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てらまち・ねっと



 「ふるさと納税」の人気は衰えない。政府は、来年からの「企業版のふるさと納税」の創設も検討している。
 そこで現状を確認した。

 「ふるさと納税」に反対しているのは、東京。地方に税が分散するということは、東京の税収が減るということも大きく含んでいるから。しかも、「企業版」が始まれば、さらに税収減になるのは当然。とはいっても、これは、大都市の特徴。
 神奈川県内でも「ふるさと納税で明暗 県内自治体 5億円失う」と報道されている(東京、11日)。

 対して、地方の自治体は工夫を凝らす。もちろん、興味を強く示さない自治体もある。
 そんなもろもろを記録しておく。

●ふるさと納税って実際どうなの? 本当にお得に活用するためのコツ/ウーマンエキサイト コラム 2015年10月10日
● 私はだいたい、いくらできる? 税金控除になる金額の目安2015/ ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」
●ふるさと納税で明暗 県内自治体 5億円失う/東京 10月11日

●ふるさと納税、際立つ九州の集金力 壁超える官と民 /日経 10/12
●ふるさと納税 知恵競う/読売 10月06日
●小田原市のふるさと納税好調 見込み額10倍に修正/東京 10月14日

●伊万里市、ふるさと納税5億円 年間目標の倍に迫る [佐賀県]/西日本 10月14日
●ふるさと納税で空き家点検や墓地清掃サービス/日刊スポーツ 10月11日
●返礼の「花火特等席」応募ゼロ、モノに勝てず?/読売 10月11日

●ふるさと納税ブームを静観する東京都「応益原則に反する」/ブロゴス THE PAGE 9月29日
●社説:企業ふるさと納税 活性化へ適切な制度に/秋田魁新報 10/13

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●ふるさと納税って実際どうなの? 本当にお得に活用するためのコツ
       ウーマンエキサイト コラム 2015年10月10日
ここのところ話題になっている、ふるさと納税。

好きな地域を選べる、地域の特産品がもらえる、税金の控除が受けられるなどのメリットがあり、気になっている人も多いのではないでしょうか。

お得といわれるふるさと納税ですが、賢く活用するためにはいくつかのポイントがあります。

本当にお得にするためのコツを、しっかりおさえておきましょう。

■ふるさと納税ってどんなもの?
その呼び名から「ふるさとに税金を納めること」と思う人もいるかもしれませんが、ふるさと納税は税金ではなく寄付。

寄付をする自治体も、出身地や昔住んでいた土地である必要はなく、好きな自治体を選ぶことができます。寄付先は1か所だけでなく、複数の自治体でもOK。

自治体によっては、「教育支援」や「スポーツ・文化活動支援」など、寄付金の使用目的を選ぶことができるケースもあります。

寄付をしたお金がどんな風に使われるかが分かれば、その自治体への思いも強くなりそうですよね。

■ふるさと納税で税金の控除&お礼の品がもらえる
ふるさと納税がお得といわれる理由の一つが、税金の還付&控除です。

寄付金のうち2,000円を超えた金額については、その年の所得税からの還付と、翌年の住民税の控除が受けられることに。

つまり30,000円の寄付を行った場合、28,000円分は戻ってくる、ということなのです。(※上限あり。また、還付&控除金は年収や家族構成によっても異なります)

さらに、寄付をした自治体からは、多くの場合お礼の品として特産品や優待券などがもらえます。中には、都会で購入すると高価な農産物や海産物、現地で使える宿泊券なども。

税金控除により実質2,000円分の寄付で、お礼の品がもらえてその地域のことも知ることができる、というのが、ふるさと納税のメリットなんです。

● ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」     全国のふるさと納税 地域・特典・使い道 から選べる

 ★ 私はだいたい、いくらできる? ~税金控除になる金額の目安2015~


●ふるさと納税で明暗 県内自治体 5億円失う
        東京 2015年10月11日
 寄付を通じて自治体を応援する「ふるさと納税制度」で、昨年一年間に県内市町村から推計で約五億円が他の自治体に流出していたことが、県のまとめで分かった。特に横浜市は流出が著しい。返礼品といわれる景品を目当てにした寄付が全国的に加速する中、県内でも影響が広がっている。 (原昌志)

