クマノミ類は非常に縄張り意識が強く、他の魚が自分のテリトリーに近づくと、これ以上近寄るなと自分の歯を『カチカチ』鳴らして相手を威嚇する。
このクマノミの性転換を世界ではじめて発見したのは故ジャック・モイヤー先生。(Jack T. Moyer、1929年3月7日 - 2004年1月10日) アメリカの海洋生物学者。カンザス州出身。三宅島に永住し、アカコッコや海洋生物などの生態研究を続けた人だ。いまでも、三宅島在住の教え子たちが先生をなつかしむ。
ジャック・モイヤーは、1948年、コルゲート大学在学中に朝鮮戦争に徴兵され、日本に駐在。
三宅島の近くの大野原島(通称三本岳)にのみ生息する日本固有種のカンムリウミスズメを救うため、ハリー・S・トルーマン大統領の側近に手紙で訴えて米軍の爆撃演習を中止させた。
戦後、1957年、三宅島に中学校の英語教師として赴任。1984年、東京大学において「魚の繁殖生態」により博士号を取得する。
ジャズボーカル/ピアノにも才能があり、2000年8月にビクターエンタテインメントより「地球の子供たちへ」という、三宅島の自然音をふんだんに使用したアルバムを発表している。
さて、映画「ファインディング・ニモ」で人気のクマノミであるが、漢字では「隈之魚」「熊之実」「隈魚」と書き、そのネーミングは歌舞伎役者の「隈取り」から来ているようだ。
沖縄などでは6種類のクマノミが生息すると言われているが、雲見で見られる個体は体に2本の線が入った「クマノミ」一種類。伊豆ではチョウチョウオなどとともに死滅回遊魚。黒潮に乗って運ばれてくるが、ほとんどは冬は越せない。
クマノミは、サンゴイソギンチャク、イボハタゴイソギンチャクなど11種類ほどのイソギンチャクと共生する。イソギンチャクの触手には刺胞毒があり、それで魚を捕獲するのだが、クマノミは体の表面から出す粘液がイソギンチャクと同質なので、イソギンチャクに安全に住むことができる。共生すると書いたが、冬にクマノミが死滅した後もイソギンチャクには特に変化はない。したがって、イソギンチャクにとって、クマノミはいなくてもあまり関係ないようだ。訂正:チョウチョウウオの仲間のトゲチョウチョウウオは、小型のイソギンチャクや海綿、小動物を食べているらしい。それをイソギンチャクから追い払っているのが、クマノミのようだ。
死滅回遊魚にもかかわらず伊豆で沢山クマノミを見ることができるのは、南の海で生まれた子供が黒潮に乗ってたくさん運ばれてくるから。動物の巣立ちのように、ある程度成長したら、生まれ育ったイソギンチャクの巣を追われるのかもしれない。それが近親交配による悪影響(近交弱勢)を防ぐメカニズムなのだろう。
沢山生まれた子供の中で、他のイソギンチャクを見つけたどり着けるのはごくわずか。それでも広い海へと泳ぎだす子供たちに向かって、思わずがんばれと応援せずにはいられない。
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