●蜂群崩壊症候群(ほうぐんほうかいしょうこうぐん、Colony Collapse Disorder、CCD)
蜂群崩壊症候群 ウィキペディアから
2006年秋〜現在にかけてセイヨウミツバチが一夜にして大量に失踪する現象が米国各地で起こっており[3]、その数は米国で飼われているミツバチの約4分の1になる。ヨーロッパの養蜂家においても、スイス、ドイツでは小規模な報告ではあるが、他にもベルギー、フランス、オランダ、ポーランド、ギリシア、イタリア、ポルトガル、スペイン[4]において同様の現象に遭遇している[5]。また、CCDの可能性のある現象は台湾でも2007年4月に報告されている[6]。
原因は「疫病説」[7](イスラエル急性麻痺ウィルス (IAPV)[8][9]など)、「栄養失調説」、「ネオニコチノイドやイミダクロプリドなどの殺虫剤説」、「電磁波説」[10]「害虫予防のための遺伝子組み換え農作物説」[11]、「ミツバチへの過労働・環境の変化によるストレス説」[12]などが唱えられているが、未だ解明はされていない。
CCDは、問題の発生した地域の商業養蜂家により報告されており、野生のコロニーや有機養蜂では発生していない。(「ハチはなぜ大量死したのか」P.98など有機養蜂でも発生率は変わらないとする研究もある。)そのため、養蜂の慣習が基本的な要素であると考えられている[13][14]。
1971年から2006年にかけ、米国における野生種のミツバチ数が激減(今ではほとんど存在しない[15])し、養蜂家の保有しているミツバチのコロニーがいささかゆるやかに、しかし顕著に減少した。これは、都市化や農薬の使用、アカリンダニ (Acarapis woodi)やミツバチヘギイタダニ (Varroa mites)、商業養蜂家の撤退などの要因が重なって累積的に減少しているものだが、2006年の終わりから2007年の始めにかけ、減少率は大きな比率となり、「蜂群崩壊症候群」(CCD)の名称を用いて、突発的なミツバチ失踪現象を表すことが提唱された。[3]
CCDによく似た現象は、1896年にはすでに報告されている[7][16]。そして、この現象は過去数十年間、様々な名称で呼ばれてきた(「消失病」(disappearing disease)、「春の減少」(spring dwindle)、「五月病」(May disease)、「秋の崩壊」(autumn collapse)、「秋の減少病」(fall dwindle disease)[17]。
ごく最近では、2004年から2005年の冬に同様の現象が発生し、ミツバチヘギイタダニによるものとされたものの、断定には至っていない。過去に発生した事例についても、いまだにその原因は明らかになっていない。この現象がある季節に限定されたものではない(よって、「春の減少」や「秋の減少」は不適切となる)ということや、通常の意味での「病気」ではない(病気であればそれを引き起こすものが存在するはず)から、この症候群は名称の変更を受けた。[18]。 |