 ふるさと納税は、任意の自治体に寄付すると、居住地の住民税などが一定の上限まで控除される仕組み。住民税の一部を他の自治体に付け替える形だ。二千円は控除されず自己負担となるが、それ以上の金額相当の返礼品がもらえるケースがあり、年々関心が高まっている。

 県市町村課によると、昨年中に県内三十三市町村が同制度で受け入れた寄付額は約六億円。これに対し、県民が居住地以外の自治体に寄付したのは約十一億円だった。正確な統計ではないが、差し引き約五億円が、居住市町村から流出していることになるという。

 全国の自治体では寄付した人に、和牛や海産物をはじめ、パソコンや炊飯ジャーといった家電製品まで、さまざまな品を贈る例がある。今年四月からは控除額の上限が引き上げられたこともあり、県は「この一、二年で急速にブームになっている。このままではマイナスが拡大するおそれがある」と懸念している。

 こうしたことを背景に、県内では今月一日現在、十八市町が返礼品を導入。横須賀、鎌倉、小田原市など六市町は本年度から参入した。横須賀市は六月からの三カ月で、年間目標の一千万円を達成した。

 二〇一二年度から特産品の三崎まぐろなどを贈っている三浦市は昨年度、全国から一億五千八百二十万円の寄付を集めた。本年度も八月末時点で、前年同時期を上回る四千五百七十三万円が寄せられている。返礼品の費用をかけても七割程度が市の収入になっているといい、担当者は「市外に寄付する人もいるが、収入のほうが大きい。市の宣伝にもなっている」と語る。

 一方、返礼品を出していない横浜市。ふるさと納税によって控除した住民税の減収は、昨年分で五億七千万円に上る。逆に昨年度に受け付けた寄付は、企業を含めた全体で六千四百万円にとどまる。単純計算で、流出は五億円以上になる。市財源課の担当者は「おみやげだけが寄付を募る手段ではない。文化や教育振興など市の取り組みを知って協力してもらえるようPRをしたい」としている。

 返礼品競争の過熱に対しては、総務省が今年四月、高額の返礼品の自粛などを各自治体に通知している。
    ◇
 住民税には個人県民税もあり、県の税収減も生じている。県財政課などによると、一三年度に県が受けたふるさと納税の対象になる寄付は六千三百二十五万円で、控除による減収額は二億二千五百九十三万円。一四年度はさらに流出が加速しているとみられる。黒岩祐治知事は六月定例県議会で「感謝の気持ちをしっかりと表し、神奈川のファンを増やしながら、寄付につなげていきたい」との方針を示しているが、具体的な検討は進んでいない。

 <ふるさと納税> 故郷や応援したい自治体(都道府県・市区町村)に寄付すると、2000円を超える額が、一定の上限まで所得税と住民税から控除される制度。都市部と地方の税収格差を縮小させる狙いもあり、2008年に始まった。今年4月からは控除額の上限が引き上げられ、たとえば年収500万円の独身者の場合の目安では、年間6万7000円まで控除される。また年間5自治体までなら確定申告が不要な「ワンストップ特例制度」も始まった。

●ふるさと納税、際立つ九州の集金力 壁超える官と民
      日経 2015/10/12
 ふるさと納税の2014年度寄付額のトップ5に九州の自治体が3つ入った(ふるさとチョイス調べ)。長崎県平戸市が1位、佐賀県玄海町が2位、宮崎県綾町が4位だ。寄付額を左右する一次産品の返礼品が充実しているからか。九州の人はみな「九州は魚がうまい」という。しかし、東京人から見れば富山も新潟も北海道も魚はうまい。肉も野菜も地方はどこもおいしい。そんなことでは差がつかないことを先進自治体は理解している。

●ふるさと納税 知恵競う
      読売 2015年10月06日
 故郷や応援したい自治体に寄付できる「ふるさと納税」制度で、より多くの寄付を集めようと、県内自治体は知恵を競っている。

