならない」と語った。
●福島原発作業員が死亡、死因は心筋梗塞か
サンスポ 2011.5.15 05:01
東京電力は14日、福島第1原発の集中廃棄物処理施設で機材を運搬していた60代の男性作業員が体調不良を訴えて意識不明となり、病院に運ばれたが死亡したと発表した。事故の収束作業中に死者が出たのは初めて。外傷はなかった。
男性は東電の協力企業の下請け作業員で、被曝線量は0・17ミリシーベルト。放射性物質の付着はなかった。搬送先、福島県いわき市立総合磐城共立病院の救命救急センター医師は取材に「死因は心筋梗塞の可能性が高く、放射線の影響は考えにくい」と説明した。
東電によると、男性は以前に他の原発で作業した経験があり、13日から第1原発で従事。13日は午前6時から9時まで作業し、いわき市内で宿泊。14日午前6時ごろから別の1人と機材を運び、6時50分ごろに倒れた。
7時すぎに敷地内の免震重要棟の医務室に運び込まれたが既に意識や呼吸はなく、東電社員の「医療班」が心臓マッサージなどを実施。救急車で病院に搬送され、9時33分に死亡が確認された。別の1人に異常はない。
東電は作業環境の改善策の1つとして敷地内に医師を配置する計画を4日に表明。ただ、医師の滞在時間は限られており(午前10時~午後4時)、男性が免震重要棟に搬送された時間帯には不在だった。
原発からの救急搬送を巡っては、東電、県災害対策本部本部、消防の3者が事故後、警戒区域(半径20キロ圏内)外の拠点施設、ナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」(楢葉町)で患者やけが人を受け渡すよう取り決めている。
今回、男性は原発から業務用車両に乗せられ、Jヴィレッジ、そして病院と搬送までに2時間以上かかった(病院到着午前9時7分)。病院は原発から約45キロ。3者の取り決めは救急隊員の安全確保が目的だが、消防によると事故前なら10分もかからない4~5キロ内、時間にして15分程度の病院に搬送されていた可能性があるという。東電は14日夜の会見で、「診察できる医師を近くに置く態勢を検討したい」と話した。
●廃棄された原発無人ロボット 東電など「活用場面ない」
朝日 2011年5月14日15時0分
実用化されなかった遠隔操作ロボット「スワン」。今は仙台市科学館の隅に展示されている。アーム先端の「手」を取り換えることで複数の作業ができた。奥にあるのがモニター画面付きの遠隔操作盤=4月16日
原発事故での使用を想定し、国の予算30億円で開発・製造された遠隔操作ロボットが、東京電力などが「活用場面はほとんどない」と判断したために実用化されなかったことが分かった。だが、福島第一原発の事故では、人が入れないほど放射線量が高い場所での作業に米国製ロボットが投入される事態に。事故の想定の甘さが、ロボット開発でも浮き彫りになった。
遠隔操作ロボットをめぐっては、1999年に茨城県東海村で起きた「ジェー・シー・オー(JCO)」の臨界事故を受け、当時の通商産業省が同年度にロボットの開発費として30億円の補正予算を計上。開発事業を受注した日立製作所、三菱重工業、東芝など4社は2001年に計6台のロボットを製造した。だが、電力会社などからの配備希望がなかったという。
その後、東京電力、関西電力の原子力担当幹部や、原子力開発関連の国の外郭団体幹部など5人で構成される実用化評価検討会は02年12月、「高放射線下の災害現場の状況調査・監視などの作業には使用が想定される」としつつ、人に比べて歩行速度が遅く、移動可能距離が短いことなどを指摘。災害現場では人が作業できるエリアは必ず確保されており、人が現場で作業を行うことは十分可能として、「原発などの災害で活用する場面はほとんどない」と結論づけた。
この結果、不要とされた6台は06年3月、廃棄処分となった後、一部は東北大に引き取られた。そのうち1台が現在も仙台市科学館で展示されている。
東電の福島第一原発では運転中だった各原子炉が、3月11日の地震後に全電源を喪失し、原子炉が冷却できなくなった。1、3号機は水素爆発を起こし、原子炉建屋の上部が吹き飛んだ。これらの事故で同建屋内は放射線量が高くなり、作業員が入れなくなった。
このため、東電は地震から1カ月以上たった4月17日、原子炉建屋内の放射線量などの測定に米国製の遠隔操作ロボットを投入した。
また、文部科学省所管の財団法人が予算約2億円で開発した、放射線量などを測るロボット2台も原発に運び込まれたが、散乱するがれきなどに阻まれ、まだ使えていないという。
JCO事故後のロボット開発を推進していた製造科学技術センター調査研究部の間野隆久氏は、「万一の事故に備えた態勢づくりが必要とのコンセンサスはあったが、肝心の電力会社に『原発で事故は起きないのだからロボットは不要』という考え方が根強かった」と指摘した。
田所諭・東北大教授(ロボット工学)は、「当時、わずか半年で既存の技術を集めただけで一定水準のロボットができた。実用化されていれば、その後の10年間でさらに性能は上がり、今回の事故で作業員の負担を減らし、被曝(ひばく)量を減らすことにも貢献できたはずだ」と話している。
福島第一原発の事故で深刻なトラブルを招いた、非常用電源を含む電源喪失について、経済産業省原子力安全・保安院や原子力安全委員会のトップらが過去に、「そうした事態は想定できない」との趣旨の考えを表明しており、事故の想定に甘さがあったことが既に明らかになっている。(金成隆一、岩田誠司)
◇
〈遠隔操作ロボット〉 有線ケーブルや無線を介して操作できるロボット。99年のJCO臨界事故後、放射線量や温度の測定などのモニタリング機能や、ドアやバルブの開閉、配管の切断、除染などの作業機能を備えた6台が開発された。
福島第一原発事故では、原子炉建屋内の撮影や放射線量などの測定のため米国製ロボットが投入されたほか、遠隔操作できる油圧ショベルやブルドーザーなどもがれき撤去や薬剤散布に使われている。だが、高放射線下での使用を想定していない機械が多く、計器を除染できないなどの問題を抱えている。
●自衛隊 被災地派遣手当を大幅増
NHK 5月15日 4時4分
防衛省は、東日本大震災の被災地に派遣された自衛隊員の手当について、任務の種類に応じて大幅に引き上げる方針で、東京電力福島第一原子力発電所の原子炉建屋への放水に当たった隊員については、これまででもっとも高い1日当たり4万2000円を支給することになりました。
災害が起きた際、被災地に派遣された自衛隊員に支給される「災害派遣手当」は、現在、1日当たり1620円、特に危険な場合は3240円となっていますが、防衛省は、今回の大震災では、福島第一原発の事故対応などで、これまでより厳しい任務に当たっているとして、任務の種類に応じて手当を大幅に引き上げる方針です。
このうち、福島第一原発の原子炉建屋にヘリコプターで上空から水を投下したり、地上で放水を行った隊員には、特に危険性の高い任務に当たったとして、1日当たり4万2000円を支給します。これは、イラクの復興支援活動で派遣された自衛隊員に支給された2万4000円を上回り、自衛隊の手当としては最も高い額となります。
このほか、福島第一原発から半径10キロ圏内で活動した隊員に2万1000円支給するほか、遺体の収容や搬送に当たった隊員にも1日あたり4000円の手当を支給し、活動を開始した日にさかのぼって適用されます。
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