
育った東北の田舎の町には、野良ネコがたくさんいた。子供だったからか、季節ごとに小さな子猫を道端で見かけては、抱き上げていたように思う。
猫たちはわが物顔で外を歩き回り、好きな所で昼寝をして、奔放に生きていた。
町に溶け込むように暮らしていた猫たち。人間社会と猫社会が共存していた。お魚くわえた野良猫を追っかけるのはサザエさんだったし、庭を荒らす猫もいたりした。
人間たちもしょうがねえかとしか思わなかった・・・今から思えば「寛容」な社会だった。
いつの間にか猫は家で飼われるのが幸せで、野良猫は不幸というのが当たり前になった。自由に生きている野良猫たちは、すべて粛清された。人は、他の生物の生死を決められる尊大な存在だったのだ。
地域の住民たちの暗黙の合意の上で生かされていた黒猫。個性的で自由な猫だった。日に何度かその辺をパトロールしていた。飼い主がいなくても幸せそうな猫だった。
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