 我孫子市は1日から、1万円以上を寄付した人に特産品の贈呈を始めた。同市はこれまで「本来の趣旨と異なる」として特典を付けていなかったが、地域活性化につなげる思惑から方針転換した。

 我孫子産の米2種類計8キロをもらえる「うるち米セット」や、白樺派の文人が愛したみそ入りカレーを詰め合わせた「白樺派のカレー6ヶセット」などの中から寄付額に応じて好きな商品を選べる。同市財政課は「市や、市内の店のファンを増やしたい」と意気込む。

 市川市は今月から東日本大震災の被災地の特産品など55品目を提供する。これまではコンビニエンスストアでの買い物などに使えるポイントを付与していたが、より地域振興につながる特典に見直した。

 新たな特典は、宮城県岩沼市や岩手県大槌町の牛タンや海産物、市川特産の梨を使った食品など。同市と災害時の協定を結び、つながりの深い茨城県神栖市や静岡県富士市の特産品も用意した。

 野田市はこれまで市外在住者だけを対象にしていた寄付の受け付けを、今月から市民にも拡大した。寄付の受け皿として学校施設の整備に充てる基金を新設し、校舎改修を進める方針だ。

 市は現在、小・中学校の耐震化やトイレの洋式化を進めており、来年度からエアコンの整備事業も本格化する。市の担当者は「広く寄付を集め、計画を前倒ししたい」と話している。

●小田原市のふるさと納税好調 見込み額10倍に修正
   東京 2015年10月14日
 九月から特典付きのふるさと納税を始めた小田原市に申し込みが殺到し、市は本年度末までの見込み額を当初の十倍の一億円に上方修正した。特典を大幅に拡充した箱根町も、本年度末までの目標額を一カ月で達成。火山活動による観光客減少への応援メッセージを添えた寄付も多く、職員を勇気づけている。 (西岡聖雄)

 小田原市への寄付は十二日現在、六百四十七件で千三百万円。本年度の当初の目標は一千万円で、既に突破した。
 年内に寄付するふるさと納税は、来年の確定申告の所得税還付や住民税減額に反映されるため、年末にかけて駆け込みのピークを迎える。全国平均で十一月は九月の一・八倍、十二月は三・六倍に増えるという。小田原市は本年度末までの寄付額を一億円と推計。昨年度の寄付額は、市外からが三件で計六万円、市内を含めても四件で七万円にすぎず、大幅な税収増となる。

 特典の種類は現在、六十一品目。人気は名物の干物や梅干し、牛肉、湘南ゴールドの詰め合わせだが、今後もレパートリーを増やす考えだ。市広報広聴課の片倉紀彦さん(29)は「正式なカタログを制作中で、特産品が多い小田原の知名度をさらに高めたい」と話す。

 昨年は三品目だった特典を九月から八十品目に拡充した箱根町も一カ月間で、本年度末までの目標額の二千万円を突破した。

 火山活動の影響で観光客が減り、温泉利用客の支払う入湯税収入は、二億~三億円減ると試算されている。町税の一割強を占める財源のため、二〇一五年度決算も赤字転落の危機に直面。ふるさと納税に期待する町の思いは強い。

 昨年の実績(十七件、五百五十万円)から、本年度は当初目標を二千万円としたが、先月三十日現在、百七十七件で二千百七十六万五千円に達した。「噴火に負けず頑張ってください」「宿泊に行きます」といった応援メッセージが、半数以上の寄付に添えられているという。

 反響の大きさに特典も増やし、九月当初の八十品目から現在は百品目以上に拡大した。町財務課の関田充生さん(45)は「今月中にも応援メッセージを町のホームページで紹介したい」と話し、復興の追い風にしていく。
 小田原市、箱根町ともにふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」から申し込む。

●伊万里市、ふるさと納税5億円 年間目標の倍に迫る [佐賀県]
      西日本 2015年10月14日
 伊万里市の今年のふるさと納税寄付額が累計5億円を突破した。寄付者に贈る返礼品に伊万里牛を加えたことや4月の税制改正が追い風になった。目標の年間3億円を大きく上回り、塚部芳和市長は「予想以上。寄付金の有効な使い道を検討したい」と喜んでいる。

 市によると、今年の寄付額は1日現在で5億185万円に達した。件数は約2万8千件で半数は関東、約2割は関西から。寄付額に応じて163品目から選べる返礼品は特産の伊万里牛やナシが人気という。

 市のふるさと納税額は2013年度まで324万円が最高だったが、1月に伊万里牛が返礼品に加わると急増。3月までの3カ月間だけで計8600万円に達していた。税制改正で減税対象の上限額が約2倍に引き上げられたことに合わせ、4月から返礼品の品目を増やしたことも当たり、同月だけで9千万円を超えた。ナシやブドウが収穫期を迎えた7月以降も6千万~8千万円台で推移している。

●ふるさと納税で空き家点検や墓地清掃サービス
     日刊スポーツ 2015年10月11日
 岐阜県各務原市は、ふるさと納税制度で寄付した人への特典に、市内の空き家の見回りや墓地の清掃サービスを新たに加えた。

 市外へ転出し、管理に困っている人のニーズを見込む。それぞれ1万円の寄付で受けられる。市によると、空き家、墓地ともに選べるのは全国でも珍しい。

 5日から始めた。市シルバー人材センターが請け負い、作業は年2回。空き家は、外観や庭木の伸び具合などを確認して写真を撮り、依頼者にメールで報告する。追加料金で除草にも応じる。墓は市営墓地が対象で、ごみを拾ったり枯れた花を処分したりする。

 シルバー人材センターは寄付でなくても有料サービスを受け付けるが、市ブランド創造課の担当者は「ふるさと納税制度なら、出身者の故郷を思う気持ちに応えられる」と期待を寄せている。(共同)

●返礼の「花火特等席」応募ゼロ、モノに勝てず?
       読売 2015年10月11日
 故郷や応援したい自治体に寄付すると、税金が軽減されるふるさと納税。

 その返礼として、モノではなくサービスを提供する動きが香川県内の自治体でも出ているが、反響は今ひとつだ。高松市が始めた墓地清掃サービスは、利用はこれまで7件。「高松まつり花火大会」の特別有料観覧席に招待する特典には、1件も応募がなかった。一方で、今年度からモノを充実させた県は大幅に応募を増やしており、関係者らは「やはり真心よりモノか」と複雑な心境という。

 「故郷を思う気持ちに応えたい。寄付額も増やしたい」。そんな思惑で始められた、高松市の墓地清掃サービス。親族の代わりに市が墓地をきれいにするもので、地元を離れて暮らす人の需要を見込んで2万円以上の寄付者を対象に募集した。全国でも静岡県西伊豆町に続き2例目だったことから話題になり、問い合わせも少なくなかったが、運用実績はわずか。阻んだのは、第三者が墓の場所を把握することの難しさだった。

 市は、清掃を市シルバー人材センターに委託。希望する寄付者には、現地でセンターの職員に立ち会い、墓の場所を確認することを求めている。「万が一にも、他人の墓を掃除してはいけない」との配慮だったが、市の担当者は「その煩わしさが応募の伸びない一因かも」と肩を落とす。

 同様のサービスは、善通寺市も6月から導入している。現地立ち会いまでは求めず、写真をメールでやり取りすることで墓の場所を確認しているが、これまで応募は2件。そのいずれも条件が折り合わず、結局キャンセルになった。

 苦戦しているのは、高松まつり花火大会の特典も同じ。高松市は今夏、市内のホテルで食事を楽しんだ後、高松シンボルタワーの屋上から花火を観覧するペアチケット(2万円相当)を企画した。まつりは毎回延べ25万人を集客する人気イベントで、5万円以上の寄付者を対象に募ったが、応募はなかった。

 担当者は、応募期間を7月13~24日と短く設定し過ぎたことが原因と推測する。「市民には人気でも、市外の人にはなじみが薄かったのかもしれない」

 一方で、県は今年度から特典の「モノ」を大幅に拡充し、種類は15から43へと3倍にした。2014年度までは、5000円以上の寄付者に対して一律の商品を贈っていたが、今年度からは季節のフルーツや和菓子の詰め合わせなどがもらえる1万円以上のほか、オリーブ牛ステーキや象谷塗りの漆器などが届く3万円以上の枠を新設。7月末までに、寄付額は昨年同時期に比べて約8倍の1013万円に達した。

 応募の約半数が1万円以上の枠で、特にフルーツが人気だという。7月のマスカットは、途中で応募を打ち切るほどの人気だった。担当者は「寄付の単価を上げようと拡充したが、ここまで増えるとは。確定申告が近付く年度末には、さらに増加が見込めそう」とホクホク顔だ。(佐々木伶)

 中央学院大の福嶋浩彦教授(地方自治)の話「サービスへの応募が広がらないのは、時間や場所などがニーズと合致する必要があるから。モノの方が受け入れられやすいのだろうが、いずれにしろ特典を受けた時だけの関係になってしまっている。寄付を機に、継続的に自治体への関心を持ってもらう工夫が必要ではないか」

 ◆ふるさと納税=2008年度に始まった制度で、自分で選んだ自治体への寄付額から2000円を差し引いた額が、住民税や所得税から控除される。控除額の上限は収入や世帯構成によって異なり、給与所得が450万円で夫婦と高校生の子供が1人の世帯の場合、3万6000円になる。13年の全国の寄付額は、約142億円に達した。

●ふるさと納税ブームを静観する東京都「応益原則に反する」
   ブロゴス THE PAGE2015年09月29日
 趣向を凝らした返礼品が話題になるなど盛り上がりを見せる「ふるさと納税」。2008年に改正された地方税法によって、個人住民税の寄付金税制が拡充されたことから始まったとされています。名称に“ふるさと”を冠していることから、出身地や実家のある自治体にしか納税できないと勘違いされがちですが、居住の有無は関係ありません。それどころか行ったことがない自治体でも「納税」することが可能です。そもそも、納税と銘打っていますが、法的には寄付金にあたります。こうした、ふるさと納税ブームの中、一貫してこの制度に反対の立場を取っているのが東京都です。

東日本大震災きっかけに注目
 創設された当初、ふるさと納税は一般的に注目されていませんでした。しかし昨年度の納税総額は130億円、納税者数は10万6000人にまで達しています。注目されるきっかけになったのは、2011年の東日本大震災です。被災した東北3県の力になりたいと考える人たちが、東北の自治体に率先して寄付をしたのです。そうした事情もあり、2012年度の納税額は前年度から一気に10倍以上に増加し、総額649億円になりました。

 東日本大震災を機に認知されるようになり、ふるさと納税に関する本が数多く出版され、いまではちょっとしたブームになっています。その理由は、納税した自治体から贈られてくる返礼品が豪華になっているからです。

 税収が乏しい地方都市では、海産物や農産物を特典にして、たくさんのふるさと納税を集めようとしています。総務省は特典合戦が過熱しないように、たびたび注意喚起していますが、地方自治体も少しでも税収を上げようと必死です。

返礼品合戦は「趣旨から逸脱」?
 過熱した返礼品合戦は、まさに「ふるさと納税戦争」ともいえる様相です。そうしたブームを静観しているのが東京都です。制度が創設された当時、石原慎太郎都知事は一貫して反対していました。そうした立場は、猪瀬直樹都知事、舛添要一都知事にも受け継がれています。

「ふるさと納税制度は、納税の大切さ、ふるさとの大切さの再認識、自治意識の進化に役立つという意義を持っており、その制度の趣旨については、東京都としても理解をしております。しかし、応益原則(行政サービスの受益の大きさに応じて税負担すべきという考え方)に反するという点で問題もあると考えています。近年の各自治体の動きは、寄付金を呼び込むための返礼品競争の様相を呈しており、制度本来の趣旨から逸脱しているのではないかとの懸念も抱いております」(東京都財務局財政課)

 総務省の試算によると、2014年度に東京都が得るとされていた個人住民税の都民税約7億円分と、区市町村民約11億円分が減収したとされています。ふるさと納税の導入によって、東京都全体で18億円の税収が他の地方自治体に流出するのですから、都や都内市町村にとって穏やかな話ではありません。

 2015年度から、「ふるさと納税」の手続きが簡素化されるとともに税の控除が拡充されることになりました。こうした政府の方針にも、東京都は反対を表明しています。

「企業版」ならさらなる税収減に
 さらに、地方創生を掲げる安倍政権では、ふるさと納税ブームに着目して「企業版のふるさと納税」創設の検討を始めています。


「国が企業版のふるさと納税を検討していることについては、承知をしております。制度の詳細はまだわかりませんが、応益原則に反するなど問題も多いと考えています」(東京都財務局財政課)

 いま自治体間で税収格差が顕著になっています。それだけに、政府はふるさと納税で格差の解消を図ろうとしているのです。

 東京都は企業が多く立地し、法人税収も潤沢です。企業版のふるさと納税が創設されれば、都の税収がさらに減少することは間違いありません。

 均衡ある国土の発展には、地方都市の発展は欠かせません。それだけに、東京に集中する“富”を地方に分散させようという取り組みは議論されるべきでしょう。しかし、単に都の潤沢な税収を地方に分配するだけでは、いつまで経っても地方都市の発展につながりません。すべての地方自治体が納得する制度にするのは難しい話ですが、単なる税金の奪い合いにならない制度を期待したいものです。
(小川裕夫=フリーランスライター)

●社説:企業ふるさと納税 活性化へ適切な制度に
      秋田魁新報(2015/10/13 付)
 政府が、自治体に寄付した企業の法人税と法人住民税を減税する新たな税制を検討している。「ふるさと納税」の企業版として自治体の活性化事業に対する寄付を増やし、地方創生に弾みをつける考えで、年末にまとめる税制改正大綱に盛り込み、来年度中の導入を目指す。

 実現すれば財政の厳しい地方自治体に企業の資金が回るとして、全国知事会は歓迎の意向を示している。政府、地方にはともに、少しでも都市部との税収格差の是正につながってくれれば、との期待もあろう。

 ただ、営利を追求するのが企業であり、寄付に減税以外の目的がないとは限らない。自治体と企業の間に癒着が生じることがないよう、慎重に制度設計を進めてほしい。

 企業版のふるさと納税の創設は、菅義偉(よしひで)官房長官が6月、秋田市での講演で打ち出した。菅氏は総務相だった2008年に個人のふるさと納税を実現させ、自身も故郷の湯沢市に寄付している。

 個人のふるさと納税は、任意の自治体に寄付した額のうち2千円を超える分を、個人住民税と所得税から減税する制度だ。東日本大震災被災地の復興を支援しようという機運の高まりや、寄付した人への返礼品の充実などにより浸透した。

 13年の全国の寄付金総額は140億円を超え、導入時の2倍に増加。今年4月に寄付額の上限をほぼ2倍にしたほか、手続きも簡素化しており、一層の増加が見込まれる。政府はこれを企業に拡大することで、自治体をさらに後押しする考えだ。

 企業による国や自治体への寄付については、現状でも寄付額の3割程度が減税されている。政府はこの減税幅を拡大し、寄付をしやすくする方針。寄付対象は、事業の地域活性化効果が高いと政府が認定した自治体になる見込みだ。今後は減税幅や寄付の限度額、対象事業の基準づくりなどが焦点となる。

 自治体を企業が応援する枠組み自体に異論はない。人口減や高齢化などの課題に対し、官民で知恵を出し合うことで新たなアイデアが生まれ、企業が地方の潜在力に目を向ける契機になる可能性もある。

 一方、高市早苗総務相が述べるように、寄付した企業が自治体に便宜供与を求めることがないようにする必要がある。自治体も、寄付した企業を公共事業や許認可で優遇することがあってはならない。こうした点を十分に検討した上で、寄付にどんなメリットがあるのかを企業に訴えることが課題となる。

 個人か企業かを問わず、ふるさと納税は活性化につながる制度ではあるが、安定した税源とはいえない。「まず企業の地方移転を促してほしい」と話す県内の自治体関係者もいる。地方創生が財源の移動に加え、人や雇用の移動と併せて推し進めるべき政策であることを、政府は忘れてはならない。


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